六芒星都市(りくぼうせいとし)の戦い 市街戦へ
石は意外と貴重です。
由紀子です。おはようございます。
~ おはよう。由紀子。あたしからすれば今おやすみって言われたとこなんだが ~
たっちぃは相変わらず元気です。
投石機で討ちこめるサイズの岩。
敵軍はあっという間に尽きたらしく、こちらも攻撃のリズムを知っているので被害は最低限に抑えていましたが、突如始まった空挺部隊による強襲の被害は大きく。
そして。
「消えただと」
「はい。霧のように」
「時間を計っておけ」
「はい?」
まさか、生きた人間を弾丸ではなく、落下傘部隊として利用してくるとは。
「その魔術は転移術ではなく、一定時間を持って肉体の一部、髪の毛や爪を持つ者の元に戻るタイプの呪術だろう」
転移術は本来、高度な術です。
久さんやフランメさんは当たり前のように使っていますが。
……。
……由美子。
「それで敵は退路を気にしないような出鱈目な破壊活動を可能とするのですね」「うむ」
「おそらく、志願制だろうな。志気が高い」
「アレだけ好き放題できるなら」
拳を握ります。
「敵の将はオズワルドか」
「ええ」
はあ。最悪ではないですか。
~ 男はいたぶって串刺し、女は犯して串刺し、子供は焼いて食うって言う奴だったっけ ~
一応、人間です。繰り返しますが人間です。
『勇者』ではありませんがそれ以上の戦禍を振りまき、敵に処断された筈ですが、生きていましたか。
「はあ」
~ 天にまします我らの神よ。だったっけ。由紀子 ~
ああ。神父さんに親切にしていただいて、洗礼を受けましたね。そういえば。
~ でも神社に行っているし、寺は浄土真宗 ~
別にいいんじゃないでしょうか。神父さんは恩人ですし。許してくれるでしょう。
~ 由紀子。一応言っておくが、あの宗派は異教徒禁止なんだぞ ~
ややこしいことを言われましても。
「ウンディーネ様。凶報です」
「いい。話せ」
「魔族によって構成された部隊が、四門に攻撃中」
なんですって?
「主に、町や村で家族を人質にとられた者と思われます。志気は高く」
「……」
「敵は、敵軍は。督戦隊を用い、背後から彼らを撃ちっ」
もう。いいです。
「全員、撃ち殺せ」「しかしっ!?」
魔族は、意外と肉親の情に厚い一族です。
「責任は全て私が取る。非難も私が受ける。今は生き残ることを考えろ」
~ 由紀子。辛いね ~
うん。
もう嫌だ。