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異世界でもお米が食べたい  作者: 善鬼
第2章  王国辺境_農地開拓編
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閑話 第7話

 この村で祭りが開催されるらしい。


 村長の指揮の元、例年より多い税を納めて少し時間が経った。不満そうな顔をしている人も多かったが、村長に諭されてしぶしぶ納得したようだ。


 税である麦は、ジョンさんが中心となって若い男衆と荷車で運んでいった。


 その男衆が帰ってきてから、ここ数日は、村人総出で畑に種を植えていた。もちろんオレも手伝った。オレが植えたのは種イモだったけど。

 この村のイモは少し水っぽい。蒸してそのまま食べるなら、日本のジャガイモの方が美味しかったな。


 まあ、ともあれ、植えた農作物の豊作を精霊に祈ることが、祭りの本題らしい。


 精霊ってなんなんだろうな。村の人の話にちょくちょく出てくるけど、日本でいう神様みたいなものだろうか。


 魔術っていうのは、精霊に魔力を渡してお願いを聞いてもらうものだ。ってルヴィが言っていたけど、本当にいるのだろうか。普通は見えない存在らしいし、実在するのか怪しい気がする。


 さて、オレも祭りの準備に駆り出されている。1日の半分は森の中だ。精霊に捧げる料理に使う薬草だったり、飾りの花だったり、何に使うか分からない木の実だったりを集めている。

 今も森にいる。地面に目を凝らして、薬草探しの最中だ。


 最近は森を歩くのも慣れてきた。浅い場所限定だけど。村に貢献できるのはいいことだ。


 ただ、最近変な感覚がある。


 今も、藪を避けようとしたときに感じた。名状し難い感覚だ。


 無理やり例えるなら、コートを着た上から、羽毛で撫でられている感じだろうか。

 はっきりとは感じないが、何かがあるのは分かる。変な感覚だ。


 森に入ったり、近くで誰かが魔術を使うと感じる。これが魔力なのだろうか。でも、他の人に聞いても、魔力は直接触らないと分からないと言われた。


 謎だ。そもそも魔力とはなんなのか。


「ピー、ピピピ、ピュー」


「うお、と」


 野鳥の鳴き声で我に返った。危ない、危ない。森の中で考え事をするものじゃない。さっさと薬草を探さないと、暗くなってしまう。

 夜の森は、人の目では見通せない。早く終わらせないと。


 止まっていた足を動かし、オレは薬草探しを再開した。





 森から村に戻り、収穫物をパルメさんに渡したら次の仕事だ。オレが力仕事では役に立たないことは、村では周知の事実なので、回される仕事は細かいものだ。


 今は、年配の人や女性陣と一緒に縄をなっている。

 出来上がった縄は、精霊へのお供え物を作るのに使ったり、豊作のおまじないで木の実を結んで軒先に吊るしたりするらしい。


 隣の家のユリカさんが教えてくれた。ユリカさんは木こりのダンさんの奥さんだ。娘のレンちゃんも一緒に縄を作っている。


 それにしても。


「たくさん必要なんですね」


 手が痛くなってきた。最近厚くなってきたオレの手のひらも、縄との摩擦ですっかり赤くなっている。


「そうなのよー。毎年、お祭りのときは大変なの。いっぱい使うから」


 オレの隣に座っているユリカさんは、そう言いつつも、素早く手を動かしている。はやいなー。性格はおっとりしてるのに。


「むー。上手くできない」


 娘のレンちゃんは不器用らしい。小さな両手の間にある縄は不格好だ。それに、さっきから、ブチ、ブチ、と材料のわらが切れている音がする。レンちゃん力強すぎない?


「あらあらー。こうやるのよー」


 ユリカさんが、レンちゃんに見本を見せている。

 オレも、10歳の女の子にすら力で勝てない現実から逃げて、ひたすら縄を作るとしよう。

 悲しくはないさ。もう慣れた。





 今日のノルマが終わったので、ルヴィの家に戻る。


「むむ?」


 また、あの感覚だ。違和感。異物感。無いのが正しいのに、有ってしまうような変な感覚。近くからだ。

 ……家の裏?


 家の裏に回ると、ルヴィが鹿?の解体をしていた。近くまで来ると血の匂いもする。

 鹿、だよな?硬そうな鱗があるけど。


「おかえり」


「あ、うん。ただいま。ルヴィ魔術使ってた?」


「ん~?魔術は使ってないな。身体強化は使ってた」


「そう」


 やっぱり、オレが感じているのは魔力なんだろうか。もしそうなら。この感覚。魔力を感じるということは、魔力はオレに影響を与えているということだろう。

 だとしたら、オレも魔力に影響を与えることが出来るんじゃないだろうか。魔術が使えなくても、他の手段なら……。


「おーい。コーサクー?聞いてるかー?」


 ルヴィが鹿の解体を続けながら、オレに話し掛けていた。やべ、考えこんでた。


「ご、ごめん、聞いてなかった。なに?」


「祭りのときは、豪華な飯を食うもんなんだけどさ。森で採ってきて欲しい食材はあるか?」


「えーと、ちょっと待って」


「おう」


 森の食材。ルヴィが行く森の奥で欲しいものは……あれかな?


「それなら、卵かな。ルヴィが前に1回とってきたやつ。茹でただけで美味しかったし。あ、そうだ。大人しい鳥とか森にいない?家で飼えたら、いつでも卵食べられるよ」


 うん。養鶏だ。


「う~ん、鳥ごと?そこまでする?」


「出来れば。卵、美味しいじゃん」


「まあ、美味いけど」


 ルヴィが唸りながら考えている。


「う~ん。分かった。ちょっと探してみる。無理だったら、卵だけになるかも」


「うん!ありがとう!」


 卵があれば、料理のレシピも増える。養鶏できたらいいな。


「ああ、鳥がいなかったら、卵、蛇のでもいいか?」


 蛇?……蛇!?


「蛇?卵?え?食えるの?」


「食えるよ」


 マジで!?


 ええ……いけるかなあ。蛇の卵、使えるのか?オレ。


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〇コーサクの過去編 : 『ある爆弾魔の放浪記』  

〇ルヴィ視点の物語 : 『狩人ルヴィの故郷復興記』

シリーズ外作品 〇短編 : 光闇の女神と男子高校生な勇者たち
― 新着の感想 ―
[気になる点] 閑話と本編が交互に来るのはストーリーに集中できないです。 [一言] 魔物退治、料理、日常生活など盛りだくさんの要素が丁寧に描写されていて、架空の世界をしっかりと堪能出来ます。
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