表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でもお米が食べたい  作者: 善鬼
第2章  王国辺境_農地開拓編
62/304

お買い物

 オレの家の住人にロゼッタが増えてから数日が経つ。

 ロゼッタが来た翌日に払いに行った鎧の金額は、目を疑うくらいだった。


 うん。貯金していて良かった。あの金額を即金で払える個人が、この都市に何人いることか。家1軒どころじゃなかった、2軒分くらいの金額だったよ。

 店で1番高いものを借りたとロゼッタは言っていたが、本気で最上級品だった。そんなものレンタルに出すなよ。


 金は景気よくふっとんだが、まあ、別に後悔はしていない。また貯める。


 そして、今日はさらにお金を使う予定だ。


「ロゼッタの剣と鎧、買いにいこうか」


「む?お金はないぞ?」


 知ってる。


「オレのおごりで」


「……さすがにそれは悪いだろう」


 うん。そう言うとは思ってた。ふふふ。だけどオレも理論武装済みなのだ。


「大丈夫、大丈夫、オレのためでもあるから。オレはたまに森に入るからね。その時はロゼッタに護衛して欲しいんだ。剣も持たずに護衛は出来ないでしょ?」


「む、むう。確かに素手では難しいが……」


 もう一押し。


「それに、この前みたいな人攫いがまた出るかもしれないからね。誰かを守るためにも、ロゼッタには戦える状態でいて欲しい。お金はあるから気にしないで」


「……そうか。分かった。なら、ありがたく買ってもらうとしよう。だが、代わりに私もコーサクの仕事を手伝うぞ」


 説得は成功したけど、え~、仕事の手伝い?ロゼッタに任せられる仕事はあるか?ドジっ子が発動しても損害が少ないところ。え~と……。


「あ~、帳簿の管理、手伝ってくれる?1人だと大変だったんだ。計算は大丈夫だったよね?」


「ああ。任せておけ。幼い頃に家庭教師にみっちり仕込まれたからな。計算はけっこう得意だ」


 よし。計算間違っても、2人でチェックすれば問題ないだろ。ナイス判断だ、オレ。下手に肉体労働とか頼むと被害が出るからな。素材が入った重い木箱とか、手が滑ってオレに当たったら死ぬよ?


「うん。帳簿の管理については後で教えるよ。じゃあ、買い物に行こうか」


「うむ。よろしく頼む」


「あ、タローは留守番な?」


「わふ」


 ロゼッタと2人で家を出る。向かう先はガルガン親方の店だ。オレはどの店がいいとか知らないからな。相談させてもらおう。


「ふふ。そういえば、剣を買うのは初めてだな」


「ロゼッタは、ずっと騎士時代の使ってたもんね」


「ああ、どんなものがあるだろうか」


 隣を歩くロゼッタはご機嫌なようだ。やっぱり戦う者として、自分の装備を整えられるのはうれしいのだろう。


 ロゼッタに剣と鎧を買う一番の目的は、ロゼッタの安全だ。どうせ何の装備もない状態でも、誰かが危なければ突っ込んでいくからな。それなら、早く万全に戦えるように準備する方がいい。


 心地よい日差しが降る明るい道の上を、2人で歩いて店に向かった。






 長い。ロゼッタの装備選びが終わらない。今もガルガン親方と話し込んでいる。オレには内容がさっぱり分からない。


 ガルガン親方の店に来て事情を説明し、金に糸目を付けないと言ったところ、それはもう色々な装備が出てきた。

 それらの武器や防具について、ロゼッタが聞いたり試したりしている。ただ待っているオレは暇だ。


「ふむ。この剣もなかなかいいな」


「だろう?そいつは風刃翼竜の素材使ってからなあ、切れ味は保証するぜ?」


 2人とも楽しそうだなあ。


 オレには武具の目利きができない。魔道具ならできるけど。剣とか使わないからな。

 普段のオレでは剣を持ち運ぶのも一苦労だ。剣持って森で歩けないだろ?鎧なんて着たら動けないぞ?

 オレが普段使えるのは、持ち運びしやすい魔道具がせいぜいだ。


 装備選びは役に立たないから、今日はただの財布役だな。その金はある。というか昨日入った。氷龍対策の報酬だ。


 オレが大量に作った魔道具は、全て都市で買い取ってもらえた。しかも、緊急時の都市への貢献ということで、税金が全額免除だ。凄まじい金額になった。しばらく遊んで暮らせるくらい。

 まあ、金がいくらあっても、お米を探すために働くんだけど。


 ロゼッタの装備選びはまだまだ終わりそうにない。剣と鎧を買いに来たのに、2時間くらい経った今でも剣を見てるからな。鎧を含めたら今日中に終わらないんじゃないか?


 ああ、暇だ。今日の夕食のメニューでも考えておくか。ロゼッタはがっつり食べるから、肉料理が必要だとして、夏だしな、旬の野菜が使いたい。そういえば、タローも最近食う量増えたんだよなあ。成長期か。


 とりあえず、帰りに市場に寄って品ぞろえを見るとしよう。お米があればなあ。夏野菜カレーとか作りたいんだけど。

 カレー、前にスパイスの調合難しすぎて諦めちゃったんだよなあ。ひたすら色々なスパイスの組み合わせを試しながら、『なんでお米がないのにカレー作ろうとしてるんだろう?』って思って心が折れた。

 オレの中でカレーの相手はライスだけだ。


「コーサク、これとこれ、どっちがいいと思う?」


「うお!?」


 急に話し掛けられて、ちょっとビクっとした。目の前に立つロゼッタのそれぞれの手に剣がある。いつの間に近づかれた?


「え~と、ちょっと待って」


「うむ」


 両方とも直剣だ。右にあるのは武骨な剣。刀身は太め、装飾は一切なし。ただ、機能のみを求めた鈍い輝きには、ある種の美しさを感じる。

 左の剣は優美だ。細めの刀身に、冷たさを思わせる刃。根本に魔石が嵌められているのを見るに魔道具でもあるのだろう。


 どっちがいいか。


「こっちかな?」


 オレが選んだのは左の美しい剣。なんとなく、感じる魔力が心地よかった。あと、魔道具ならオレがカスタマイズできるからな。機能追加したい。


「うむ!そうか。私もこっちだと思っていたんだ。うん。剣はこれにしよう」


 うん?オレに聞く意味あった?


「さて、次は鎧だな!」


「おう。こっちだぜ」


 2人の興味が鎧に移る。あの様子だと、まだまだ時間がかかりそうだ。


 悪いなタロー。今日の夕食は遅くなるかもしれん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければこちらもどうぞ! 『お米が食べたい』シリーズ作品

〇コーサクの過去編 : 『ある爆弾魔の放浪記』  

〇ルヴィ視点の物語 : 『狩人ルヴィの故郷復興記』

シリーズ外作品 〇短編 : 光闇の女神と男子高校生な勇者たち
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ