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第14話 健啖一家と新たな命

 食堂に着いた私と母が目にしたのは所狭しと並んでいる料理だった。

 「お父様、夕食というには流石に早いかと思うのですが・・・」

 おやつどころじゃない料理の山に私は困惑しながら父に遠回しに大丈夫なのか確認すると、

 「何、エルゼもエトもたまには思いっきり食べるのも大事だと思うぞ?」

 私と母は顔を見合せ、苦笑いをする。

 「マリア、サン、お兄様達を呼んでもらえる?」

 「リリィも呼んであげて、私が連れて来てもいいと言っている事にしてね。」

 「「畏まりました。」」

 そう言って兄妹を呼びにいった二人を見送って、私とお母様も席について、思い思いの料理を食べる。

 「あぁ、白いお米・・・こっちの甘しょっぱいお肉の煮付けも美味しい・・・♪」

 「あら?さりげなく私の好物が・・・お酒まで、用意するなんて料理長は、今日は随分と本気ね?」

 「ふふっ、良い食べっぷりだね。俺もお代わりをもらえるかな?」

 多いと思っていた料理がみるみる内に減っていくと、

 「あー!?お父様もお母様もエルゼ姉様もズルい!私も食べるー!」

 「この量の料理を三人で?」

 「いや、俺らが来たら多分足りないだろ。」

 「僕やアルド兄上もそうだけど、レオンも最近は結構食べるだろ?」

 アルド兄様達も食堂に着いたが、さっきまで多いと思っていた料理が今度は少なくなった。

 「私はそうでもないけど、あなた達兄妹とアウスはかなり食べるわよね、リリィも女の子にしては食べる方だし・・・おまけにエルゼもリリィも太らないのは何故かしら?」

 私はお母様のその一言を受けて、自分が食べた皿に目を向けるが、

 「気にしません、成長期だから大丈夫です。」

 と言って更にお代わりを貰う。

 サンからお代わりを貰うとマリアがいない事に気付いた。

 「サン、マリアはどこに行ったの?」

 「マリアは厨房のお手伝いに、多分足りないし手が回らないだろうからって」

 「あぁ、なるほど・・・すると、マリアの作った料理はどれかしら?」

 「この皿とこの皿ですね、さっき本人に確認しましたから間違いないですよ。」

 「そう、ならいただきます♪・・・美味しい~♪」

 この後デザートまでしっかりといただいて、ご馳走さまと言ってから少しみんなで食休みをした。

 「う~ん、満足!」

 私がそうハジケると、

 「エルゼ、あなたも女の子なのですから男性のいる前では・・・」

 マルス兄様がくどくど言って、

 「・・・?何でエルゼがああいう感じの事をしてはいけないのですか?マルス兄上?」

 レオン兄様がマルス兄様の説教に疑問を呈していると、

 「大方、母上の専属侍女のクレアに女性のエスコートとマナーの講習を何回か受けさせられたんだろ?」

 アルド兄様がレオン兄様に答えを教えてあげる。

 「二人は一回しか受けた事がないから、あの講習の恐ろしさがわからないのです!?」

 「そんなに?そもそも女性に対する気遣いなんて普段から触れてはいけないなんてわかっている事じゃ・・・」

 レオン兄上の追撃は止まらない。

 「レオン兄様、マルス兄様は興味が持てない事は基本適当になってしまうから、その矯正もお母様にするように言われてると思うの。」

 「あぁ・・・なるほどな。」

 リリィが確信をズバリと言い当て、アルド兄様がそれに納得、レオン兄様も納得していました。

 「そう言えばリリィもそろそろ魔法の講習が本格的になってくる頃よね?」

 私は愛しの妹、リリィにここ最近の講習の成果を聞いてみると、

 「最近は魔力操作の重要性とその訓練法についてかな、私もエルゼ姉様のようにお外の訓練を早くしたいな~」

 「リリィも私と変わらないペースで講習が進んでいるからもう少しすれば、行けるかも知れないわね。」

 「そうね、リリィのペースもかなり早めで進んでいるからね、もうそろそろじゃないかしら?」

 親子三人、女同士で魔法談義をしていると、

 「アルド、公務の方は出来ているか?」

 「父上、向こうに混ざれないからって、こっちに絡まないで下さい。・・・公務に支障はありません、特に問題も起きてはいませんし、エルゼの時のような悪意も感じたりもしてないです。」

 「そうか、マルスの方は学校の者達と交流を持てているか?」

 「何で僕はいつもそんな扱いなんですか?別に話をする時は話をしますし、必要がなければ話をしません。」

 「マルス兄上、そう言う事を言うから父上達に心配されるんじゃ・・・」

 「レオンも馴染めているか?」

 「はい、皆で訓練するとまた違った感じで面白いです。」

 「一人での訓練と違い、皆と息を合わせないといけないからな、ただ頑張るだけでなくその者達の事もしっかりと理解するようにな。」

 お父様達は学校の話をしているようだ。

 学校、正式な名前はリアンルルージェ学院。

 少し長いので、学校かリアン学院とも言われている。

 学院なのに学校と呼ばれているのは当初は本当に只の学校という名前だったからだ。

 初代帝王ルルージェは呼び方にこだわりがなかったらしい。

 だから彼女が亡くなった後に彼女の功績と偉業を忘れない為に彼女が打ち立てたもののほとんどに彼女の名前の一部が使われている。

 「エルゼも後2年か~、早いモノね・・・」

 お母様がしみじみとしている。

 「それよりお母様、何かお隠ししている事はありませんか?」

 私がジト目で母を見ると、

 「お母様、妊娠してますよね?」

 「「「「え~!?」」」」

 「なぁにぃ~!?本当か!?エト!?」

 父が飛び上がりながら、母に近寄る。

 「お父様、お母様の身体は大事に扱って下さい!」

 「う、うむ、すまん、取り乱した。」

 「はぁ、エルゼ、いつから気付いていたの?」

 「確信は今日の講習をお母様が課題だけで済ませた時に、疑問は体調不良が少し多くなったかな?と思った時です。」

 「そう・・・やっぱり女同士だとバレるものね。」

 「後、さっきのお風呂でお母様のお腹もしっかりチェックしましたから。」

 「エルゼ姉様だけ、お母様と入ってズルい!?」

 「リリィはこの後私と入りましょ?」

 「む~、お母様に無理をさせる訳にはいかないのでエルゼ姉様で妥協します。」

 「あ~!?言ったね、リリィ~そんな事を言う子はこうだ!」

 「きゃ~♪」

 私は放心している兄達と父を置いて、

 「お母様、リリィとお風呂に入って来ますね?」

 「えぇ、いってらっしゃい、あまりはしゃがないようにね?」

 「「はぁ~い♪」」

 リリィと手を繋いで、私はマリアとサンを連れて再びお風呂に向かうのだった。

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