第2話 頼むから遅刻をさせないでくれぇぇぇ!
秋という季節は夏よりも涼しく冬よりほどよく暖かく過ごしやすく何だかウキウキしてしまう季節である。
しかし、今の俺にはみじんもウキウキなんて存在しない。
俺は一つため息をつくと学校に行くため家から出た。
今日は思ったよりも冷え込むようで家という楽園を後にするのは名残惜しい。
俺は道の横に延々と並ぶ並木を見ながら今日行うことについてかなり悩んでいた。
そう俺は今日親友の白夜に昨日の放課後俺に渡してきた手紙を渡さないと行けない。
白夜は俺の幼稚園からの親友で髪は銀髪で赤い瞳でとても顔が整っておりおまけに性格もいいと来た。俺とは大違いで学校の中でも屈指のモテ男である。
そんなイケメンに直接は無理ということで俺にはたくさんの手紙が送られてくる。渡してくれと。
おかげで俺は誰かが作った『便利な橋渡しランキング』の見事一位に輝いた。
俺初めて何かで一位とったんじゃねぇの。良かった良かった。
なわけねぇだろ‼
俺は自分の情けなさにそろそろ土下座してしまいそうだ。
俺は並木道を通り終えて少し細い道に入った。
この道は学校への近道でこの道を使うか使わないかで俺の遅刻か遅刻じゃないかがかかっている。
俺はその細い近道を通っていると先客が止まって何かを見ていた。
こういうの本当に迷惑何だよね。
この道って細いし両サイドブロックが高く積み上げられているから追い越しなんて出来ないからなるべく止まられるのは非常に痛手である。
俺は右腕の裾をめくり時計を見た。
時計は8時25分を指していた。
学校は目の前の女子生徒が通り抜ければすぐそこにある。
ヤバいこのままでは遅刻してしまう。
後ろにもたくさんの遅刻と戦う戦士たちが並んで来ている。
俺はやむおえず目の前の女子生徒に声をかけた。
「あの早く行ってもらわないと君の後ろの人がみんな遅刻してしまうんで頼みます」
すると女子生徒は明らかに嫌そうな顔をこちらに向けてきた。
俺はその顔を見て驚いた。
「可奈お前なにやってんだ!」
目の前にいた女子生徒は俺の近所に住んでいて小さい頃から良く遊んでいた幼なじみの横江可奈だった。
可奈は身長は俺より少し低く青色のロングヘアーで目が大きく青紫の瞳がギラギラと光っていた。たまに目にヨウ素液でもかけたのかと思うくらいに青紫色をしている。
「はぁー何だ斗真か。何ってこの状況でやっていることなんて一つしかないでしょ」
何お前こんな細い道で進むことなくデジカメ片手にやっていることが一つに絞れるやつとか天才過ぎるだろ。あと幼なじみを見てため息をつくな!喜べバカヤロウ!
すると後ろで待っている人たちがブーイングを言い始めた。
後ろで待っている遅刻と争う戦士たちはまさに鬼の形相をしながらブーイングを浴びせている。
「うっさい!」
可奈が一言そう叫ぶと戦士たちはチワワにでもなったかのように静まり返った。おいおい戦士弱すぎんだろ。
「つーかお前結局なにやってんの?」
「だーかーらー白夜君が来るのを待っているの!」
だーかーらーって言われても俺がその話聞いたの初めてなんだけど。お前小学校から国語の教科書持ってこい。
つーかこいつ何でそんな平然とした顔で犯罪を告白できんの。
まあ知っているとは思うが俺は一応注意しておいた。
「お前それ一応犯罪だからな」
「えっそれマジなの」
えっ知らなかったのマジなの。
俺的に知らなかったことの方がマジなのだわ。
「大マジだバカヤロウ」
「はぁあんたなんかにバカ呼ばわりされたく無いんですけど」
そうなんだよなこいつこんななのになぜか頭は良いんだよな。
神様俺とこいつの頭のレベルまちがってんじゃねぇーの。
「それよかお前そろそろ退かないと遅刻するぞ」
「えっそれマジなの」
ヤバいデジャブかな。さっきも同じような顔で同じようなこと言われたような気がするな。
「ああ」
俺はそういうと右腕の8時28分を指した時計を可奈の顔面に押し付けた。
「ヤバい遅刻する!」
そういうと可奈は勢い良く道を抜け出し学校の校門へと走っていった。
そのおかげか後ろの人たちは安堵の息をはいていた。
俺も道を抜け最速で校門まで走っていった。