現れたのは
「………ダメかぁ…」
ヒビの入ったUSBメモリに入っているデータを見ようとしたが案の定ダメだった。
「はぁぁぁぁぁ、半年の苦労がぁ………ん?何だ?あの色…」
椅子の背もたれに寄りかかり深い息を吐きながら弾が作られている縦長の水槽を見ると資料に載っていない色が作られていたため驚きながら近づくと水槽の目の前に立つと横から声が聞こえた。姿を現したのは巫女服を着た女の子が立っている。
「僕が……少し……干渉した………」
「……一人称僕だったのか」
「……………そこ?」
「まぁ、肉体があるのは驚いたけど、いる事はわかってたし……」
体を凍らせた際に魂が飛んでいくのを見ていたのだ。とりあえず話を聞くため食事に使う部屋に案内し向かい合って椅子に座る。
「肉体についても聞きたいがそれより、何で魂の雰囲気が変わっているんだ?」
「………見えてるの?」
「…………気にするな」
色の力を使っていないのに魂が見えている事を誤魔化し話を聞く。
「僕が魂だけになった時……守護者の魂と出会った………」
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「(いいの?…僕はこの世界の存在じゃないよ?……まぁそっちがいいなら……)」
僕は白い空間で目の前の球体と会話する。
「(ん?……まぁ大丈夫……世界に帰ったって僕の居場所はないし……それに契約で僕は自由になってるから)」
球体からの質問に答え終わると僕は違和感を感じる。
「(そろそろか…………言っておくけど………僕は僕のやりたい事をやる……)」
球体はその言葉を聞いても変わらず信頼の雰囲気を出していた。
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「これが、僕が生き返った理由…」
「へぇ、じゃあ肉体は?」
「肉体は自分で作った……」
「………あの身体嫌だったんだな……」
最後に見た小さい身体から一回りほど大きくなっており、俺の顎下まで来ていた。
「他にも聞きたい事はあると思うけど……まずはこれの説明……」
机に置かれたのは先程の資料にない色の弾だ。
「この弾…………とりあえず『赤銀』って言おう……で、赤銀を使って得る力は多分僕と同じ力…だと思う」
「力?」
「正確には僕を蘇生した魂の力だね…」
「へぇ……量産は?」
「…………一カ月に一個くらいかな?……」
「普通の色弾を犠牲にするしかないのか……(いや、これからする事を考えるともう作らないか…)」
黙って考えていると水の入ったコップが置かれた。
「……僕はここに居てもいい?」
「…ん?ああ、いいよ。この世界で安心して暮らせるのはここぐらいだろうし」
今考えている事は後回しにして話を進める。
「じゃあ、この施設を案内するよ」
「……うん…」
椅子から立ち上がり二人で部屋を出た。