第16話 頼むから部活動の勧誘だけはやめてくれぇぇぇ!
部活動というものは、運動から文芸などなど、様々な部活が存在する。
冬に入るこの季節は、一段と部活動は、熱く盛り上がる。
運動部なら、県大会優勝、文化部なら、金賞を取る、など冬の寒さを吹き飛ばすような、熱さを彼らは持っている。ある意味暖房器具である。
そんな中で、帰宅部はどうだろう?
早く帰る選手権や早帰りコンテスト何て物は、存在しない。
すると、俺達は、周りに置いていかれ、帰宅部だけは、寒い寒い冬を迎える事になる。ある意味俺達は冷房器具である。
外の木の葉達が一枚一枚飛ばされて、行く中風は徐々に強くなる。
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「なぁ突然何だが部活に入らないか?」
萌乃の事件が過ぎて、数日、萌乃も白夜と仲直りを果たした。そして、辺りはもう、雪が降るんじゃ無いかと疑うくらいに寒くなり、学ランの上に何かを着ないと寒くて寒くて死にそうな朝の事俺に話しかけてきた、爽やか笑顔のこいつは俺の親友の白夜だ。
突然過ぎて俺の脳の理解力が全く追いつかなかったぞ。
「おお~部活かー良いよな部活」
「じゃあ入ってくれるか?」
「嫌だ!部活が良いというのは、見るだけで良いという意味だ」
俺は、突然の帰宅部の白夜からの部活動への誘いを、悩むことなく、断った。
まあこの程度で諦める奴では無いと、親友の俺は知っている。なので、俺はさらに、理由を述べる。
「部活っていうのは、運動ができるだとか、頭が良いだとかの、特殊な人間がやること何だよ。俺は、どちらにも特殊ではない、普通の人だから、部活はやらない」
何て完璧何だろう。全国屁理屈大会でベスト4は固いな。
しかし、白夜がこう言い出すのも無理は無い。
俺の通うこの学校は、勉強というよりは、部活動に特化した学校だ。
その学校の中で帰宅部というのは、ある意味恥である。
周りからすると、あいつ何でこの学校に来たん?って聞かれてもおかしくは無い。
テニス全国大会進出してるし、吹奏楽部は金賞たくさん量産してるし、野球部も全国レベルらしい。だから、何だよ!だからって校則には、部活動強制とか、無いんだから良いだろうが!
そう考えると、特殊なのは、部活動に所属している人じゃなくて、俺達帰宅部じゃね。
すると、白夜がここだけの話をするかのように口を開いた。
「そんな斗真でも、できる部活を見つけたぞ」
「お前斗真でもとか言うなよ。泣いちゃうぞ俺」
すると、白夜がスマンスマンというように、言い直した。
「そんな斗真にも、できる部活を見つけたぞ」
「お前さ~にも、とでも、が同じ意味だって知ってる?」
俺がそういうと、白夜は、まあまあ気にすんなってとでも、いいたげなように両手を前に軽く押している。
「俺が部活を作ろうと思うんだが、一緒に入ってくれないか?」
こいつ何いってはるん?日本語なのそれ?
まあ聞き流す程度に聞いた。
「で、何て部活なのそれ?」
「謎部」
「・・・」
こいつ何言ってんの?謎部って何だよ!まずその名前から謎過ぎるわ。
俺は、このアホに教えると共に言った。
「部活っていうのはね、部として、何かに取り組む事なんだよ、分かるかな?」
俺は、中々に優しめな口調で言った。
すると、白夜は待っていましたと言わんばかりに、
「我が謎部の部活動は、依頼を受けたりして、謎を解明することだ」
わ~単純。名前からだいたい想像できるな。
俺は、現実を教えてあげると共に言った。
「まず、前提にそんなくそ部が通るわけないだろ」
「あーその点に関しては、安心してくれ、すでに掛け合ったところ、部員が四人になれば、正式な部として認めてくれるらしい」
良かったな、一つ目の謎ができたじゃ無いか。何でこの部活が許されたのか?俺がお前に依頼するよ。
「正直なところ部員四人も集まらないだろ」
「そこは、問題ない。俺とお前と萌乃とあと一人はお前が誘ってくれ」
問題だらけ過ぎて、僕ちゃんかなり引いてるよ。
「まず、何で俺が入っているんだ!あと、最後の一人とか俺頼りじゃねぇか」
「まあそうだな」
言いきったよこいつ。一発殴って良いですか?殴って良いですか?でも、殴った後に女子達にイジメられるのは、嫌なので、今回は多めに見てやろう。……俺がチキン過ぎて、そろそろ焼鳥になりそうだ。……意味不明過ぎる。
「俺は、絶対に入らないからな」
そう言って俺は、席を立ち、教室から出るべく、後ろのドアに向かって歩き出そうとしたその時。
「ねぇあの人白夜様の誘い断ったんじゃない?」
「どうする?いじめる?」
中々に黒い女子の会話を聞いた。
俺は、ドアに向かう体をクルッと回転させ、白夜に言った。
「俺に任せろ!」
「そうか!一緒にやってくれるか!」
こいつこうなる事がわかってやりやがったな。
こうして、俺は、強制的に依頼の謎を解明する、存在自体謎の謎部に入部させられた。
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俺が入部届けを書くや否やたくさんのファンを後ろに引きつれ、白夜は、走って行った。
走る去り際白夜は、俺に萌乃を誘ってこいと言ってきた。
まあ暇出しという事で渋々引き受けた。
俺は、隣の天使もとい彼女の萌乃に話しかけた。
「なあ萌乃ちょっと良いか?」
すると、萌乃がこっちを向いて笑顔で言ってきた。
「うん!良いよ!それより、初めてじゃない?斗真君から教室で話しかけて来たの?」
かわいいよーだーれーかーたーすけーてー。
俺は、笑顔を作り、答えた。
「そういや、そうだな」
萌乃は、クスクス笑いながら、そうだよっと言ってきた。
俺の中には、この笑顔は、目に焼き付いているが、それと共に、あの日の萌乃の無機質な顔も目に焼き付いている気がした。
久しぶりに見たからか、朝日に照らされる萌乃の顔は、前以上に輝いて見えた。
まあ笑顔については、置いといて本題に入るとしよう。
「それでだ、萌乃は、部活動に入ってみる気は無いか?」
すると、萌乃の顔から少し笑顔が消え、言ってきた。
「まだ、私は、集団行動は、無理……かな。だから、ゴメンね」
うん!許す!
さてと、萌乃は無理と。…………ダメだよなやっぱり。
俺は、訂正するように、萌乃に言った。
「俺が誘っている部活は、白夜が作った部活で謎部ってやつでまだ部員は、俺と白夜しか、いない」
「謎部ってまず、名前から謎だね!」
萌乃は、安心したのか、元の笑顔を作り、言ってきた。
良かった~俺と同じこと思っている人がいて。何か白夜が何事も無かったかのように、スルーするから、これが世の中の普通なのかと錯覚してしまうところだったわ。
「それで……入ってくれるか……?」
「そういう……ことなら……」
萌乃は、モジモジしながら、言ってきた。はい!かわいい!
可愛すぎてそろそろ、萌乃時代に突入しそうだ。
萌乃の承諾と共に白夜がドアを開け、俺の席まで走ってくる。
「おい!斗真!萌乃とお前の分出して来たぞ!」
「おい!お前は、何の根拠があって萌乃が入ると分かった?」
「まっ当然かなと思ってな」
すると、白夜は、モジモジしている萌乃を見て言った。
すると、萌乃が頬を膨らませ、白夜に言った。
「うっうっさい!」
何だろう?萌乃ってそういう言葉を使う事が無いからか、ギャップ萌えってやつかな、何かかわいい。俺今日始まって何回かわいいって考えたよ?そろそろ事件レベルだな。
すると、白夜が多少深刻な面持ちで言ってきた。
「あと……一人をどうするかだけど……お前の幼なじみの子はどうだ?」
「ん?可奈か?さあどうだろうな?確かに部活には、入っていないけど……それよりも、お前のファンを誘った方が確実じゃね?」
「あーまあそうなんだけど……正直そうすると、部員の数が……なぁ」
白夜は、そういうと、萌乃の方を見た。
まあそうなると、萌乃は、入らないだろうな。
すると、白夜が口を開いた。
「それに、俺としては、この部活は、少ない人でやりたいから勧誘もしないつもりだ」
俺は、白夜の親友として、白夜の意思を尊重しよう。
「分かったよ。まあ部長命令となれば、仕方がないな」
こう言っておけば、わりかし何でも、解決できる。……はず。
すると、俺が賛同してくれた事が嬉しかったのか、白夜が笑顔で言った。
「まあ行動あるのみだし、誘いに行くか!」
そういって、白夜と俺と萌乃は、教室を出て、朝日が照らし、白いろが一段と輝く廊下を通り、可奈のいるお隣りのBクラスに来ていた。
俺が可奈を呼ぶと、何事かと可奈が驚きながら、飛んで来た。
朝の時間もそろそろ終わりそうなので、簡潔に言った。
「可奈お前俺達の作る部活に入らないか?」
すると、悩む事なく、可奈は答えた。
「うん!入る!」
早っ。なぜか、このことを知っていたのような早さで答えて来た。
俺は、気になり、可奈に聞いた。
「お前何でそんなに即答何だ?」
「そ……そりゃあ白夜君がいるにきまっているからじゃない」
そりゃそうだ。俺の中での謎が一気に解けたような気がした。
まあ元々こいつは、白夜の追っかけだもんな。
「ありがとな可奈!」
俺が一応感謝を述べると、可奈は、少し顔を紅潮させながら言ってきた。
「べっ別にあんたのためじゃ無いんだからね!」
はーいツンデレのテンプレ的台詞ありがとうございます!
まあこれで本当にツンデレだったら、どれだけ嬉しい事やら。
すると、白夜が爽やか笑顔を浮かべ、言ってきた。
「さあこれで、部員は揃ったな、今日から活動だ」
寒い寒い冬の到来は、毎年俺を寒くさせるが、今年の冬は、多少暖かいかもな。
窓の外の木の葉っぱは、まだ枯れていなかった。




