最後のお願い
「ううむ……どうしたものか」
リオナを部屋に送った後、研究室で刀の修理をしながら対『妖』用の武器をどうするものかと考える。
「(継続的に使えるのこれだけなんだよな…これからの事を考えると消耗品も持っていっていいが持てる物は上限があるし……)どうした?」
あのタイプの敵が出てくると知った今、計画の見直しが必要かと考えているとリオナが扉からのぞいていたので声をかけると扉を開き、前に出てきた。
「…………僕って迷惑?」
「本当にどうした?そんな事を言うキャラじゃなかったよな?」
「キャラ?」
「いや、そこは流していい」
目の前にいるリオナはさっきまでの雰囲気と違っており、まるで別人の様だ。…微かに別の声が混ざっているような?
「……本来ならあのまま死んでいたはずの僕が生き返ったせいで、さっきみたいな事が起こったから……僕はただの迷惑者でしかない……」
「なるほど、そう言う事か」
刀の修理を中断しリオナの方へ身体を向ける。
「別に俺は迷惑だと思っていない。ああいう事は今は対策しているが何度もあったしな……まぁ君の気持ちを考えるとそう思う理由も何となく分かるがそんな建前を使わなくてもいい」
「…やっぱり気づいてた……」
声が完全に入れ替わり、優しい顔になる。
「でも、こうやって出てきて話せるのはこれで最後になる…それと今のは彼女が寝る前に強く思っていた事」
「なるほど……………でも、まだ本題があるだろ?」
「ん……本題と言っても、ただのお願い……彼女を信用して……彼女は心の底から貴方の助けになりたいと思っている…」
「…まだ出会って半日も立っていないのに何故?…ってこれブーメランだな…」
「記憶まで見れる訳じゃないからそこまで分からない…だけど、この魂に選ばれた彼女は相応の資格を持っている」
「資格ね……分かった、リオナを何があっても信じよう」
椅子から腰をあげた後、歩いて彼女の前で立ち止まり握手する形で手を前に出す。
「………ありがとう……」
握手しながら一言喋るとそれが最後になり彼女はいなくなるとリオナの身体が倒れたので、その身体を支えてベッドに寝かせた。