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第17話 頼むから警察を呼ばせてくれぇぇぇ!

とうとう、冬に入ったというニュースが日本中に流れた。

これから、辛い辛い時期が始まる。

草木は、弱り、動物は、突発性引きこもり症候群にかかるなど、基本的にメリットという文字は、中々思いつかない。メリットといえば、唯一蚊がいなくなることくらいかな。

そんな、冷たい冬の到来に俺は、うんざりとしていた。

そうこうしていると、加藤先生が最近は悪いことも無く中々平和ですねと言い終え、教室を出て行った。どういう終わり方だよ。

いつもであれば、学校が終わってすぐに、家に直帰するところだが、今日はすぐに帰れない。

すると、俺の机に本日の元凶が話しかけに来た。


「よう!斗真。早速部室に行くか」


お前は、俺のこのうんざりにうんざりを重ねたような顔が見えんのか。

俺は、女子たちの視線を集めながら、教室を出て行った。もちろん俺に対しての視線じゃないよ。

冬が到来したからか、下校時刻にはもう、日が沈もうとしていた。

そのため、校舎内には、うまく日が通っておらず、白いはずの廊下は少し薄黒く見える。

そんな廊下を背に俺は、白夜とともに電気のみで明るさを保っている階段をまた一段また一段と下りて行った。

下りる間無言というのは、きついを越して泣いちゃうので俺は、口を開いた。


「なぁお前どうやって交渉したんだ?」


「交渉なんてしてないぞ。なんか担任の加藤先生に頼んだら、すごく酔ったようにニコニコしながら、二言でOKもらった」


それは、単に加藤先生がお前に話しかけられて喜んでいるだけのような気がするんだが。

すると、白夜が二階に下り終えたところで薄暗い廊下に向かった。

俺も、縦並びについて行った。……モンスターでも出てきそうだ。

俺達は、廊下を少し歩き、五つ目にドアの前で止まり、白夜がドアを開けた。


「よう!」


突然白夜が入ったとたんに挨拶をしたので、こいつとうとう幽霊にすらも、好かれだしたのかと思ったが、前の方から二つ声がした。


「あっこんにちわ白夜君!」


「うん!こんにちわ白夜!」


俺は、気になり白夜の横から中を見てみると、中には、白いテーブルが一つとそのテーブルをはさむようにして、椅子が二つずつ両サイドに並べられていた。

多少狭いが俺の教室と壁の色とかは、何らそん色ない。

そして、挨拶をしてきたところには、艶のある長い青髪を櫛で整えている可奈とニコニコしながら、なにをするでもなく、チョコンっと背筋を伸ばして座っている俺の!俺の!彼女の萌乃がいた。

俺がいることに気づいたのか可奈が挨拶してくる。


「と……斗真もこんにちわ」


なぜかもじもじしている。なんかの病気か?

すると、天使が話しかけてくる。


「斗真君もこんにちわ!」


うわぁーーー可奈の挨拶を聞いた後に聞くと一層神な気がする。

俺も二人に挨拶を返すとともに気になったことをさりげなく聞いた。


「ああ……よう……。それより、お前らなんでここがわかったんだ?」


「それはね、白夜君が昼休みに私たちだけに教えてくれたの」


可奈は、平然としたように言うが、それ、俺ハブられてないか?

俺は、ハブられたんじゃないかと不安になり、多少目が潤いながらも聞いてみた。


「なんで俺は、今なんだ?」


すると、白夜がさも当然のように言ってきた。


「そりゃあ主役は最後って決まっているからね」


何の主役だ!なんだこの部活は、演劇部に知らないうちに改名したのか?


「なんの主役だ?」


「まあまあ細かいことは、気にしたら負けだぞ」


なめとんのか!気にするわ。

もし、これでなんとなく最後にしたとかだったら、お前に効率という言葉を教え込むぞ。

すると、白夜が手をパンっとたたいて、言った。


「部員も全員揃ったことだし、部活を始めるか」


まあ当たり前だとは、思うが聞いてみた。


「今日やる部活内容はなんだ?」


「依頼を待つ。一応掲示板とかに依頼募集の張り紙はしてきたから安心しろ」


俺は、なにを安心したら良いのかを教えてくれ。

俺は、さすがにそれはと、思い白夜に言った。


「お前さすがにそれは、来ないんじゃ・・・」


すると、俺の立っている後ろのドアが開いた。

そこには、緑色のマフラーを巻き、ものすごい弱そうな顔をした男子生徒が立っていた。

すると、男子生徒が勇気を振り絞ったように言った。


「あの……依頼しに来ました」


うん。まあ何となく、フラグを作った気はした。あと、フラグを回収した気もした。

俺は、こいつの頭大丈夫かと思い聞いてみた。


「あの……この部活への依頼ですか?」


「おい斗真当たり前だろ」


白夜が俺に周知の事実と言わんばかりに言ってきた。

お前らと俺の当たり前は、何かズレているらしい。

まあ依頼しに来たというのだから本当だろう。


「でどういう依頼ですか?」


俺は、男子生徒に問いた。


「えっと~それは~」


なぜか男子生徒がモジモジしながら、顔を赤くしている。

俺は、何となくだが、橋渡しの経験上から察した。

そして、部長こと白夜に小声で聞いた。


「お前これあれだ。萌乃への告白だよこれ絶対」


「まず、お前に横江さんという選択肢は出てこないんだな」


「そりゃそーだろ。あんな態度も男性格も男のちょっとばかり可愛い顔の女の体をした化け物に告る奴とか、そいつ地球外生命体だろ」


「はは……そう思っているのか……」


白夜は、小さく笑った後で何か聞こえなかったが、呟いたような気がした。

すると、俺の耳に手を当てて言ってきた。


「あと、その点に関しては、大丈夫だ。部員への告白禁止って張り紙に書いてあるから」


俺は、お前が自分のことをかなり過大評価していることを理解したよ。普通そんなこと書かないからな。

ってことは、冷やかしでは無いのか。

すると、男子生徒は意を決したように言った。


「最近に学校に諸事情により、女子更衣室の窓に張り付いたんですが……」


俺は、モジモジしていた理由が判明すると共に携帯に110とダイヤルを打ち込んだ。よし!じゃあまず、その男子が女子更衣室の窓に張り付か無いといけない事情を聞こうじゃないか。

俺が緑色に光る電話のマークの部分を押そうとしたら、隣に立つ白夜が俺の腕を捕まえた。

俺は、白夜に小声で言った。


「おい!俺は、世の中を綺麗にするために現行犯を捕まえようとしているんだぞ」


「まあ待て」


白夜は、至って冷静に言ってきた。

こういう、白夜が冷静に答えて来るときは、決まって何かが起こるんだよな~。

少し止まっていたが、男子生徒が再び語りはじめた。


「俺が窓に張り付いたとき、カーテンが閉まっていたが、その隙間から見えたんだ!男子生徒の姿が!」


「うぉぉぉーヤベーってなると思ったら、大間違いだぞ。それは、どう考えてもお前の同業者様だろ」


俺は、至って冷静に答えてあげた。

すると、男子生徒は、まだ話は終わっていないと言いだし、続きを話し始めた。


「その、男子生徒は女子更衣室から何かを盗んでどこかに行ったんですよ」


それがどうした。ここまで変態のことを聞きまくると、その程度では、それがどうした?と思ってしまう。

俺は、思ったことをそのまま口に出してしまう症候群にかかっているので、率直に言った。


「それがどうした」


「どうしたじゃないよ。だって最近何かを盗まれたなどの話をききましたか?」


男子生徒は、ものすごくチャラい感じで言ってきた。一発ぶん殴りてぇ。


「かえしたんじゃねぇの」


俺が当たり前の事を言うと、多少自慢げに男子生徒は答えた。


「俺は、女子が着替えに入って来て、ぶっ飛ばされるまで居たんですよ」


こいつ何言ってんの?マジで通報するよ?

しかし、そうなると確かにおかしい。

なぜ問題になっていないんだ?

すると、男子生徒は、口を開いた。


「という事で依頼受けてくれますか?」


「良し引き受けよう」


先程からずっと静かに居た白夜が突然言った。

すると、白夜は、座っていた椅子から立ち上がり、言った。


「思い立ったが吉日だ。早速捜査を開始するぞ!」


捜査ってここは、警察の一課なのかよ。そうだとしたら、早急に目の前の犯罪者を捕まえようぜ。





こうして、謎部最初の活動内容が決まった。

~変態とその謎~

副題付ければ、良いと思うなよ。

内容は、くそしょうも無いからな。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



挿絵(By みてみん)








絵師のふわにゃ様より、幼なじみの可奈の絵をいただきました。


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