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第7話 本番前の控え室で専属侍女とのふれあい

 そして、誕生祭当日、ついに本番を迎える。

 「はぁ~、流石に緊張します。」

 私は、今日の日程を確認しながらついつい不安を口に溢す。

 随分と緊張してしまっている自分をどうにかリラックス出来ないか考えていると、

 「エルゼ様、今日の下着の色は何色ですか?」

 「今日の下着はドレスに合わせて赤・・・ってサン!?何を聞いているの!?」

 緊張で上の空な私に、侍女のサンがイタズラをしてきた。

 「サン?今は私達しかいないから多目に見るけど、他のお客様の前でそのような事をしてはダメよ?」

 「わかってますよう、マリアだってエルゼ様の緊張を解すのにたまに抱きつくじゃないですか。」

 「ふふっ、エルゼ様専属侍女の特権ですから・・・」

 そう言いながらマリアは私を抱きしめ、優しく頭を撫でる。

 「二人はいいな~、堅苦しい式とかなくて・・・まぁ、他国に比べるとこの国は大分緩いみたいだけど・・・」

 「私はともかく、マリアは流石にエルゼ様の苦労がわかるんじゃない?」

 サンがマリアにそう話を振ると、

 「サン、エルゼ様も、今の私は一介の侍女ですので・・・まぁ、わからない事もないとだけは申し上げておきます。」

 「む~、ズルい・・・」

 「はぁ~、きゃわわ!!」

 「今日も実に可愛いですわ、エルゼ様♪」

 サンは平民の出だが、マリアは貴族出身だ。

 マリアの実家の家格は子爵家、それなりに長く続いている家で最近家を継いだマリアの兄が4代目になるのではなかっただろうか。

 まぁ、政略結婚の道具にされそうになったけど、元々マリアはかなりの才媛、学校の成績も上の方だったらしい。

 12才から入学する学校に5年在籍して卒業後に貴族女性は結婚する事が多いのだけれど、そこは我が国ルルージェ帝国の良いところ男女平等の精神が働いた。

 一応、男尊女卑のような意識がない訳ではない。

 むしろ、他国ではそれが普通だ。

 だが、我が国は実力主義だ。

 男でも女でも優秀な者を優遇するという文化が初代様の代で既に出来上がっているのだ。

 故に優秀な成績で学校を卒業したマリアは、色々な所からスカウトがきた。

 だが、本人は何故か使用人の試験を受けた。

 これには実家も大騒ぎになったらしい。

 本人に受けた理由を聞くと、

 「私、本当はお料理屋さんをやりたかったんですよね~」

 と、暴露したので私が授業を受けている時などのフリーな時間に食堂の手伝いなんかをやってもらったりしている。

 後は私が何か食べたい時にお菓子等を作ってもらって一緒に紅茶を楽しんだりしている。

 その辺りは私が自由にしていいと言われているので誰にも文句は言わせない。

 只、私の体調管理も彼女達の仕事なのでその辺りはしっかりと管理している、遅い時間だとホットミルクだけで済まされる。

 そして、普通の平民のサンが何故私の専属侍女になれたかというと、まず彼女は魔力が貴族出身のマリアよりも多いからである。

 そのせいで、2年程早く学校に入学しており、早い段階で魔力操作の訓練を受けている事と、読み書きと計算の勉強が終わっていたのである。

 勉学の成績も普通の平民の中では優秀でマリア程ではないが魔法の成績だけはマリアよりも良かったらしい。

 そんなサンの就職希望が何故使用人だったかは本人聞くと、もう訓練はしたくないからというと理由らしい。

 学生時代はお掃除と料理が唯一の息抜きだったらしく、その趣味を生かせて自分の中にある魔力を受け入れてもらえる職場はどこか?と考えたら侍女になるための試験を受けたらしい。

 そんな二人は今年で二十歳になるらしいが、恋人はまだいらないらしい。

 「「エルゼ様?同じ女性でも年齢の事は考えてはいけませんよ?」」

 「ひっ!?すいませんでした!?」

 そんな二人だから護衛も兼ねて私の専属侍女となっている。

 ちなみに二人の学校の成績だと護衛訓練の成績は一緒ぐらいらしい。

 二人ともつくづく才媛だなぁと思ってしまう。

 「エルゼ様、そのような純粋な瞳で尊敬の眼差しを向けないでください。」

 「流石に恥ずかしいですから・・・」

 「二人は私の尊敬する姉だと思っているから良いのです!」

 「「エルゼ様・・・」」

 そうして尊くて可愛い二人を見ているとドアがノックされた。

 マリアがドアを開けて用件を聞く。

 「エルゼワイト様、帝王閣下からこれより開催式が始まりますのでバルコニーの方へ集まるよう申し付けられております・・・」

 「わかりました、案内をお願いいたします。」

 「私達も途中までご一緒いたしますので、」

 「エルゼ様、頑張って下さいね!」

 二人の応援を背中に受けて、私は案内役の使用人の後ろをついていく。

 本番はすぐそこだ。

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