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第11話 頼むから天使の寝顔を拝ませてくれぇぇぇ!

今太陽は、空から消え入ろうとしている。

辺りは徐々に暗く染まっていく。

俺は、帰るわけでも無く、教室を出て行った。

俺は、教室横にある階段をタンタンタンと規則正しい足音を鳴らしながら、上っていく。

正直教室が六階で良かったと感じるのは、このように階段を上りながら、屋上へと向かっている時くらいである。

俺は屋上の扉に手をかける。

外が寒いからか、少し冷たい。

俺は、冷たく、出来ることなら触れたくも無いような扉を開けた。

扉を開けると、目の前に広がったのは、広くどこまでも広がっているんじゃ無いかと疑ってしまうくらいに黒色の空。

その中で、黒い世界に毒されること無く、輝くピンク色の髪は、嫌でも人の焦点を集める事だろう。

すると、一人輝く少女は俺に気づき俺の方へと近づいてくる。


「先輩遅いですよー!」


うん。……………かわいい。

俺は、教室で一人テンション上がりまくって、なんか出づらい空気になったなんて微塵も感じさせないような理由を言った。


「スマン。委員会が長引いたんでな」


俺の完ぺき過ぎる返答に少女は?という感じの顔を向けて来た。


「今日は委員会無いですよ」


しまったー。こういう感じになったら、こう返答しようの本にかかれていた事をそのまま言ってしまったー。そういや、あの本の最初に例外ありとか書いていたな。

つーかもっと委員会をしろ。

そんな、俺の見え透いた、いや、見え透きすぎた嘘にも、気を害することなく、フフフっと笑って見せた。

すると、小悪魔っぽい顔を作り言ってきた。


「答えは決まりましたか?」


少し顔は赤いが萌乃程は赤過ぎない、多分そんなには照れていないのだろう。

俺は、今まで笑顔を作りフレンドリーな顔をしていたが、ここに来て、ガチの顔になった。

俺は、ひっそりという感じに静かに口を開いた。


「ゴメン。俺には、彼女がいるんだ。俺は、こんな事のために自分の彼女を裏切りたくないから」


俺の低く本気のトーンにビビることなく、少女は言ってきた。


「そう………ですよね………。先輩を独り占めしようなんて欲が出過ぎました」


少女は、つい先程までの笑顔が少し沈んだようになりながらも、言葉を言い終えるとテヘッという感じに見せてきた。

すると、突然に走る沈黙・・・

やばい!コミュ障にこの沈黙は辛すぎる。

どうしようどうしようと悩んだ末に質問をすることにした。


「そういや、君の名前ってまだ聞いてなかったね」


「そうですね。私も中々に飛ばしすぎましたねいろいろと。私の名前は、藤原紗耶(さや)です」


さっきまで暗く下を向いていたが、聞くや否やとても笑顔を作って答えてきた。

そして、この空気が嫌になったのか、藤原は、一言今日は呼び出してすいませんでしたと言って、走って屋上から飛びだし、階段を勢いよく下りて行った。


「何だか初めて人を振ったけど、振るって凄い罪悪感だな」


初めて白夜が俺に断ってくれといってきていた理由が少しだけわかった気がした。

暗い空に光るは、小さな星達。君達は何で、目立たないのに光るんだい?そう聞いてみたくなった。

理由は、良く分からないが、自分のような気がしたのかも知れないな………。



俺は、暗い気持ちになりながら、階段を下り、教室に入った。

教室には、もう誰もいないと思ったのだが、一人だけ教室に電気も消して自分の机の上でスースーという音を立てながら、萌乃が寝ていた。

その姿は、まさしく眠る異国のお姫様という感じだった。


「先に帰って良いって言ったのによ」


俺は、萌乃の寝顔を自分の席から眺めていた。うん。本日もかわいいでござる。


「ん?何だこれ?」


萌乃の瞳からは、綺麗で透き通っているはずなのに何故か、悲しい思いを誰かに訴えかけるような少し濁っているような涙が一滴寂しそうに額を流れていた。

この暗い教室の中で月光に照らされた涙は、暗闇をも一蹴してしまいそうだった。

俺は、彼女の涙を見て一度深呼吸をして、いつも通りの顔を作り出した。


「萌乃お前どうして帰っていないんだ?」


俺は、萌乃の肩を揺さぶりながら言った。決して、セクハラじゃないからね。本当だからね。

俺が肩を軽く揺らしたからか、萌乃が夢の国ドリームカントリーから無事帰還してきた。

萌乃は、少し眠そうにしながら言ってきた。


「ふぁ~おはよ~う斗真君」


先程見た萌乃の悲しそうな顔とは裏腹に寝起きの天使過ぎる笑顔を向けてきた。



少し時間が経って、萌乃は眠気が覚めたのか、顔を膨らましながら言ってきた。


「そっそれで、告白は断ったんだよね!」


天使は少しお怒りのようだ。

俺は、ありのままの事実を萌乃に包み隠さず話した。


「…………良かった~…………」


「ん?どうした?」


萌乃が聞き取れないような声で何かを言っていたような気がしたので、聞いてみた。

すると、萌乃は顔を赤くしながら、大きな声で言ってきた。


「何でもないっ!」


何なんだ突然。ビックリし過ぎて、意識をドリームカントリーにお呼ばれするところだったぞ。


「というか、お前先に帰ってろって言ったのになんでまだ、残ってんだよ」


俺でも、こんな時間に女の子が帰るのは、さすがに許せないぞ!


「だって、斗真君と一緒に途中まで帰りたかったから」


まあ今回は可愛さに免じて許してあげましょう。俺って優しいな。………いや、ただの変態だろ俺………。

というか、何があっても家までは、一緒に帰っちゃいけないんだな。親が許さないとかかな。まあ別に人の家事情に首を突っ込む気は、さらさら無いからな。

まあここで、カッコイイ一言を言ったら、俺はさらに好かれるんだ。

俺は、本に書いていた事を多少アレンジして、笑顔で言った。


「お前も心配性だな。俺がお前を捨てるわけ無いだろ。俺にとってお前は大事な存在だからな」


我ながらカッコ良すぎるぜ。

すると、萌乃は突然下を向いて答えた。


「う……………うん……………」


おいおい。そんな冷たい反応されたら、ものすごく恥ずかしいんだけど。恥ずかしいよ~もう、お婿にいけない!………全然関係無いな。

俺は、萌乃が俺の発言後ずっと下を向いたままだったので、顔を覗き込むようにして見た。

萌乃には、いつものようなかわいく、誰でも幸せにしてしまう。破壊力抜群な笑顔は無く、深い深い海の底に沈んでしまったような暗い暗い顔をしていた。

教室の暗闇に後押しされるように、萌乃の暗く沈んだ顔には、ふと恐怖を感じてしまった。

その後、俺達は会話を交わすことなく、帰った。















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