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異世界召喚の代償は三歳の身体と五千万円のローンでした! ~目指せ完済!スキル『我が家』で借金返済しながら成り上がります~  作者: ゆずこしょう
犬小屋からの拠点づくりは三歳には無理ゲーでした。

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どうやら私は……充電器だったようです。

「ととはとと。びゃくはびゃく。それでいいでちょ?」


「う、うむ……それでよい。」


「悪くない。」


二人は満更でもないとでも言うように相槌を打った。


正直、私にとってどちらが保護者でもいいのだ。


(三十三にもなって保護者の取り合いなんてね……)


これならイケメンとの三角関係の方がマシだ。


(まぁ、当分は恋愛したくないけど……)


「そんにゃことより……」


「「……そんなこと?」」


「あ、あぁ~っちょぉ……」


二人の視線が鋭くなる。


(言い方間違えた…)


私は逃げるように視線を泳がせると、最近よく起きる不思議な出来事についてトットールに聞いてみることにした。


「そ、そりぇよりみょ……さいちん、きゅうに、ねむくなゆ…ふわっと……にゃんで?」


途切れ途切れになってしまったのはこの際仕方がない。


「急に眠くなるか……そう言えば……」


トットールは、何かを思い出したのか……顎を手に乗せて考え始める。


「俺がここに来た時も、気を失うように倒れたな。あれは腹がすいたからだと思っていたが……良く起こるのか?」


「う、うん……さいちんは……よく……」


指をもじもじと絡めながら、小さく頷く。


「ねみゅくなって……そのまま、しゅとんって……」


「……」


トットールは一瞬だけ目を細めた。


どうやら上手く話を切り替えられたらしい。


この件は白夜も気になっていたのか、真剣な顔でトットールを見ていた。


「まりか……その時何かをしていた記憶はあるか?」


「なにか……?」


こてんと首を傾げると、トットールは私の頭を軽くなでなでしながらこくりと頷いた。


「そうだ。例えば……何か力を使ったとか……妙な感覚があった……とか。」


力……か………。


特に何か使ったような記憶は無いけど……


「ん~……」


「難しいか……すまない。君がまだ子供だということを忘れていた。」


「……むぅ」


思わず頬を膨らませる。


(子供扱いされてるからか、仕草が子供に近づいてきてる気がするわ)


「そう怒るな。お前は子供の割に俺の言葉を理解していたからな。普通に聞いてしまっただけだ。」


「れでーにむかって、しちゅれーにょ。」


(ちゃんと理解はしてるわよ……ただ、力というのが何かわからないだけで……)


「はは……すまないな、レディ」


トットールは苦笑しながら、もう一度だけ私の頭を撫でた。


(絶対わかってないわね。)


じーっと目を細めてトットールを見ると、


「はは……そんな顔するな……だが、その様子だと……自覚はないようだな」


先ほどまでの優しげな空気が消え、心なしかひんやりするのを感じる。


「じかく……?」


「そうだ。自分で何かを消耗している、という感覚だ」


「……」


(消耗……?)


私は、この数日のことを思い出そうと、頭に手を当てて考えてみたが――


思い当たる節がなかった。


「やはりか……」


トットールが小さく呟いた。


「まりか……お前は気づいていないようだが、この世界に来た時に、今まで使えなかったものが、急に使えるようになったものはないか?」


急に使えるようになったもの……


そこまで聞いて、私は大きく目を見開いた。


「その顔……なにか思い浮かぶものがあったようだな。」


トットールにどこまで話していいのか考えていると、


「……言いたくなければ、無理に話す必要はない」


先に口を開いたのはトットールだった。


「だが、それが原因である可能性は高い。少しでも心当たりがあるなら……教えてほしい」


私は白夜をこっそりと見た。


白夜はこちらに興味が無いのか、そっぽを向いている。


(自分で決めろという事ね……)


私は一度目をつぶると、小さく深呼吸をした。


まだ出会って数時間。


でも、トットールが悪い人ではないことは十分わかっている。


(ご飯もくれたし、気を失ってもずっと傍で見守ってくれてた……)


私はゆっくりと目を開けると、トットールと視線を合わせた。


(うっ……イケメン……)


「……ひとちゅだけ……」


「……」


トットールは私が話すのを待ってくれているのか、口を開かずにじっと見つめた。


「びゃく。あっちゃかいの……だしぇた。」


「……あったかい……?」


トットールの眉がピクリと動く。


「それは明るいものか?」


明るい……?


(確かに、明るくはなるけど……)


トットールの言葉にこくりと頷いた。


「ふむ。明るいもの……もしかして……光魔法……か?」


(……光魔法が何かわからないけど……)


トットールは一人で考え始めると、首を横に振った。


「いや、違うか……光魔法はあの聖女の力だ。それはないはずだ。」


あの聖女……


恐らく莉々花のことだろう。


「……びゃくが、ひ、ぼぉぉぉーって!!」


身振り手振りでどんなものか説明する。


口を大きく膨らませて、ふぅーっふぅーっと火を吹く真似をすれば、トットールにも伝わったのか目を見開いた。


「そうか!!光ではなく……熱を伴う魔力放出か!」


「ちがーーーう!!」


な、なんでそんな微妙にズレた解釈になるのよ。


ファイアーが通じるのか……この世界の言語がよくわからない私は、必死に伝えた。


「なるほど……ファイアーか。」


(いや、ファイアーは通じるんかい!!)


思わず、心の中でツッコミを入れるが、トットールはその話を聞いて、小さい声でブツブツと独り言を唱えていた。


「ふむ……白夜とやらがファイアーを吐いたということか……しかし……まりかが使ったわけではないと……」


トットールの声がピタリと止まる。


「……そうか。まりか。もうひとつ教えてくれ。白夜がファイアーを出した時、何かなかったか?」


……なにか……


小さい頭で必死に考える。


「しょいえば……ふぁいあーってしゃけんだ。そちたら、ぼぉぉぉーってなった。」


手を広げて説明をする。


すると――


パチンッ


トットールは指を鳴らしてウインクをした。


「それだ!」


そして、私に一歩近づく。


その行動に思わず一歩後ずさった。


「な、なぜ逃げる。」


「……にげてにゃい。」


「いや、逃げただろ。」


「だって………」


(なんだか怖いんだもん……)


私は次の言葉を飲み込んだ。


「ふん……まぁいい。それよりもだ……まりか。お前は気づかないうちに魔力を使っていたんだよ。」


「まりょく?」


「あぁ……本来であればお前自身が使えるはずだが……なぜかお前自身が使える訳では無いのだろうな。その代わりに……」


私から白夜に視線を移す。


「このちんちくりんが使えているんだろう。」


「なんだちんちくりんって……」


「そして、そのちんちくりんが魔法を使うためにはお前の魔力が必要だということだ。」


トットールは白夜の言葉を無視してそのまま話を続けた。


「つまり――お前が何もしていなくても、勝手に削られているということだ」


「……え?」


「気づかぬうちにな」


トットールの言葉に、背筋がぞくりとした。


(……それって……)


知らないうちに、削られてるってこと……?


「えぇぇぇぇぇ!?」


私の声が森に響いた。


その直後――


視界が、真っ暗になった。

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