恐怖と覚悟
こんばんは、相井らんです。
なんとか今晩中に2話目を投稿できました。
今回の話ではカーライル視点で話が進みます。クレアが襲われたことを受けて彼らがどう思うのかを書きました。
正直カーライル視点は書きたくないのですが(笑)
しかし1度彼らが勇気を出してもらわないとこの後ノアが心を折ることが出来ないのです。
最後まで読んでいただけると幸いです。
俺は朝起きると驚くべき噂を聞いた。
クレアが襲われたという。クレアはこの王国の宮廷弓術を幼いころから学び、その腕は星をも射落とすといわれているほどだ。そして戦いのときは正確無比なその腕で俺たちをサポートしてくれている。そんなやつが本当にやられるなんて信じられない。
俺は半信半疑だったが病院に行ったが、確かにクレアが臥せっていた。朝早くに見つかった彼女の体には黒い斑点が浮かび、苦しんでいるようだ。
「クレア!大丈夫か!誰にやられた?」
「うぅうぅぅ」
クレアは唸るばかりだ。「カーライル、、、」
俺を呼び声を聞いてフレッドとアイナがいることに気が付いた。
「どう思う?誰がやったと思う?」
フレッドが聞いてきたが、俺は力なくわからないと返した。
そんな俺に対してフレッドが自身の考えを言ってきた。
「俺が見るにクレアは何らかの呪い攻撃を受けたようだ。だが、【聖騎士】である俺も呪いをはらうのは専門外だ。もっと詳しい【司教】の話を聞く必要があるとおもう。」
「そうか」
コンコンコン扉がなった。
「失礼します。わたしは【司教】のニコラスと申します。フレッド殿の知らせと王の命令を受けてこちらに参りました。」
そう言って男は頭を下げた。
「あぁ、頼んだ。クレアを見てやってくれ。」
俺はすがる気持ちで言った。クレアは一番初めに俺の仲間になってくれた。俺にとっての分身のような奴だ。
俺の体は不安で切り裂かれそうだった。
ニコラスは調べ終わったのか、診療結果を言った。
「端的に申します。クレア殿のこの黒斑は呪いです。しかも特級モンスター【カースドラゴン】の。彼女は今燃え盛る炎に身を焦がされる感覚と心臓をわしづかみにされる感覚を受けています。その痛みは常人では発狂するほどのものです。治す方法はわかりません、、、、、」
ニコラスは痛ましそうに言い、お大事にと言って退室した。
「馬鹿な、、、どうしようもないのか」
俺の口から出たのは否定の言葉だった。
【カースドラゴン】は軍隊を上げて討伐するクラスの驚異的な魔物だ。
よっぽどのことがない限り人間は手を出せない。手を出すことは自殺行為とされる魔物だ。
「そんな魔物がこの王都にいるのか、、、、」
俺の中の絶望が心を支配しようと手招きをする。そんな俺を救い上げたものがいる。【賢者】アイナだ。
「それ、おかしい気がする。【カースドラゴン】は20mを超える巨大なドラゴンです。そんなのが本当にこの周辺にいたのなら羽ばたき音や目撃情報があるはずです。」
「確かにそうだな。」
「きっと何者かが、自分の犯行を隠すためにしたに違いありません。私たちにできることはその下手人を捕まえて後悔させてやることなのではないでしょうか!」
アイナの力強い宣言に俺は力が湧いてきた。
「ああそうだ。こんなところで悲しんでいても仕方ない。俺はコルネア王に事の顛末を伝えて来る。また明日の朝、この部屋に来てくれ。」
「ああ、わかった。」
「気をつけてくださいね。」
おれは二人に言葉を残して俺は部屋を出た。
これが最後の会話になるとも知らずに、、、、
◆◆◆◆◆
「報告ご苦労【勇者】カーライルよ。ふむ、クレアが襲われたというのか。それは由々しき事態だな。王国がS級冒険者に認定した直後に襲われたとあっては王の権威が薄れようというもの」
コイツ、権力しか考えていないのか!俺は歯噛みした。だが確かに俺たち以外にもS級冒険者はいなくはないが、コイツの権力はコルネア王にとっては唯一無二だから仕方ないか。
そう考えて俺は落ち着くようにした。
「また一応であるが、王国内で【カースドラゴン】の目撃情報を探しておこう。仮に確認されたなら10年ぶりの大事になろう。今回のクレア襲撃犯が人間であることを願っているぞ。」
「はい、必ずや犯人を俺たちの手で捕まえて見せます!」
心の中では殺すと決めているのだが俺は王の手前表現をよわめた。
「ああ、そうだ。S級冒険者の証として【聖騎士】フレッドには聖盾ウルと【賢者】アイナには聖衣カプトを送ろう。近衛騎士を使って二人のために早めに送らせてもらう。2人が襲われんとも限らんしな。」
「ありがとうございます、コルネア王。こんな時ですが、二人も大いに喜びます。」
俺の返事の後にコルネア王は意外な事を言った。
「カーライルよ、おぬしにはもう一つ秘宝を与えよう。本来は【弓聖】クレアに送る予定だったが、使いこなせるであろう。」
俺が渡されたのは赤く輝くガントレットだった。
「これは、、、」
「それは昔国を襲った【鬼人】の腕を素材としたガントレットだ。【鬼人】のごとき力を与える能力を持っている。おぬしの剣は神速の域に達しよう。」
なんと、、、、これは人外の怪物【鬼人】の力を出せるのか、、、?
「ありがとうございます!必ずや、役立てて見せます。」
俺は力の象徴を手に入れたのだ。
「今日はもう遅い。明日、城下町に帰るがよい。」
王の言葉で俺の報告は終わった。
◆◆◆◆◆
同日夕方、フレッドとアイナの前に近衛騎士が立っていた。
「これは聖盾ウルです。フレッド殿の体を守ってくれるでしょう。この盾は聖属性以外の魔法を通さないのです!奥の手はございませんが、他の追随を許さぬ圧倒的強度を誇ります。
そしてこちらは聖衣カプトです。こちらはアイナ殿に渡すようにいわれました。カプトは着ているもののダメージを肩代わりしてくれるのです。奥の手として相手の視界を使えなくする技が出せるようになります。」
「ありがとう。大切に使わせてもらうよ。」
それでは私は失礼しますと言って騎士は去っていった。
クレアの敵討ちに燃える彼らにとって聖盾と聖衣は心強いアイテムであった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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