楓華との出会い①
自分の名前は、海風魁渡国立波紋学園高等部に通う高校1年生だ。自分には、この波紋学園に通う生徒の中に密かに想いを寄せる人が居る。名前は、乃木楓華自分と同じく高校1年生である。乃木さんに想いを馳せるようになった理由は、今は置いておく事にする。代わりに乃木さんとの出会いを話そうと思う…キッカケは、中学3年の春まで遡る―
「魁…今日から僕等3年生だね。」「そうだな。ここまで長いようであっという間だった。」
今会話をしてる男子は、自分の幼馴染の内の一人 明智煌煌とは小学校からの付き合いなので、実に9年の仲である。そして後に詳しく説明する事になるだろうが、煌には、1年の時から付き合っている彼女が居る。名前だけ説明しておくとしよう…煌の彼女の名前は、朝日奈蜜柑僕等と同じく3年生だ。
「魁、クラス分け確認したかい?」「煌、答える必要があるのか?俺は、クラス替えなど興味無いな…と前にも言ったと思うが。」「全く君って人は…興味は無くても1年間同じクラスで過ごす事になる人は、確認するべきだと思うよ?」「もっともな意見だが、この返しも煌なら分かっている筈だが…俺は、これまでの2年間で苦楽を共にしてきたクラスメイトすら全員の名前を覚えていないんだ。だからクラス分けを見たところで、一人一人が誰か分からないんだよ…」
中学生までの自分は、人との付き合いに積極的では無かった。関わりを持つ人は、ごく一部の人だけだった。その数少ない内の一人の中でも煌は自分にとって特別な人間だ。
「はぁ…魁、そろそろ友達の一人や二人作ったらどうだい?僕は、幼馴染として君の事がいよいよ心配だよ…」
「心配してくれる事は素直にありがたい…だが俺は、中学で友人を作る気はもう起きないんだ。俺は、煌達がいてくれればそれで良い。」「魁、もしかしてまだあの時のこと引き摺ってる?」「いや、それは関係無い。もう過ぎたことを気にするだけ無駄と言うものだ。」
煌が言うあの時のこととは、恐らく中2の二学期が始まってすぐに起きた俺と当時までは仲が良かった。幼馴染のうちの一人だった。天道新汰との間に起きたいざこざのことだろう…
「魁、あれから新とは話したのかい?」新とは、煌が新汰を呼ぶ時のあだ名だ。「向こうが俺を避けている以上自分からする事は何も無いな…」「冷たいとは思うけど。魁は、正しいからこれ以上何も言えないのがもどかしいよ…けどこれから一年二人は同じクラスになるから出来れば、前みたいに話し合える程度には修復して欲しいなぁ。おっともうすぐ始まるみたいだね。お喋りはまた後で。」
煌の言う通り俺は、新汰との関係が悪くなってから人との関わりを避ける今の性格になってしまった。気にしていないとは、言ったが薄々煌にも勘づかれている事だろうな。
「これより第77回始業式を挙行いたします。一同規律…礼。学園長挨拶水島学園長お願いします。」教頭の掛け声により始業式が始まった。この学園の学園長は初等部、中等部、高等部全てを兼任している名前は、水島拓海そして今この始業式を司会進行している教頭が、暁月焔後に自分が配属されたAクラスの担任を務める事になる…
「まずは今年も誰一人欠ける事無く無事に進級された事心より安心した。長話は、皆退屈す事だろう…よって各学年に一言だけで私の挨拶は終了とする。まず初めに2年生君たちは、これから先輩となるその自覚を皆が持ち新しい一年生から尊敬される人になる事を期待する。そして三年生君達は、もうすぐ受験が始まり高校生となる。自分の未来や将来の夢に悔いを残さぬよう勉学に勤しんで欲しい。そして一年生や二年生達に道を示してあげられる。そんな人達に成長する事を期待し、私の言葉とする。」
「規律…礼。続きまして生徒会長挨拶です。生徒会長三年A組海風魁渡君お願いします。」「皆さん、お久しぶりです。先程紹介を受けました。国立波紋学園中等部第77期生徒会長の海風魁渡です。綺麗な桜が舞い散る今日。皆さんとまた学生生活を送れる事嬉しく思います。私からは、皆さんに一つ今年の生徒会としての目標をお話しようと思います。真城スライドを…」ここで我が77期生徒会のメンバーを紹介しておこう。まず生徒会長がこの海風魁渡だ。そして今真城と呼ばれたのが生徒会副会長 真城誠司三年生だ。幼馴染の中で一番付き合いが長く頼りになる自分の右腕だ。そしてもう一人副会長が居る…だがまだ紹介は、控える。次に、書記、一条美鈴、一条美玲の双子姉妹に務めて貰っている。二年生だ。次に、会計だが三木隼人二年生。もう一人が、学園長の一人娘の水島麗奈三年生の二人。そして最後に庶務を紹介しよう、長谷部宗次郎三年生。海風美海二年生。俺の愛する妹だ。以上九名が我が波紋学園中等部第77期生徒会のメンバーだ。
「会長準備が整いました。」誠司の合図で自分の挨拶を再開する…