表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

第8話 頼むから俺の脳をショートさせないでくれぇぇぇ!

秋風が少し肌寒い。

しかし、俺はそんな寒さも吹き飛ばすような暑さに今見舞われている。

タッタッタッという規則的な足音が秋風を引き裂くように鳴っている。

額に大きな汗をかきながらも俺はひたすらに目的地目掛けて走る。

今日は土曜日、普通であれば休みだから家で一日中ぐうたらして過ごして居ることだろう。そんな俺がなぜ、家から出てこの寒い中汗をかきながら走っているかというとそれは昨日の昼休みから始まる。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「何も……してないならさ………明日一緒にお出かけしてくれない?」


「え?」


俺は頭の中に明日、一緒、出かける、という言葉が頭の中を血が駆け巡るよりも速く駆け巡った。


「それってデートって事?」


「うん!」


はい!かわいい。

この笑顔を見せられて断れる奴を俺は魔王と呼ぶよ



~~~~~~~~~~~~~~~~~



教室の中でやってくれたおかげで授業中に男子が後ろを向いて中指を立てて来たり、わら人形に俺の写真を張って釘を打ち込んだりと中々ひいき目に見ても良い生活とは言い難い状態になった。


その放課後俺は萌乃と連絡先を交換した。



結果集合場所は俺の家から少しばかり離れた公園に九時集合ということになったのだが・・・


俺は土曜日に早起きをした記憶が無い。その一部だけを記憶喪失しているのであれば、俺はどれだけ幸せ者なのだろうか。

俺は今日集合時間に起きた。

俺は朝ごはん欠かさない主義を掲げているため、躊躇うことなく朝ごはんにありついた。

結果出発十時。

いや~家を出るときに時計を見て十時を指していたときは俺ってバカなのかなと錯覚をしてしまったよ。

おかげで今現在進行形で公園に向かっている。



俺は額の汗を地面に染み込ませながら、五十メートル八秒六の出せるだけの最高速度で走った末に十五分で公園に到着した。

公園の噴水の前には少し長めの白いスカートに白いブラウス、そのうえに赤色の薄い上着を羽織っている女性が立っていた。この季節には少し薄すぎる服装だった。

天使は今我等の所に降臨しなすった。

かわいさのあまり脳がショートするところだったぜ危ない危ない。

俺は天使もとい俺の彼女の萌乃、彼女の萌乃に話し掛けに行った。大事な事なので二回言ったぜ。


「スマン!諸事情で遅れた。本当にスマン」


俺は顔の前に両手を合わせて謝った。

俺が話し掛けたのが意外だったのか周りからはマネージャーさんかなとかプロデューサじゃないとか口々に俺の正体が何なのかシンキングタイムに突入していた。顔見ろ顔!まだピチピチの高校生だろうが。

すると、萌乃がクスクス笑いながら言った。


「私も今来たところだから大丈夫だよ!」


うちの彼女は天使を超えた。

そんなことを言ってはいるが萌乃は小刻みだが震えていた。

俺は早い内に建物に入らないといけないと思った。原因は俺なんですけどね。


「それより、服装すごい似合っているな」


俺は漫画の主人公のような台詞をかっこよく言った。正直かなり恥ずかしい。昨日白夜にこう言えと言われたからな。

それを聞いた萌乃が顔をすごく赤くして言った。


「あ………ありがとう」


萌乃の顔は空に浮かぶ太陽の日差しに照らされてか一段と赤く見えた。

俺も少し顔を赤くしながら言った。


「じゃじゃあそろそろ行こうか!」


「そ………そうだね!」


まだ少し照れているのか少し言葉に詰まっていた。

すると、萌乃が照れ隠しをするように早口で言った。


「さっ最初に映画館に行かない?」


「おう!良いぞ!」


もともと俺は萌乃に今日のことは任せているので賛同した。男ならこういう時エスコートするのが当たり前だろとか思っている方々、もう時代は変わったんだ!

そして、俺達は映画館に向けて足を進めようとしたとき、俺の視界に入った公園のベンチの所に俺の知り合いらしき人を発見した。

俺は何をしているのか気になったため萌乃に一言言ってから近づいた。

相手も俺が来たことに動揺をしているのかおどおどしていた。

すると、突然俺の立っている方向から風が吹いた。それと同時に日差しに照らされ一段と艶のある綺麗な青色の髪が海を想像させるかの如くなびいた。

俺は目の前にいる女性に話しかけた。


「何してんだ可奈」


そう。そこに居たのは俺の幼なじみの可奈だった。

可奈は黒いパーカーに黒いズボンをはいていて折角の美人が台なしな格好をしていた。これで通報されても言い逃れできなそうな服装だった。

可奈は俺を見ながらもじもじしながらいつもは大きくてうんざりするような声なのに今日はとても小さな声を発した。


「あ………あんたが…………デートするって聞いたから…………どうなるか見に来たのよ」


俺はそれを聞いてある疑問が浮上した。


「お前この集合場所をどうやって特定したんだ?」


「それは………はく…………」


「ん?」


「そんなことどうでも良いでしょ!早くデートに戻りなよ!」


それまでとは打って変わって驚くような大声で言ってから逃げるように公園の出口に走って行った。


「何なんだ?あいつ?」


俺は気にすることなく萌乃の元へ戻って行った。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ