5/5
第5話 白狐が運ぶぬくもり
次の満月の夜、向かう紗世の足元に小さな影が現れた。
狐-ルナ。小さな体に金色の毛が、月明かりの中で神秘的に輝いている。
「かわいい・・・っ」
紗世は驚きながらも、そっと手を差し伸べて。
ルナは警戒することなく、ゆっくりと紗世の手に触れる。
その時、懐かしいぬくもりがなぜか、甦った。会ったことないはずのこの狐に、何かを感じた。そう、蓮、蓮なの・・・?
♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦
・月神のいつくしみにより、蓮は姿を変えて命を与えられ、紗世の傍に、送られたのだった。
♢♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦
言葉は交わせないけれど、仕草や触れたときのぬくもりを感じたとき、紗世の目は涙を浮かべた。
「蓮? そんなわけないわよね、でも、何て呼べばいいの、こんなかわいい白狐を・・・」
白狐は尻尾を小さく揺らした。
月光の下で、紗世は心に熱い思いを忍ばせていた。
桟橋はいつものように、静かな夜が広がり、水面に映る満月が見守っていた。




