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第18話 頼むから目からレーザーを放たないでくれぇぇぇ!

「う~ん疲れた体にマヨネーズが染みる~」


俺は、家の決して広くないリビングにある狭いキッチンにあるまあどこの家にもあるような冷蔵庫と冷凍庫が分かれている少し古めのやつの中にあるマヨネーズの蓋を開け中身をすすっている。

そう。俺は、マヨラーだ。……これ程に興味の沸かない告白は無いだろう。

俺は、幼少期の頃からマヨネーズが好きで子どもの頃は、愛していたと言っても良い。

しかし、俺のマヨネーズ愛は、止まるところを知らず歳を重ねるごとに強くなっていき、今では、マヨネーズは神が生み出した調味料だという結論に至った。そのため、マヨネーズを作った人のことを俺は、神と呼んでいる。……そろそろ本格的に精神科に行こうかな。

しかし、話は変わるが本当に今日の事件は拍子抜けだったな。



〜一時間三十分前〜


「思い立ったが吉日だ早速捜査を開始しよう」


「「「おー!」」」


白夜に賛同するかの如く俺たちは、声を合わせ叫ぶ。

しかし、可奈は男勝りなところがあるからおーとか言うのは分かるが、天使勝りの萌乃がおーとか言うのは意外だった。……天使勝りって何だよ。最新の単語か何か?今日オケル?みたいな感じかな。

まあここまで可奈も萌乃も一言も喋る事無く笑顔で話を聞いてはいたが何か目からレーザービームが出ているような気がしたんだよな。そろそろそろそろ地球滅亡かな。



そして、俺たちは、皆席を立つとRPGの仲間の引き連れ方を説明するかの如く縦一列に並んでドアを出た。



ドアを出た先の窓から見えるのは、日が沈み終わり寸前のところでもう俺たちのいる場所には光が届いておらず、電気の多少白みを帯びたような人工的な光が廊下を照らしているためか、窓の外の黒いはずの暗闇が少し幻想的な感じになっていた。

俺たちはそんな廊下に出るや否や六階の教室めがけて歩き始めた。



歩いていて思うのだが、もう外は暗闇で帰るのも多少怖く感じてしまいそうなのになぜこんなにも学校には、人が残っているんだ?正直あんなくそしょうもない事件よりもそっちの方を調査したい。



俺たちは、多少電気が行き通っておらず少し薄暗い階段をコツコツと音をたてながら上っていく。

正直今は、白夜・可奈・萌乃・俺の順番で上っているのだが。何か縦ならびをいつ解除するのかと思ったら全然解除しないからなぜか今だに縦ならびを実行している。

そんなことは、基本的にどうでも良い。今、俺が困っているのは、俺の前を歩く二人から放たれる笑顔という殺気が怖くて少し泣きそうまである。



すると、俺が恐怖という魔物と一人で戦っていると目的地の六階に到着した。

俺と白夜、萌乃と可奈、に分かれ俺達は自分たちのクラスとそのお隣りさんのクラスを受け持つことになった。

何で彼女と組まないかって?それは当然…………怖かった。おい。チキンとか言ってんじゃねぇぞ。実際こうなると男と組みたくなるからな。他意は無い。


「早速調査するか」


俺と白夜が女子軍と分かれた途端白夜が言い出した。

俺は、今の状況をかなり把握して言った。


「そのお前の後ろにいる行列の皆様に聞いたら良いのでは無いか?」


すると、白夜は気付いていなかったのか後ろを見て驚く。

そして、イケメンは移り変わりが早いというが白夜は、驚きとともに調査を始めた。……あいつ警察向きだよな。

すると、白夜が話しかけた途端に話し掛けられた女子が意識を失いそこには、何人もの女子が倒れ渋滞になる。まさに地獄絵図だな。


「ダメだこりゃ」


軽くあきれながら俺も調査を開始する。


こういう調査の時に重要なのは、犯人そうな奴にはあえて聞かずに真面目そうな奴から当たっていく。

俺は、多少薄暗い廊下で話している男子を探した。えっ?女子には聞かないのかって?お前ら俺のコミュ力なめんなよ。……事務の伝言くらいはできる。……カス過ぎてヤバい。

いやいや俺だってやればできるこだからねYDKだからね。いつかは、挨拶できるようになるさ。

俺は、自分に心の中で復活の呪文を唱えながら探した末に眼鏡をかけた真面目そうな奴を見つけた。

俺は、忍者の如く近付き断れない的空気を生み出すと俺は聞いた。


「あの~すいません……最近下着泥棒見ませんでした?」


何だろう。俺がこの言葉を見ず知らずの人に言われたら恐怖を覚えるような気がした。

すると、相手はそんなことを思わすことなく笑顔で言ってきた。


「あ~それ僕ですね~」


「知らないかぁゴメンね・・・」


ん?何だろう。今さっき僕とか聞こえなかったか?


「・・・」


俺と彼の間に沈黙という魔神が立ち塞がる。

こういうとき俺はどういう反応をするのが正解なのだろうか。

そうですかそうですかと言ってナチュラルにフェードアウトするか逮捕だーといって縛り上げるか、俺は、どうしたら良い?

相手は、そんな空気を感じないのかずっと笑顔である。

俺と彼の沈黙の最中太陽は完全に沈み月が上り、弱々しく闇という世界を小さく照らしはじめる。月は今にも消えそうに光を放ちながらも消えることなく照らしつづける。

俺はというと月とは正反対でそろそろこの場から消えたいと願っている。

俺は、五分という俺からしたら五年くらいの長さを感じた時間は、俺の一言で一蹴された。


「何でばれてないんですか…………?」


何だろう?ここだけ聞くと俺が下着のばれない盗み方を教わっているようだ。

すると、ふっと笑うと眼鏡を外し今までとは、雰囲気が変わった。


「よくぞ聞いてくれた。俺はそれが言いたくてたまらなかったんだ!」


何お前二重人格とかいうチート能力持ってんの?……俺は正直いらん。

俺は、若干引き気味に聞いた。


「で……どうしてですか?」


すると、彼は顔の前に右手を当て、眉間に合わせて人差し指をまっすぐ伸ばし、他の指は目に当たらないように避け手を当てている。……あっこいつ次元の壁を越しちゃった系の人だな。今日限りで関わらないようにしよう。

すると、彼は言い放った。


「俺も善人だからな」


まあ善人はまず盗まないけどな。


「罪悪感を感じ返しに行ったんだ」


その発言からするとMなのかを疑ってしまう。


「そこで俺はこう言ったんだ。下着落ちてたぞってな!」


そこでおーカッコイイとか言われると思うか?ねぇよ。

つーか落ちてたって何だよそれ動いてますやん。


「そしたら、その女子が俺から下着を受け取りこう言ったんだ。あのーついでなんですけど、私昔から好きでした付き合ってください。付き合ってくれたら今回の件は無かったことにしてあげますと照れながら言ってきたんだ」


スマン途中から俺の理解の範疇を越したわ。

えっ何その人大丈夫?……俺のオススメの精神科教えるよ。

あと、その子多少ヤンデレ要素を含んでるぜ多分……。


「そこで俺はこう言ったんだ。良いよとな」


うん。だろうな。それしかお前に行く道無いわな。

俺は、多少飽きれ気味に聞いた。


「それでどうなったんだ?」


「今現在進行形でラブラブカップルをやっているよ!」


彼は、手を当てたままクルリとバレリーナもビックリの下手くそな回転をしてから手を当てたまま天を仰ぎながら言ってきた。ダメだこの人の病気何かうつりそうだ。

良し!逃げよう!

俺は、白い廊下を白夜の影を頼りに走った。

すると、後ろから大きな声で言ってきた。


「俺の名前は!坂本純一だ!よろしくな!」


ヤバい十七年間生きてきて一番どうでもいい名前を聞いてしまった。

ここだけ記憶の削除できるかな。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「あのあと俺が白夜にありのままを伝えたら、なぜか俺を若干引き気味に見てきたんだが。俺じゃないのに!」


俺の叫びは、狭いリビングには良く響き音の終息はいつやらかと悩ましいくらいに鼓動した。

外の木に生える葉達は徐々に色を変え枯れ落ちていくのだった。



「そろそろ文化祭だな」


俺の次なる小さな叫びは鼓動することなく小さく消えて行った。


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