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第8話 誕生祭本番、開催式 昼の部

 短くとも長いように感じる通路を歩きながら、私は案内役の後ろを歩きバルコニーに着いた。

 バルコニーに続く、部屋の中には同じ帝室の家族が全員揃っていた。

 「エルゼも揃ったようだね。」

 「申し訳ありません、少し遅れましたか?」

 「いえ、まだ時間に余裕があるから大丈夫ですよ。」

 父と母がそう言ってくれると、

 「ちゃんと挨拶の長文、考えてきたか?」

 「とりあえず深呼吸しておきなよ。」

 アルド兄様とマルス兄様がそう励まし、

 「いざとなったらエルゼなら誤魔化せるさ。」

 「エルゼ姉様なら大丈夫です!」

 レオン兄様と妹のリリィからも励ましを受ける。

 「みんな・・・うん、頑張りますね!」

 家族揃ってこうして行事に挑む事はとても幸せな事だと思った。

 「さぁ、そろそろ時間だよ。段取りの復習をみんなでしようか。」

 この幸せを胸に私は帝室の一人として、民の為に生きていこう、私はそう誓った。

 その後すぐに開会の時間になり、司会役の文官が魔法を併用した大きな声で、

 「これよりエルゼワイト第一王女様の誕生祭、開幕式を執り行います。まず最初に我がルルージェ帝国6代目帝王 アウスワルド リアン ルルージェ陛下の御拝見。」

 父が粛々と前に進み、バルコニーの一番前の所に立つ。

 「続いて、帝王妃エトワール リアン ルルージェ様、第一王女エルゼワイト リアン ルルージェ様の御拝見。」

 私はお母様と前に進み、民の前で手を振る。

 見に来てくれた民は大盛り上がりだ。

 「更に続きましては、ルルージェ帝国第一王子アルドハイド リアン ルルージェ様、第二王子マルスワール リアン ルルージェ様、第三王子レオンハルト リアン ルルージェ様、そして、第二王女リリアーヌ リアン ルルージェ様の御拝見。」

 続いて現れる兄妹達に、民達の興奮も更に盛り上がる。

 怪我人が出ないか少し不安だ。

 「祭りに怪我人なんざいつもの事なんだから、そういうのはこっちで対処するからお前は自分の役目を果たせ。」

 アルド兄様が視線だけこちらに向けて、民に手を振りながら私にそう言ってくれる。

 「はい、ありがとうございます。アルド兄様♪」

 私は笑顔になってアルド兄様にそうお礼を言った。

 アルド兄様は警備態勢の責任者の補助をやっているらしく、今回の誕生祭での防犯、防災に配慮を色々と労したと先程聞いたばかりだ。

 「それでは続きましては、本日誕生日を迎えたエルゼワイト様より開会の挨拶を御拝聴下さい。」

 私は拡声の魔道具の前に立って、少し息を深く吸い込み、言の葉を紡ぐ。

 「今日この日、我が敬愛する両親である帝王陛下、帝王妃陛下、そして我が愛する兄妹達とともに迎えられる事をとても幸せに思っています。それも我が帝国の臣下とあなた達民が、この国がより良くなるように努力して下さったからだと思います。全ての努力に感謝を示し、そしてこのルルージェ帝国がより良くなるように私もまた努力していくと、この空と大地、そして私達帝室を信じる臣下とあなた達民に誓います。ご静聴ありがとうございます。これにてルルージェ帝国第一王女エルゼワイト リアン ルルージェの挨拶を終わりいたします。」

 私の挨拶が終わり、一礼をして元の立ち位置に戻ると地鳴りのような民の声が響いた。

 「いい挨拶だったな、自分で考えたのか?」

 「ふふっ、あなたよりも心に響く挨拶だったかも知れないわね?」

 「お父様、お母様、ありがとうございます。」

 少し息を切らしながらも私は二人の評価に応えると、

 「エルゼ、ちょっと相談があるんだけど・・・」

 「マルス兄上、抜け駆けはズルいです。」

 「エルゼお姉様、私も教えてもらいたいです。」

 「リリィ、もう民の前でそんなに力一杯抱きつかないの」

 抱きついてきたリリィの頭を撫でながら、お父様が式を締めくくった。

 「では、これにて開催式を終了する、皆の者どうか楽しんでくれ!」

 轟音とも言える歓声と、私達帝室を讃える声を背後から受けながら私達はバルコニーから室内に戻った。

 「お疲れ様、みんなよく出来ていましたよ。」

 先に室内で待機していた宰相サーシャ ラルゼ閣下より誉めて頂いた。

 「ありがとうございます、サーシャおば様。」

 「今回の祭りも上手くいくでしょう、エルゼもよく頑張ったわね。」

 おば様に頭を撫でられながら、これからの予定を確認する。

 「今度は夜に帝室主催のパーティーを開くからそっちの準備をするわよ。とりあえず昼食を食べてからね。」

 そう言われて、皆で食堂に移動しながら、

 「今度は貴族向けの挨拶か~」

 「大丈夫よ、開会式の挨拶をするのはアウスだから、エルゼは個人での対応した時の挨拶を確認しなさい。」

 私とお母様が確認していると、

 「俺達も自分の番がきたら言えるようにしておかないとな、エルゼの後だと比べられるぜ?」

 アルド兄様が下二人の兄にプレッシャーをかけていた。

 「ほう、次のお前の誕生祭は期待してもいいという事だな?」

 「アルド兄様、リリィが応援してますね?」

 「なん、だと?・・・」

 そしたら、父と妹にハードルを上げられてた。

 レオン兄様とマルス兄様が爆笑してる。

 まぁ、こんな落とし穴に嵌まれば笑ってしまうわよね、私もお母様も笑ってるし、

 このまま昼食を食べて今度は夜の部、頑張るぞぉ~!!

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