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詩 20230129

凡人がなしうる最大の善は、地獄を耐え忍ぶこと。

英雄がなしうる最大の善は、地獄を消し去ること。

凡人がなしうる最大の悪は、地獄をもたらすこと。

英雄がなしうる最大の悪は、楽園があると嘯くこと。


ウソのなかの真実の響き、

苦しみの持つ誇りの甘味、

善悪の間の人間の煌めき、

もう歩めない未来の香り、

埋めがたいひびの手触り、

幸福を演じる魂の戦慄き、

握手で傷ついた心の叫び。


自尊心が受けたその傷は、

幸福で治療できず、

金銭で補償できず、

復讐で回復できず、

愛情で隠蔽できず、

時間で忘却できない。

失ったものは取り戻せない。

等価交換は実在しない。

起きてしまった過去は、

意思の力が決して動かせない、

とてつもなく重い墓石。


誇りが圧力への過適応に過ぎず、

意志が環境との妥協に過ぎず、

渇望が快楽による調教に過ぎず、

創造が記号と記憶の剽窃に過ぎず、

人類が幼年期を脱する見込みはなく、

死が生から美を盗み取り続けるとしても。

それでもなお生きようとするならば。


応えようぞ。


私は飛び降り自殺のその最中、

助けを求める叫びに応える者。

絶望の津波阻む哲学の防波堤。

宵の明星を指差す一本指。

取り戻せ。

一度も手に入れたことがないものを。

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