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異世界でもお米が食べたい  作者: 善鬼
第1章  自由貿易都市_氷龍飛来編
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求む鶏肉

 この都市には屋台通りという場所がある。提供されている料理は様々だ。肉を焼いたり、魚を焼いたり、炒め物の軽食だったり、煮込んだスープだったりする。

 たくさん種類があるのだが、見かけないものがある。揚げ物だ。


 そもそも、この都市では揚げ焼きにするくらいで、ちゃんとした揚げ物はほとんど食べられていないのだ。油が高い訳でもないのに。不思議だ。


 という訳で、そこに一石投じようと思う。オレは鶏の唐揚げとフライドポテトの屋台を出す。


 オレは揚げ物も好きだ。鶏の唐揚げでご飯を食べるのも好きだし、かつ丼を掻き込むのも好きだ。今回の屋台の狙いはこの都市での揚げ物の認知度を上げることだ。

 一度、揚げ物の美味しさを知ってしまえば、この都市の店でも揚げ物の料理が増えることだろう。

 いつかお米が見つかったときのために、おかずに出来る料理は増やしておきたい。


 屋台にはオレの改造馬車を使う。料理スペースは問題ない。後はメニューと値段を書いた看板を立てればいいだろう。


 問題は仕入れだな。ジャガイモはいつもあるのでいいとして、鶏肉が問題だ。今の状況で屋台を出せるくらいに購入できるだろうか。

 駄目だったら、ただのフライドポテト屋さんだな。


 とりあえず、相談に行ってみるか。




 都市郊外、やって来たのは養鶏農家さん。卵と肉の両方を扱っている。オレもよく卵を買いに来る。


 ここに卵を買いにくる度に、卵かけご飯が食べたくなる。あったかいご飯に卵を乗せて、醤油垂らして、ちょっとかき混ぜて食べたい。超美味そう。


 ……まあ、この世界の卵は生食できないんだけどね。生だとオレの毒見の魔道具が反応する。


 お米を見つけたら、卵の生食の方法を調べよう。たしか何かの菌が原因だろ?殺菌……?


 まあいいや。それは置いておいて、今は卵より鶏肉だな。


「ごめんくださーい」


「はーい!あら、コーサクさん、いらっしゃいませ」


 出て来たのはここの奥さんだ。


「すみません、鶏肉のまとめ買いって出来ますか?祭りの屋台で使いたいんですけど」


「ああ、お祭りね。わたしも昨日聞いたばっかりよ。でも、ごめんなさいね。さすがに今日明日で大量には捌けないのよ。他のお客さんもいるから、あまり数は売れないわ」


「そうですか」


 ふむ。まあ、当然か。無理を言う訳にもいかないな。しょうがない。屋台のメインはフライドポテトだな。鶏の唐揚げは数量限定にするか。


「分かりました。とりあえず、買える分買ってもいいですか?」


「ええ、いいわよ。毎度ありがとう」


 家に帰って看板でも作るか。明日1日でジャガイモの処理だな。




 家に帰る途中、巨大な荷物を頭上に掲げた、真っ赤な人影を見つけた。遠目だから良く見えないけど、あれレックスじゃない?

 髪も服も真っ赤な、先鋭的なセンスの着こなしはレックスくらいだろ。何持ってるんだろ?なんだ?丸い毛玉?黒いな。


 レックスがこちらの視線に気づいたようだ。片手で荷物を持ち上げ、手を振ってくる。


 レックスの身長と比較して、荷物は5m近くありそうなんだが、片手で大丈夫なんだろうか?……大丈夫か。レックスだしな。


 近づいていくと、荷物の正体が見えて来る。魔物だな。でかい魔物がロープで丸く縛られて固定されている。


「やあレックス、元気?」


「おお!元気だぜ!コイツを狩ってくるくらいにな!はっはっはあ!コーサクは元気か?」


「うん、元気元気」


 レックスの髪はばっちり逆立っている。調子は良さそうだ。テンションも高い。


「今回は何狩ってきたんだ?」


「コイツか?コイツは金王冠黒鶏だな」


「へ~、強そうな名前だな。……って鶏?」


 鶏なのこの毛玉!?


 よく見てみると、首と脚が切断された鶏のようだ。断面は、初めから先が無いのが正しいように美しく滑らかだ。


 ……このサイズなら、唐揚げが何個作れるか。ちょっと買い取りを相談させてもらうか。レックスが狩る魔物だから高額かもしれないけど。


「レックス。この魔物を売る予約は入ってる?なかったら買わせて欲しいんだけど。鶏肉、祭りの屋台で使いたいんだ」


「お?ははっ、そんな買うなんて水臭いこと言うなよ。やるよ、この鶏。その代わり、屋台の料理は一番最初に食わせろよな!」


「お、おお。本当に?え、うん。ありがとう。すごく助かる。屋台で好きなだけ食べていってよ」


「おう!楽しみにしてるぜ!」


 レックスのおかげで大量の鶏肉が手に入った。これで屋台では、鶏の唐揚げとフライドポテトを出すことができそうだ。レックスには揚げたてを贈ろうと思う。

 後はこの鶏の解体だけど……。


「……解体は冒険者ギルドに頼もうか。レックス、運んでもらえる?」


「任せとけ!」


 オレじゃあ、このサイズの魔物の解体は厳しい。ベテランのベギウスさんに頼むとしよう。


 食材の問題は解決した。後は、オレが美味しく揚げるだけだ。さあ、思いっきり準備をしよう。オレがこの都市に、揚げ物ブームを巻き起こす!


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よろしければこちらもどうぞ! 『お米が食べたい』シリーズ作品

〇コーサクの過去編 : 『ある爆弾魔の放浪記』  

〇ルヴィ視点の物語 : 『狩人ルヴィの故郷復興記』

シリーズ外作品 〇短編 : 光闇の女神と男子高校生な勇者たち
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