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【書籍化】廃公園のホームレス聖女  作者: 荒瀬ヤヒロ
第三部 囚われの王子と聖女の大冒険
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第29話 エルリーのおてつだい




 エルリーはにこにこと喇叭を抱えて歩いているが、今のところ吹こうとはしていない。


 アルムはちらちら様子をうかがっていたが、やはりなんの変哲もない喇叭にしか見えず、エルリーがみつけて気に入ったのはただの偶然かとも思い始めた。


 しかし、行き先を指示して隠し部屋をみつけた先程のエルリーは「ここにあるのだ」という確信に満ちているように見えた。それに、隠し部屋をみつけた後は「あっち、あっち」と訴えることもなく、おとなしくアルムとセオドアについてくる。目的は果たしたとでもいうように。


(気にはなるけど、とりあえず外に出るのが先か。でも……)


「出口がどこかわからない~!!」


 アルムは思わず立ち止まって叫んだ。


 延々と同じような通路が続くばかりで、きちんと進めているのか同じところをぐるぐる回っているのかもわからない。


「出口はこっち、って看板を立てておいてくれればいいのに!」

「そんな親切な隠し通路は聞いたことがないねえ」


 アルムは天井をきっと睨みつけた。


「いっそ天井をぶち抜いて脱出しましょう!」

「それはいいね。その衝撃で古い地下通路が大崩壊して、どこかにいるかもしれないヨハネス殿下が潰れる可能性もあるけれど」


 セオドアが実に楽しそうに言う。

 そんなことになったら『事故に見せかけた悪質な犯行』として情状酌量の余地なしと判断されてしまう。アルムは力技での脱出を諦めざるを得なかった。


(頑張れ私! ここから出てヨハネス殿下達をみつけて、罪を着せられることなく家に帰るんだ! 闇雲に歩き回っても疲れるだけ……もっと楽に出口を探せる方法はないかな?)


 ***


 効率よくサボる……もとい、労力を最小限に抑える方法を探してうんうんと唸り出したアルムを見上げて、エルリーはぱちぱちまばたきをした。

 アルムがなんだか大変そうだと思ったエルリーは、お手伝いをしようと思いついた。大神殿ではいつも皆のお手伝いをして褒められているエルリーは、お手伝いには自信があった。


(おそとに出るドア、探せばいいの! エルリー、頑張る!)


 そう決めたエルリーはたかたかと石の床を駆けていき、アルムのそばから離れてしまったのだった。





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