ラブラブ
晴れて両思いになれたと優希は思いこんでいた。
これからラブラブすると意気込む。
「お兄ちゃんデートしようよ」
「……面倒くさい」
「ええ……私の事好きなんじゃないの?」
「好きだぞ」
「じゃあデートしようよ」
「嫌だ」
「こ、これじゃ前と同じじゃない! 本当に私の事好きなの?」
「面倒くさいのは事実だからしょうがないぞ。妹様のご機嫌伺いしたくないし」
「ええ……」
優希は空いた口がふさがらない。
「……もう一度確認していい? 私の事『女』として好きなんだよね」
「ああ」
「じゃ、じゃあなんでそんなに冷たいの?」
「もう俺たち熟年夫婦みたいなもんだろ。だからだよ」
「熟年夫婦って……私たちまだ十代だよ」
「お前に振り回されたから今度は俺の番だ」
「……そうきたか」
こんな展開になるのは優希には予想外だった。
「じゃあラブラブしたくないんだ」
「まあな」
「……前と同じだよ。これ最悪なんですけど!」
「お前だって今まで俺の精神をかき乱して最悪だったぞ」
「う……そう来るのか」
「そう」
「う、うぅ……ラブラブしたいのにぃ」
「お前が恋人に幻想持ちすぎなんじゃないか? 俺たち一緒にいて多分十五年以上だ。熟年夫婦みたいになってもおかしくないだろ」
「それはお兄ちゃんの都合でしょ」
「……まあな」
「誤算だった……まさかこんな結果になるなんて……」
「ま、元に戻ったと思えばいいんじゃね?」
「そんな無責任な……」
「でも本当にお前の事『女』として好きだぞ。ただラブラブなんかしたくないけど」
「それは好きとは言わないんじゃ……」
「じゃあ手を出せよ。キスしてやるから」
「え? ラブラブはしたくないんじゃ?」
「まあキス位はいいんじゃないか。フィアンセなんだし」
「ふぃ、フィアンセ……じゃあ頬っぺたにキスしてよ」
「うーん。まだ中学生のお前にはまだ早いぞ。性的虐待になっちゃうからな」
「えー、お兄ちゃん意地悪だ」
「大人になったらな」
士郎が優希の頭をなでなでする。優希がにやける。
(やっぱりお兄ちゃん大好きだ……)
優希はとても満足した。