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コルネア

こんばんは、相井らんです。


今回は話の黒幕をとっちめます。次でカーライルと戦います。


最後まで読んでいただければ幸いです。

「ふう、カーライルは行ったか。ソフィアとかいう少女の正体が30年以上前に私と争った少女でなければいいが、、、」


コルネア王がそう漏らしたとき、バリン!と上から音がした。

パラパラパラ天井からガラスが降ってくる。


「わっ!なんだ!」


「全くなんだとは失礼ね。久しぶりに会ったというのに、、、コルネア?」


そこには白い髪、赤い目をし、ゴスロリを来た16歳ぐらいの少女がふわふわと浮いていた。


「な!ソフィアなんだその姿は!お前は死んだはずだろ!私が殺したんだ!それに仮に生きていたとしても50歳は超えているはずだ!」


「そうね。それじゃ改めて自己紹介するわね。わたしは【リッチ】のソフィア。あなたが墓所と呼ぶダンジョンで【リッチ】となった哀れな少女よ。」


「【リッチ】だと、、、嘘だ!仮に【リッチ】が現れたなら、周囲の村々が死に覆われるだろう。適当なことを言うな!」


そうなのだ。【リッチ】は強力な魔法を扱い、その秘術は死者をよみがえらせ、使役する。【リッチ】の手勢は生者を襲い、その哀れな犠牲者を新たな手勢に加える最上位アンデットなのだ。


しかし、ソフィアはコルネアの言葉を聞いて、あきれたように言った。


「良かったわね。私は【リッチ】だけど、元人間よ。別に人の生気に飢えているわけでもないのに、人を襲うわけないじゃない。それにもしこの国の人たちを殺してみなさい。私の人間時代の従者や世話になった人を殺すことになるわ。」


コルネアはソフィアの言葉を聞いて安心した。しかし彼にはもう一つ懸念がある。

彼は簒奪者なのだ。本来はソフィアが座るであろう玉座に座っているのだ。


「そうか、それはよかった。だがどうやってあの墓所の最深部から出てきたのだ。あそこの壁と扉にはお前の魔力に反応して弾き飛ばす魔法があったはずだ。」


やっと本題に入ることが出来るとソフィアが笑う。その少女の笑いは美しかったが、今のコルネアにとっては恐怖を抱くものだった。


「その質問への回答は私がここに来た2つの目的のうちの1つと関係するわね。」


そう言って、ソフィアが上を見る。

天井の光の中を一人の男が下りて来る。その姿はまるで神話に描かれる天使のようであったが、一つだけ違う点があった。

その男の背中についている羽は純白ではなかった。それは見る者の恐怖をあおる黒い竜の羽であった。


「ノアか、、、!」


その男は現在クレア、フレッド、アイナ襲撃犯としてカーライルが探しに行っている男だった。


「やぁ、コルネア王、俺がソフィアを閉じ込めていた部屋をぶち壊したんだ。だから彼女はあの陰気な部屋から出られたんだ。」


「、、、落っこちてきただけじゃない。調子がいいこと言ってんじゃないわよ。」


後ろでソフィアがボソッと言った。

ソフィアの方を振り返りキッとノアがにらんでいう。


「いいところなんだから静かにしていてくれよ。俺がソフィアとここに来た理由を話そう。俺はあんたに聞きたいことがあってきたんだ。」


ノアは和やかに話しかけてきた。それがコルネアには不気味だった。


「俺ってダンジョンの最深部でカーライル達に置いてきぼりにされたんだよな。知ってるよな。」


「あぁ」


コルネアが答えた瞬間、前に立っている男から強烈な圧が放たれた。


「やっぱりお前だったのか!確かにカーライルは言った。俺が生きていると困る“お方”がいると、あいつがそんな風に言う相手は上級貴族か、王族だろうからな!」


気が付くとコルネアの前にノアが立っており、顔がつかまれていた。その手は人のものではなかった。


「ひぃ!」


「安心しろよ。俺はあんたが俺についてどう思おうとどうだっていいんだ。ただ一つ聞きたいことがあるだけなんだ。」


コルネアはその言葉を聞いて安心した。


「なぁ、【魔物使い】にはどんな秘密があるんだ。俺は墓所で【カースドラゴン】を倒してから能力が覚醒した。何が起きた?」


コルネアにとってその質問は意外なものだった。


「【魔物使い】はレアな職業なのだ。どこで誰がいつどんな能力を持っていたかというデータは少ないのだ。だが、過去一人の【魔物使い】が天災と化したのだ。」


「天災?」


「過去に≪テイム≫スキルで無数の魔物を操り、欲望に取りつかれた男がいたのだ。本人もあまたの魔物の姿に変化し、そのスキルを使ったのだ。その男は当時最強の称号を欲しいままにしていた。それだけでなく男は多くの国を潰し、この世界に覇を唱えた。

その男の本名は知られておらず、ただ【魔王】と呼ばれていた。

最後は全人類と神の加護を受けた【勇者】によって打倒されたのだがな、、、

これは国を守る義務を持つ王にのみ明かされることなのだ。」


「【魔王】か、、、なるほど、だから俺を殺そうとしたのか。確かに俺の力は人の域を超えてしまっているのかもしれないな。」


「どういうことだ?」


「ん?教えてやろう、、、アイナ!」


トンっといきなりコルネアの前に少女が現れた。その少女は黒い髪を持っていた。

それはノアに連れ去られたアイナだった。


「はーい、ご主人様何用ですか?」


「馬鹿な!【賢者】アイナをテイムしたというのか、、、!」


コルネアの顔が蒼白になる。この男の力は伝説の域に達しようとしている。

その事実がコルネアに激震を走らせたが、彼には戦う力はない。【勇者】カーライルもいない。


「いやここの愚王に俺の力を見せただけだ。」


さらに少女の姿をした絶望がコルネアに襲い掛かった。


「さて、ノアの目的も済んだことだし、もうひとつ行きましょうか」


ソフィアが意味深なことを言っている。


「もう一つ?」


「ほら、目的は2つあるって言っていたでしょ。1つはノア襲撃の首謀者の特定、もう一つは、、、、復讐よ。」


ソフィアがニヤリと笑う。そして彼女の言葉とともにコルネアの体が浮く!


「な、おい!ノアよ。私のことを襲わないといったではないか!」


コルネアの叫び声に対してノアは興味なさげに答えた。


「あぁ、俺は確かにあんたに質問するだけだが、ソフィアがどうしようと勝手だろ。そもそもソフィアが俺と一緒にいる理由が復讐のためだしな。」


「な!」


「はーい、というわけで、30年前の恨みを晴らさせてもらうわよ。、、、よくも私を追放し、私の物になるはずの玉座を奪ったわね!」


死者たちの王の声が生者の国の王の間に響き渡る!


「≪死霊魔法・クリエイトアンデット≫!」


その日、王国の主は人でなくなった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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