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第11話 葉っぱ道




 ぬかるみにはまった馬車はすぐに動かすことができたが、兵士達がなにやら話し合っていてなかなか出発しなかった。


「この辺りは道が悪いので、少し戻って別の道を行くべきだという意見が出ておりまして」


 なにかあったのかとアルムが尋ねると、そう説明された。


(それじゃあ時間がかかっちゃう)


 遠回りに反対のアルムは停まっている馬車の列を見渡した。


 全部浮かせて移動しようと思えばできないでもないが、さすがにこの総重量では疲れてしまいそうだ。魔力は尽きなくても精神力が尽きるかもしれない。

 マリスを助け出す前に疲労困憊になるわけにはいかないのだ。


 なにか他にいい方法はないかと、アルムは腕を組んで思案した。


(馬車がスムーズに通れる道を造ればいいのか)


 要は濡れた地面に絨毯でも敷いて車輪が沈まないようにしてやればいいのだ。


 アルムは地面に手をかざし、天まで届くかというほどの大木を生やした。

 その木の葉をすべて落とし、地面に敷きつめる。葉を落とした枝には次々に新たな葉が芽吹き、また地面に落ちる。道のずっと先まで葉っぱの絨毯を敷き詰めて、アルムは「これでどうかな?」と呟いた。


 大量の葉を積み重ねて造られた一本道は少々やわらかくて道と呼ぶには不安定かもしれないが、今だけ馬車が通れればいいのだから十分だろう。


「どうでしょう?」


 最後に大木を枯らして地面に沈め跡形もなく消し去ったアルムが、振り向いて尋ねた。


「葉っぱー、たくさん!」


 エルリーはきゃっきゃっと喜んでいたが、他の者はぽけっと口を開けて大木が消えた後の虚空を見上げていて、返事をしてくれなかった。







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