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エピローグ 前

遅れてすみませんでした。

「なるほどのぅ……わしが戻るまでに話は済ませておくんじゃな」

「え……!…はい」


僕は話を聞いた女の子が階段を降りて行くのを見た後、再び彼の隣に座る。


「…大丈夫?…」

「ああ、少し楽になった。だけどあの人に言われた通り戻ってくるまでが限界なんだと思う」

「………」

「そんな顔するな、本来なら今会話する事なんて出来なかったんだ」


優しい顔をしながらひび割れた手で僕の涙を拭き取る。


「……僕はこれから何をすれば…」

「普通に生きてくれれば良い。その力なら大抵の問題は解決できるはずだ」

「…この力はあなたの為に…あなたの一緒にいる為に………」

「昔何があったのかわからないが今のお前なら大丈夫だ。それに……これがあればもしかしたら…」

「……それは今のあなたじゃない…別の人…」


銃を渡されこれがあれば自分に会えるかも知れないと教えられるが僕はすぐに否定する。


「そうだな確かに別人だ。けど俺ならやってくれるはずだ」

「?……それはどう言う………あ…」


最後の言葉が気になり聞こうとすると彼の目が動くのを見て振り向くと女の子が登って来ていた。


「言いたいことは言えたか?」

「もう少しだけ…」

「……なら早く言う事じゃ、主は分かっておるんじゃろ?」


彼は女の子と話した後僕を見る。


「伝言を頼んでいいか?」

「…伝言?」

「ああ、あの部屋にいるあいつに『約束守れなくてすまなかった』って」

「……分かった…」

「リオナ……少しの間だったが一緒にいてくれてありがとう…好きだ」

「!!………うん……僕も好きだよ……」


抱きしめられ告白されると僕も彼を抱きしめながら言葉を伝える。そして僕が言葉を伝えてすぐに彼の腕から崩壊が始まった。


僕は泣きながらも触れている感覚がなくなるまで抱きしめた。

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