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3/5

成長と序列争い


 ある日帰宅すると、子どもたちはじゃれあいの真っ最中だった。


 


 生まれたとき、フクの卵と子にゃんズはほぼ同じサイズだった。


 それから1ヶ月のうちに、子にゃんズは目が開き耳は立ち、足腰しっかり、歩けるようになった。


 体も少し大きくなった。




 1ヶ月たってフクが孵化した。


 孵化してすぐに目も開いていたし歩けたフクだが、唯一タピオカ似の耳は小さいままだ。


 そして、生まれたばかりの子にゃんズと同じサイズだった卵からつい最近出てきたフクは、一番体が小さい。




 ... ダントツで弱いな...




 ドラゴンとはいえ、赤ちゃんだ。


 そして、子にゃんズは子どもで猫とはいえ、なにげハンターだ。


 体格差が如実に戦力差となっている。


 一番体格のいいダイズに首もとを噛みつかれて、フクはキューキュー鳴くと、コロンと仰向けに転がった。


 降服。白旗。


 小さくしっぽを振っているところが可愛い。




 何度やってもフクは勝てない。


 どうやら序列は決まったようだ。




 ていうかーーあいつ、しぐさはしっかり猫だな。








 それからしばらくして。


 生後2ヶ月、孵化後1ヶ月。


 子どもたちは子猫用キャットフードを食べられるようになっていた。フクも。


 最初の頃は目覚ましタイムで何回かフクに口付近を引っ掛かれたが、徐々に力加減を覚えてくれたようで、最近は流血することはなくなった。


 体はまだフクが一番小さい。


 ーーが。


 


 ある日の就寝前。


 いつものようにじゃれあう子どもたちを眺めていて、あたしは目を丸くした。


 いつもだったらダイズに捕まってしまうタイミングで、フクがーー






 飛んだ。






 確かに、体長がそんなに大きくならないわりに翼は少し大きくなったなとは思っていた。


 思っていたが、それでも飛べる大きさではないと思っていたのだが。


 


 ペチペチとなんかビニールっぽい音をたてて、確かに飛んでいる。


 その高度、20センチくらい。


 ペチペチ羽ばたき続ける小さな翼。


 どや顔のフク。


 


 ... 子にゃんズの目がキラキラと輝いた。




 姉妹たちの一斉攻撃!!


 


 三方向からの襲撃で、フクはあっさり撃墜された。




 まぁ、子にゃんズから届く高さでそんな風に飛んでたら、格好の的だよねー...












 また、ある日の朝。


 いつものように、タピオカと子にゃんズの肉球攻撃から朝が始まる。


 そして、なぜか定位置となったあたしの胸の上で、いつものようにフクがあたしの口もとあたりに前足をかける。


 爪の力加減ができるようになったから安心しているとーー




 グァオッ!




 強風が吹き抜けるような音とともに、前髪あたりに熱がっ!




「っち!」


 慌てて飛び起きると、はね飛ばされてビックリしているフク。


 そして、なんか焦げているあたしの前髪。


「ーーフク? あんた今何やった??」


 訊かれて、小さく首を傾げたフクは、質問を理解したのか再現して見せた。




 グァオッ!




 ライターほどの、ドラゴンブレスを。




 そんなフクを、血相変えて猫パンチするタピオカ。


 叩かれてブレスは本人の口の中に飲み込まれる。


 また首を傾げるフクに、タピオカ、フシャー!と威嚇。




 そうだね... 危ないもんね。ベッドとかに燃え移ろうものなら本気で命の危機だもんね。正しい教育だわお母さん。あたしはビックリしすぎて何も言えなかったよ...






 タピオカにきつく叱られたフクは、その後ドラゴンブレスを吐くことはありませんでした。


 母は強し。




 せっかく子にゃんズにも対抗できそうな能力開花したのにね... 。


 序列はまだまだ覆ることはなさそうだなぁ。


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