第3話 儚い別れ
次の満月が近づくある日、紗世は、いつも通り桟橋へ向かった。風は少し冷たく秋の香りが微かに混ざる夜、そこに蓮の姿は、なかった。
「・・・今日は会えないのかなぁ」
紗世は呟き、湖面を映る月をじっと見つめていた。
波紋が光を揺らし、心の仲間で揺さぶられる感じだった。
その時遠くから見知らぬ女性の声が聞こえた。
「紗世さん、すみません、伝えたいことがあり、ここまで来ました」
慌てて、近づいてきたその人は蓮の親友だった。
「蓮、病で倒れ・・・・・っーーーー、命を失くしました」
言葉が途中で途切れ紗世の胸は強く締め付けられた。
耳を塞ぎたくなるような現実。
あまりにも突然で紗世が理解するまで、時間がかかった。
桟橋に座り込む紗世の手は顔を押さえていた。その姿を、慰めるように、月の光は照らし、言葉はもう届かない、触れることもできないことを、完全に認めることはできなかった。
それでも紗世の心は蓮との約束を忘れなかった。満月の夜、会える事を信じて桟橋に通うことを決意する。
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三年の歳月があの、約束を信じることで、紗世を支えることになったのは、誰も知らない。毎月満月に桟橋へと足を運んだ日々が始まった。
水面の波紋が月光を揺らし、紗世は心の奥で、"また、会える"と呟く。
月光が一筋、桟橋の先へ伸び、切なさと寂しさを抱えたままの月夜の旅が経過していた。
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