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魔法のピエロ  指パッチン編

作者: 何でも有屋(有屋 春)

魔法のピエロシリーズ二作目です。


ある日、私は川辺でランプを拾った。


アニメ映画で見た魔法のランプみたいだなと思い試しに擦ってみると本当にアニメのように中からモクモクと煙が噴き出した。

これはまさか本当に魔法のランプだったのかと希望に満ちた目で見ていると何故だかそこには胡散臭そうなピエロが浮いていた。

私はピエロと申しましてあなたの願い事を一つだけ叶えることができます、急にピエロが喋り出した。

いきなりそんなことを言われても信じられるかと思ったが、ランプから魔法のように出てきたのは間違いないのでとりあえず真面目に願い事を考えることにした。


んーそうだな。私は大富豪だし、人生に対して不満もない。欲しいものは全て手に入れてきたと言っていい。

そんな私に自分では叶えられない、それでいて叶えたい願いなどあるのだろうか?と考えていると声に出ていたのかピエロが語りかけてきた。


それでは時間を止めれる力というのはどうでしょう?何でも出来るとつまらないですが他人より少し優れた力があるというのはいいものですよ。


なるほど。確かに何でも出来るとやりがいなどもなくなるわけだし、多少の優れた力なら持っているだけでも気分が良さそうだ。

どうせ人生に困っているわけでもないし、願いを本当に叶えてくれるかも分からないんだ。ここはピエロの誘いに乗ってみるか。



それじゃあ願いは時間を止めたり動かしたり出来る力にしてくれ。


かしこまりました。して、力の発動方法はいかがなさいましょうか?


ん、そうだな。指パッチンでいいかな。一回指パッチンしたら時間が止まって、もう一回指パッチンしたら動き出すという形で頼む。(ドラマでこんなのあったような気がするが、まあ、いいか)


分かりました。一応の確認ですが時間を止めている間、あなた様のみ意識があり他の人は意識も止まったままでよろしいですか?



もちろんだ!そうじゃないと意味がないだろう!

そう私が言うと何故だか一瞬ピエロが不敵な笑みを見せた気がした。


かしこまりました。それではあなた様のご希望通り願いを叶えさせていただきます。


では5秒ほど動かず目を閉じてください。


そう言われ仕方なく私は目を閉じた。


5秒ほど経っても何も起きないのでもういいか?と聞いたがピエロからは何も返事がなかった。

しばらくして目を開けるとピエロも魔法のランプもなくなっていた。


私は夢を見ていたのだろうか?そう思いながらも願いが叶ったかどうか確かめるため指パッチンをすることにした。

する瞬間にピエロの不敵な笑みを思い出したが、私はかまわず指パッチンをした。


それからの私は誰にも想像できないほどの孤独だ。

私はピエロにお願いしたのだ時間を止める力と動かせる力をと。

私はあの日自分で時間を止めた。もちろん時間が止まったのだから、全ての動きが止まったことになる。そしてそこには私も含まれていた。


確かに私は時間を止めている間、自分は動けるようにとはお願いしていなかった。しかしあんまりではないか。私は時間を動かす力を持っていながらそれを実行することは一度も出来なかった。悲しいことに意識だけはあるので私は動けない体、変わらない景色のままずっと過ごしている。もちろん時間が止まっているので死ぬこともないのだろう。


あれから何年経ったか分からなくなる頃、私は考えるのをやめた。




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