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第4話 月に祈る人
三年の月日が流れても、紗世は変わらず満月の夜ごとに、湖畔の桟橋へ向かう。
人々が冬の寒さに震える頃も、夏の風が心地よい夜も、月だけは変わらず輝いていた。
「また会えるよね・・・」小さく呟き、両手を胸の前で合わせた。月に向かって祈る事しかできないけれど、その思いは蓮に届くと信じていた。
お馴染みのように、満月は湖面に映り、光が溢れていた。
その光の中に蓮を探した。もちろん姿などない。
水面のさざ波が、夜を優しく包んでいた。
孤独な夜、涙で視界が滲む時もあった。紗世は諦めず約束を信じ続ける心が、夜空の月のように自分を支えていたのだ。
湖畔には小さな奇跡が漂い始めていた。紗世はまだ知らない。
月神が彼女の想いに動き、蓮を再び紗世のそばへ、送り出す準備をしていることを・・・・・。




