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異世界でもお米が食べたい  作者: 善鬼
第1章  自由貿易都市_氷龍飛来編
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防具に使えそう

 リードさんの商会を出た足で市場に来た。今日の晩御飯の材料を探す。

 市場には日本では見たことが無い食材が並ぶので、見ているだけでも結構楽しい。


 荷車を引きながら市場を回っていると、魚を売ってるのが目に付いた。この自由貿易都市リリアナは、でっっっかい大河を使った輸送によって大きくなった都市だ。でかいの意味が被っているが、それぐらいでかい。対岸がかすむほどだ。魚も良く採れる。


「今日とれた魚だよ! うまいよ! 買っていきな!」


 今日とれたらしい魚たちが、魔術で作った氷に囲まれて店先に並んでいる。

 河がでかいせいか、魔力があるからか、巨大な魚も並んでいる。2mくらいある……アロワナ? みたいな魚もいた。誰が買うんだあれ。


 結局、店員におすすめされた魚を1匹買った。ちょっと顔がナマズっぽい? お米を探すためにこっちの植物は調べているが、魚の生態までは手が回ってないんだよね。


 今日はパンを買って帰るつもりだ。主食と主菜が決まったので、あとは野菜を買いたい。

 店に並ぶ野菜を見ていると気になるものを発見した。


 それは日の光を浴びて輝く……シルエット的にはおばけカボチャだ。メタリックシルバーが光を反射している。

 野菜でいいんだろうか?


 店員に聞いてみる。近づくと太陽の光を反射してキラキラまぶしい。目がチカチカする。


「いらっしゃい! ああ。こいつは『―――』だよ」


 えーと、直訳すると『鋼鉄の瓜』? え?


「食えるの?」


「食えないもの店に並べる訳ないだろ。煮物とかでよく食うな。うまいぞ!」


 買った。



 買ってしまった。ついつい気になって買ってしまった。荷車に載せてもらうのを店員に手伝ってもらいながら聞いたところによると、育ち方とかはかぼちゃとだいたい同じようだ。

 分類的にはかぼちゃの一種らしい。

 それにしても荷車が重い。


 仮称メタリックかぼちゃで重い荷車を引いてようやく家に着いた。

 素の筋力では1人で運べないため、身体強化を発動するはめになった。何kgくらいあるんだろうこれ。絶対1人で食えないよね。どうしよう。


 夕食の準備には早いが、このメタリックかぼちゃを味を少し確かめたいと思う。煮る用に鍋を沸かしておく。


 とりあえず包丁を構えてみたが、メタリックかぼちゃが大きいせいで包丁が小さく見える。オレが両手で抱えて余るくらいの大きさだからな。でかいよ。


 これ包丁で行けるのか? 包丁の背で少し叩いてみる。


 ギィンギィン


 ……叩くと金属音なんだけど。本当に野菜なのか怪しくなってきた。


 包丁で切ろうとするが、薄く傷がつくだけだ。全然切れない。斧使うか?


 斧を引っ張りだして良く洗い再挑戦する。


「せいっ!」


 ガギン!


 ぐおおおっ斧が弾かれた。衝撃で手が痺れるう! しかもちょっとしか切れてないよ!


 油断していた。店員が普通に食える雰囲気で話していたから、まさか切れないなんて思ってなかった。料理の仕方じゃなくて、解体方法を聞いておくんだった!普通はどうしてるんだよ。


 ……しょうがない。最終手段だ。『工具箱』起動。『丸ノコ』!


 オレの前に、魔力でできた半透明の丸い鋸が出現する。高速回転するそれをメタリックかぼちゃに当てた。


 ギィィィインという耳障りな音とともにメタリックかぼちゃの皮が削れていく。行けるぞこれ。


 切り終わり、真っ二つになったメタリックかぼちゃが左右にゴロンと転がる。中にはオレンジ色の身と種が入っていた。良かった中は普通だ。


 部屋の中に削りカスが散らばっているので、まずは掃除をする。これ、成分は何なんだろう。本当に金属だったりするんだろうか。


 メタリックかぼちゃの身を少しくり抜いて煮てみる。

 味と触感はだいたいかぼちゃだ。うまいけどかなり甘い。これは普通の料理よりデザート向きじゃないだろうか。煮物にすると甘すぎるな。


 メタリックかぼちゃはポタージュスープにすることにした。

 今日の夕食はパンと川魚のムニエル、葉野菜のサラダ、かぼちゃのポタージュスープでいいだろう。

 少し早いけど作り始めるか。


 メタリックかぼちゃを使う分くり抜いて、鍋で蒸しておく。使わない大半は食料庫に入れておいた。

買った魚は3枚におろして、塩を振って置いておく。


 ミキサーを用意して、かぼちゃに火が通ったら牛乳と一緒にミキサーに入れてスイッチON。うちの自作ミキサーは超強力。

 かぼちゃの塊が無くなったら鍋に移して、冷凍していた鶏の出汁を投入して加熱。塩コショウで味付けて完成。素材が良いので、シンプルに美味しい。


 サラダは玉ねぎ薄切りにして、レタスを切って盛り付けて完成。ドレッシングは食べるタイミングで掛ける。


 魚から出ていた水分を拭きとって、塩コショウ。小麦粉を付けたら、バターを引いたフライパンに投入。バターが弾ける香りがいい。

 両面焼いたら皿に移して出来上がり。

 テーブルに料理を並べて、いただきます。


 ムニエルから食べてみる。身が柔らかい。なんだよお前、フワッフワじゃないか。サクサクになった小麦粉が旨味を逃がさないでいてくれた。新鮮な魚の油がうまい。

 パンを食べる。


 メタリックかぼちゃのポタージュスープを飲む。名前長いな。飲むとかぼちゃっ!とかぼちゃが主張してくる。こっちの濃い牛乳にも負けてない。自然な甘さと旨味が体に染みてくる。美味しい。


 はし休めにサラダを食べ、あとはループして食べ終わった。


 美味しかった。ごちそうさまでした。


 残ったメタリックかぼちゃはどうしようか。


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〇ルヴィ視点の物語 : 『狩人ルヴィの故郷復興記』

シリーズ外作品 〇短編 : 光闇の女神と男子高校生な勇者たち
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