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異世界でもお米が食べたい  作者: 善鬼
第1章  自由貿易都市_氷龍飛来編
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販売開始

 今日は祭りの開催日だ。改造馬車に食材その他諸々を積んで、リックから教えてもらったオレの屋台スペースを目指す。

 荷物の載った馬車はかなり重い。まあ、オレは牽いていないのだが。


「レックス、馬車の移動手伝ってもらって悪いね」


「ははは!気にするな!どうせ最初の客は俺だからな!開店に合わせて行くのも、今行くのも大して変わらん!」


 時間ではなく、労力について言ったのだが、この程度だと動いた内に入らないんだろうか。


 昨日オレはひたすら鶏肉とジャガイモを切り、食材の準備をした。祭りは4日間開催されることになったが、どれくらい売れるだろうか。


 空は相変わらず白く曇っていて、気温も低い。熱々の揚げ物は売れると思うけど。


 オレの割り当てられたスペースに着き、改造馬車の展開と看板の取り付けもレックスに手伝ってもらった。

 周囲には既に屋台がいくつも並び、販売を開始している屋台もある。雪像を見に行っている人が多いのか、この辺りの人通りはまだ少ない。


 屋台はオレ1人で回すつもりだ。魔力アームを使えば数人分働ける。誰かに手伝いをお願いしようかとも思ったが、知り合いは皆、この都市で初めての雪祭りを見て回りたいようだったので頼むのはやめておいた。邪魔するのも悪い。

 タローも孤児院で見てもらっている。


「さて、じゃあレックスの分を揚げようか」


「おう!頼んだ!」


 屋台の準備も終わったので、レックスの分を作り始める。この屋台の最初のお客さんだ。お金は取らないけど。


 鶏肉とジャガイモを揚げる、油の弾ける音が響く。近くの店主や通行人も、何事かとこちらを見て来た。


 出来上がった唐揚げとフライドポテトを木の串に刺してレックスに渡す。


「はい、どうぞ」


「おう!いただくぜ」


 レックスが熱々の唐揚げに齧り付く。何やら目を見開いた。


「美味いな!!」


「ははは、良かった」


 それはなにより。レックスはそのまま唐揚げとフライドポテトを勢い良く食べ終わってしまった。

 とても美味しそうに食べるので、何人か他のお客さんが来てくれた。宣伝させたみたいになっちゃったな。


「いらっしゃいませ~」


「1本ずつもらえるかい?」


「毎度ありがとうございます!」


「おっ、美味いな」


「俺にもくれ!」


 この都市の人達の口にも揚げ物は合うようだ。

 今はまだ朝。屋台のピークは昼頃だろう。その時間が勝負だ。


 さあ、頑張って売るとしよう!






 やばい。


 何がやばいって、予想よりお客さんが多い。

 昼時になって、屋台に来るお客さんが激増した。さすが商人の都市、珍しいものには敏感なようだ。


「唐揚げってヤツを3本と、イモを3本くれ」

「はーい!ありがとうございます!」


「両方1本ずつちょうだい!」

「はい、どうぞ!」


「肉の方だけ10本」

「少々お待ちください!」


「それぞれ5本ずつ。あ、串はいらないわ。このお皿にいれてもらえる?」

「かしこまりました-!」


 い、忙しい。


 既に身体強化を発動した上で、魔力アームを6本使っている。

 商品を渡すのと会計をオレがやり、調理は魔力アームがフル回転だ。


 魔石に貯めてある魔力がガンガン減っていく。あれ?これ売れるほど、魔石代で赤字じゃない?

 あ、後で考えよう。今は並んだお客さんをさばくんだ。


 ずっと笑顔で接客しているせいで、顔が強張って来た。


 オレは会計で突っ立っているように傍からは見えるかもしれないが、頭の中は魔力アームの操作と、金額の計算でいっぱいだ。けっこうきつい。

 脳を強化しても思考の分割は難易度が高いのだ。でも、屋台の前で美味しそうに食べるお客さんの顔を見るとちょっと疲労が軽減される。


 だが、オレの疲れは、この都市に揚げ物が受け入れ始めている証拠だ。うん、頑張ろう。当初の狙い通り、揚げ物の美味しさを広めるのだ。


 はっはあ!お前ら全員、油の虜にしてやるぜ!


「いらっしゃいませー!!」


 オレの戦いは(かき入れ時)始まったばかりだ。


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〇コーサクの過去編 : 『ある爆弾魔の放浪記』  

〇ルヴィ視点の物語 : 『狩人ルヴィの故郷復興記』

シリーズ外作品 〇短編 : 光闇の女神と男子高校生な勇者たち
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