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07.魔法使いの姉弟

何のために生きて、誰を愛すのか。

あなたは、何があってもずっと一緒に居てくれますか?

 僕は姉ちゃんと2人でクリスティーンの依頼で予言のレッドドラゴンを見張っている。レッドドラゴンはガル・レグルスと小屋にいる。

「カイル、ごはん買ってきたよ」

「姉ちゃん、おそいよ~」

 魔法で空間を移動してきた赤いローブを着た魔法使い“アイナ・エンドレス”は、弟の“カイル・エンドレス”に温かいかぼちゃのスープとパンを渡した。

「あ~ あったけ~」

 温かいかぼちゃのスープにがっつくカイルをアイナは微笑みながら見ている。


 カイルとアイナの両親は黒い魔法使いとの戦争で亡くなった。2人は予言者アミルに助けられた。アミルに引き取られた2人は、いつか戻ってくる黒い魔法使いと対抗できるように魔法の訓練を受けた。2人は両親を殺された恨みを糧につらい訓練に耐えた。カイルが18歳、アイナが20歳になったころには2人はアミルの魔法の技術をすべて習得した。予言のレッドドラゴンが生まれたことを知ったアミルは、カイルとアイナにドラゴンを見張らせた。


 カイルがかぼちゃのスープを飲み干しパンも食べ終わったころ、アイナはまだパンには手を付けず、冷めてきたスープを魔法で温め直しながらゆっくり飲んでいる。

「姉ちゃん、ガルがどこかへ行くみたいだよ」

 ガルが箒に乗って飛んで行った。レッドドラゴンはそのままガルが飛んでいった方角を見つめている。

 カイルとアイナはどうするべきか悩んでいたが、小屋に戻るレッドドラゴンを見て、このまま見張りを続けることにした。


 雪がとけ、森の草木が生き生きとし始めた。そのうち森の植物たちの命が終わり、雪に覆われる。

 

 カイルとアイナはキスをしていた。カイルの手がアイナの身体を撫で「ん、あっ……」とアイナは小さな声をあげている。ずっと姉弟以外の人と関わらず生きてきた。姉弟以外の愛を2人は知らなかった。この1年間、見張る以外やることがない2人がそういう関係になるのに時間はかからなかった。アイナがカイルのズボンに手を伸ばした時、カイルは無意識に小屋に目を向けた。

「レッドドラゴンがでてきた」

 アイナは手を止め、小屋に目を向ける。

 小屋から出てきた、レッドドラゴンが歩き出し、カイルとアイナは慌ててドラゴンの後を追いかける。

「ちょ、ちょいまて!」

 ドラゴンが急に走り出し、カイルも走り出す。アイナも慌てて追いかける。カイルが魔法で木々を操り、ドラゴンを捕まえようとするがなかなか捕まらない。枝を鞭のようにしならせドラゴンを足止めしようとする。ドラゴンは懸命に避けるが枝が当たり倒れる。

「ケガさせないで!」

「ごめん、あてるつもりはなかった。転ばせようと……」

「いいわ、アミルに連絡しよう」

 アイナが頭に杖をあて“伝達魔法”でアミルに通信する。


 突如、強風が吹き、大きな影に覆われた。上空に純白のドラゴンが現れた。カイルは純白のドラゴンに杖を向けるがアイナがそれを抑える。

 純白のドラゴンは尻尾をレッドドラゴンに巻き付け飛んで行った。


 カイルとアイナはその場に立ち尽くすしかなかった。


読んでいただきありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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