第3話 お風呂上がりの昼食と家族のふれあい
母とお風呂に入り、お互いに背中を流したりしながらふれあい、お風呂から上がって身支度を整えて、昼食の為に王族用の食堂に向かう。
「あら?お兄様達も今から昼食ですか?」
「みんなご飯の時位は一緒にってしているからね」
食堂に入ると、兄達三人が既に昼食をとっていた。
「別にいたっていいだろ、食事くらいで・・・」
なぜ不機嫌そうな一番上の兄、アルドハイド リアン ルルージェ(愛称、アルド)と、
「今日は母上と一緒なんですねエルゼ、お風呂上がりのようですが一緒に遊んでいたのですか?」
母と一緒にいた事に少しヤキモチを焼く二番目の兄のマルスワール リアン ルルージェ(愛称、マルス)と、
「あんまり走り回ると父上がまた心配しますし、母上だってお仕事がない訳じゃないのですから、・・・僕だって習い事が無ければ・・・」
最後にボソッと言った三番目の兄のレオンハルド リアン ルルージェ(愛称、レオン)が既に昼食をとっていた。
「あら、羨ましいのですか?お兄様達だって剣のお稽古や魔法の授業をしてらっしゃるのでしょう?」
言外に私も早くマナーや言語の授業以外にそういった授業も受けたいのだと言うと、
「・・・可愛げがない・・・」
憮然とした表情でレオン兄様がそう言うと、他の兄達も頷いた。
「ひどいですわ、みんなしてそうやって私をイジメるのですね?」
ヨヨヨと泣き真似をしていると、
「ほう?何やら楽しそうな話が聞こえるな?どれ、私も混ぜてくれないかね?」
「あら?あなたが昼食に間に合うなんて珍しいですね?」
そのセリフとともに現れたのは我が敬愛する父にして帝王、アウスワルドお父様だ。
実に楽しそうな笑顔だ、これは恐らく・・・
「ち、父上、僕達は別にエルゼをイジメてた訳じゃ・・・」
マルス兄様がそう言うと、
「女だからといって、エルゼを侮るとは言語道断!エルゼじゃないと言っても守るべき婦女子にあのような態度は騎士失格、男として失格だ。ここは父として一肌脱いで息子達に騎士としての、そして男としての生き様を肉体で語り合うとしよう!」
あ~、これはアレだ・・・私をダシにして息子と戯れようっていうお父様の魂胆が見える。
おまけに私を庇う事で断れない流れを作り、尚且つ私に良いところを見せ、お母様にもバッチリなアピールをしているのね・・・
流石は現帝王、十かそこらの子供にえげつないなぁ~
お母様の顔を伺うと、苦笑いはしているけど止めるつもりはないらしい。
お母様から見てもさっきのはアウトみたいだ。
お母様はお母様でお兄様達にいい男にするべく、色々と手を回しているみたいだし、仕方ないよね(逃避)
等々考えていると、
「え~い!!」
「きゃっ!?」
私の腰に可愛いドレスを着た女の子が抱きついた。
「もう、リリアーヌ?危ない事しちゃダメよ?だから私もぎゅうしちゃう!?ぎゅ~~♪」
「きゃあ~♪エルゼ姉様くるちい~♪」
抱きついて来たのは、妹のリリアーヌ リアン ルルージェ(愛称、リリィ)だった。
「あら?じゃあお母さんも一緒に二人をぎゅう~♪」
そこに母も混ざって、天国と地獄の境目が確かに存在した。
「父上、お仕事が忙しいのに無理をせず・・・」
「何、たまには体を動かさんとな!お前達の成長も気になるし、丁度良いだろう。」
アルド兄様が回避に躍起になっている。
最近、思春期突入して中々素直ではないのだがお父様に絡まれると、ああなってしまい今晩は精魂尽きるまで鍛練するに違いない。
「私達は書物を読んで、読み書きの練習をしましょうか?後は地図を見て周辺諸国とこの国、ルルージェ帝国の暮らしの違いについても調べましょうか。」
そんなお兄様達をスルーして、女子は女子で予定を組む、私達姉妹の先生役は今日は母がやってくれるようだ。
「本当ですか!?お母様!?」
リリィも嬉しそうだ。
「あっ、昼食が出来たみたいね。」
美味しそうな湯気が立ち上る料理が侍女達の手で運ばれてくる。
今日の料理は多分当たり料理だ。
初代帝王ルルージェ様の名が現在国の名前として使われ、私達帝室のサードネームに使われているのは世間一般にも浸透している常識だが、彼女が女性というのもかなりの常識だ。
つまり初代帝王は女帝なのだ。
そんな現在の我が国の礎を築いた名君なのだが彼女の功績と伝説は様々な書物として残っている。
曰く、法律というものを世界で一番最初に民にまで浸透させた名君。
曰く、街作りにとある発想を出し、上下水道とお風呂を広め、民に心の余裕を持たせる。
曰く、調味料を使った料理を数多の種類で開発して料理人達の神と呼ばれる程の美食を世に知らしめた。
他にも家作りや刀剣の作成方法にも意見を出し、質の良いものを職人に作らせ、その土地の発展に寄与したり、それだけではなくドレスやファッションの意見と機織り機や布の作成等、凄まじい方だったと帝室の書物には記してある。
また、教育にも力を入れ、民にも知識を教える事を是として、この城がある帝都に学校を作らせる等、初代帝王の正体は神であるなどと言い出す者もいる位だ。
それらを初代様は一生懸命に取り組み、この帝国の今の繁栄を作ったとして、次代帝王の代からこの帝国の名と私達帝室の名に彼女の名が記される事になった。
「私達のご先祖様はそんなに凄い事を成した方なのよ。」
「ふぇ~」
リリィは流石に全部を理解するのが難しいのか、少し実感が湧かないようだが、私は、前世の記憶を持っている私はわかる。
初代帝王ルルージェ様は、間違いなく転生、もしくは転移者である事がわかる。
流石にコンクリートなんかは作っていないようだが、それでも帝都の街並みが前世の感じに似すぎている。
長い年月をかけて、帝国250年以上の時間をかけて発展していった帝都だが、その基礎や基本は今も変わっていないらしい。
そして、料理が出た時の当たり料理の発言に戻るが、珠に料理人が要らぬチャレンジ精神を出して新作料理を出してくるのだ。
その中に、好意的に言って奇抜なものも出てくる為しっかりと確認してから食べないと悶絶する事がある。
お父様もお母様もその辺りが凄い寛容で、笑いながら食べるから凄いのよね~(遠い目)
まぁ、今日のスープとパンに鶏肉のステーキに野菜サラダはかなり安心して食べれるから安心よね。
「エルゼやリリィは将来どんな事を成すのか楽しみね?」
とりあえず今の私の目標は、剣のお稽古と魔法の練習を出来るようになる事ですと心の中で答えておく。
声に出すと間違いなくハードになるからね、女の子に生まれたのだから少しは優しくされたいからね!
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