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異世界でもお米が食べたい  作者: 善鬼
第1章  自由貿易都市_氷龍飛来編
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熟睡の後

 差し込む光に目が覚めた。朝か。


 昨日寝不足の勢いで盛大にフラグを立てたような気がしたが、オレの睡眠は邪魔されなかったようだ。


 かなり気分がいい。体が回復しているのが分かる。たった一晩熟睡しただけで、ここまで回復するとは、オレもまだまだ若いということか。


 ベットから降りてキッチンを目指す。なんだかとても喉が渇いている。気温が下がって乾燥しているせいかな?


 お茶を飲みながら窓の外を見る。雪は降っていない。悪くない天気だ。冬にしてはだけど。


「あ~、買い物行くか。市場開いてるかな?」


 なんだか新鮮な野菜が食べたい。今、家にあるのは穀物類と保存食がほとんどだ。買い物に行こう。




 市場は開いていた。厚手の服を着ながら、都市の住人たちが威勢よく活動している。

 うん、この分だと都市の生活にもあまり影響は出ていなそうだ。良かった。


 さて、何かいいものはあるかな?


「あれ?コーサクさん。おはようございます」


「うん?ああ、イルシア。おはよう」


「一昨日はどうもありがとうございました」


「おと、とい?」


「はい?」


 ん?豚汁を作ったのは昨日だ。昨日、炊き出しが終わった後に家に帰って、ようやく安眠出来て、一晩寝て、今だろう?うん昨日、だよな?


「ん?……イルシア、オレが豚汁作ったのって何日前?」


「え、ええと?だから一昨日、2日前ですけど?」


 ん~?


「…………なるほど。……イルシア、オレ丸々1日寝てたわ。全然気づかなかった。今日が昨日だと思ってた」


「そ、そうですか、よっぽど疲れていたんですね。本当にお疲れ様でした」


 はああ、そういうことか。眠った時間に対してずいぶん回復していると思った。そうか、そうか、昨日1日まったく起きずに寝たのね。なるほどー。

 ……どんだけ疲れてたんだよ、オレ。


「びっくりだわ。まあ、実害も無かったし良いか。イルシアも食料品買いに来たの?」


「はい。孤児院だと1日に使う食材も多いので。ちゃんと市場が開いてよかったです」


 育ち盛りがたくさんいるから大変だよね。


「でも1人だと荷物持って帰るの大変じゃない?」


 既にイルシアはいくつか荷物を持っている。たぶんイルシアの方がオレより力があるのだが、重そうな荷物を持っているのを見ると、手伝った方が良いように思ってしまう。オレ、あまり役に立たないのに。


「いえ、私だけじゃなくて、リックと他の子も来てますよ。今は別行動です」


「そうなんだ」


 じゃあ、大丈夫か。荷物も分担して持つんだろう。


「お~い、イルシア~」


「この声はリックだね」


「そうですね。えーと、あ!いました」


 片手に荷物を持ったリックがやって来た。


「お!コーサクさん、おはようございますっす!元気そうで良かったっす!」


「おはよう。おかげさまで、良く寝たからね。昨日1日寝てた」


「すごいっすね!」


「本当にね。さて、オレも買い物だ。野菜欲しいんだよね」


 すごくサラダが食べたい。ビタミン足りてないのかな?


「野菜っすか。イルシア、野菜はまだ買ってないよね?」


「うん、これから行くところ」


「分かった。コーサクさん、一緒に行かないっすか?すぐそこっすから」


「そう、じゃあお言葉に甘えて。そういえば、オレ、値引き交渉苦手なんだよね」


「ふふふ。確かに。強気で値段交渉するコーサクさんって想像できませんね」


 なんだろう。店員さんの勢いに負けて、そのまま買っちゃうんだよね。


 3人で野菜売り場へ向かった。




 リックとイルシアに値段交渉を手伝ってもらい。無事、野菜をゲットした。いつもより何割も安い。オレはカモだったのか。

 ……まあいいや。今まで値切らなかった分、時間を得していたと考えよう。


 今日はサラダ祭りだな。


 リックとイルシアも買い物が終わったので、他の子との待ち合わせ場所に向かうようだ。途中まで、オレの帰るルートと同じなので一緒に行く。


「イルシア、そっちの荷物持つよ」


 リックが、少し顔に照れを浮かべながらイルシアに言う。


「う、うん。よろしく」


 荷物を渡すイルシアの手、荷物を受け取るリックの手。そして重なる2人の手。


「「あっ」」


 赤面する2人。急いで手を離して、少し歩く距離が広がる。お互いをチラチラと伺いながら2人は歩く。


 そしてそれを見せられるオレ。


 うわあ、う、初々しい。あまりにも青春すぎてお兄さん、背中がざわざわするよ。掻いていい?


 だが残念。オレは買った野菜で両手がふさがっているので、この背中のざわめきに耐えるしかないのだ。


 前を歩く2人の雰囲気はとても甘い。


 今日はデザート作らなくていいな。お腹いっぱいだからね。


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よろしければこちらもどうぞ! 『お米が食べたい』シリーズ作品

〇コーサクの過去編 : 『ある爆弾魔の放浪記』  

〇ルヴィ視点の物語 : 『狩人ルヴィの故郷復興記』

シリーズ外作品 〇短編 : 光闇の女神と男子高校生な勇者たち
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