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異世界召喚の代償は三歳の身体と五千万円のローンでした! ~目指せ完済!スキル『我が家』で借金返済しながら成り上がります~  作者: ゆずこしょう
チートスタートかと思ったら……まさかのローン地獄でした。

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11/21

寝静まったころ。

「いぬごや……」


私は目の前に建っている小さな小屋を見つめた。


どう見ても――


小屋というより、犬小屋だ。


(この体型なら入って眠れなくはないか……)


大型犬には狭そうだが、中型犬ならゆっくり出来そうな広さだ。


私はその中に身体を滑り込ませた。


「あめかじぇ、しのげゆぶんだけましね。」


チラリと白夜を見れば、私の言いたいことがわかったのか、フンッと鼻を鳴らした。


「我は外でも寝られる。気にするな。」


「で、でも……」


さっきも昼寝をしたばかりだと言うのに、妙に眠い。


この小さな身体のせいだろうか。


重たい頭がこくりと船を漕ぐ。


(瞼が重い……)


「いいから。今日はおとなしく寝ろ。明日からやることは沢山ある。」


白夜は前足で私の頭を軽くポンと叩くと、すぐ横でうずくまった。


「あちた……やりゅこと……すぅすぅ……」


白夜がチラリとこちらを見た気がしたが、そのあとのことは覚えていない……


***


「ふん……やっと寝たか。」


犬小屋の中では、茉莉花が呑気な顔で寝息を立てていた。


異世界とやらに来てからまだ二日。


我自身、分からないことばかりだ。


「この土地が、茉莉花の手に渡ったからこうなったのか……それともほかに何かあるのか……」


この土地は、先祖代々地主の一族が治めていた。


しかし、地主家の最後の血縁である六郎太がこの世を去り、他の者に渡ることになったのだ。


「裏山勇太だったか。胡散臭そうなやつではあったが……六郎太も茉莉花も騙されるとはな……」


つくづく間の抜けた連中だ。


「まぁ、似た者同士ということか……」


茉莉花を見ると、犬小屋の中でうずくまりながら、寒そうに小さな身体を丸めて震わせていた。


「はぁ……仕方がない。」


少し近付くと、犬小屋の中に尻尾を入れる。


それだけで暖かさが変わったのか、歯をガチガチ鳴らしていた顔が、少しだけ和らいだ。


「まずは拠点を作るところからだが……こんなチビに何ができるというのか。」


いくら中身が大人でも、見た目三歳の茉莉花には限界がある。


「どうやったら身体は戻るんだろうな……」


空に輝く星を見ながら、ため息を吐いた。


そんな時――


《そんなことも分からないのですか?本当に脳なし狐ですね。もう少し頭を使ったらどうですか?》


頭の中にどこかで聞いたことのある声が響き渡った。


「お、お前は一体……誰だ?」


《……はぁ》


「ため息で返事をするな。」


《……》


プツン――


テレビの電源が切れるような音が頭の奥で鳴った。


「おい、聞いてるのか!?」


……


「我を無視するとはいい度胸だな!?」


その後、何度話しかけても返事が返ってくることはなかった。


「人を小馬鹿にしたような態度。あやつにそっくりではないか。」


あやつ……


不意に出た言葉に、自身も首を傾げた。


(あやつとは一体……)


遥か昔の記憶が、ふと脳裏をよぎる。


『あなたはすぐ人に騙されますね。』


『お前に言われる筋合いはない。』


『そう言っていられるのも今のうちですよ。狐なんですから、バカにされるのではなく、化かせるようにならないと。』


『ふん……我を馬鹿にするのはお前くらいなものだ。』


『馬鹿になどしていませんよ。馬と鹿に失礼になるじゃありませんか。いいですか?あなたは馬鹿なのではなくバカなのです。間違えないでください。』


扇子を口元に当て、くすりと微笑む姿が脳裏に浮かんだ。


いつもこの桜の近くに居座っていたことだけは、何となく覚えている。


だが、それ以上は思い出せない。


男だったか、女だったか……


それとも――


人ですらなかったのか。


「まぁよい……いつかまた思い出すことがあるだろう。」


周りを見れば、暗かった世界が少しずつ色を取り戻す。


「もう朝か……」


ふと犬小屋に目を向ければ、食べ物の夢でも見ているのか――


「むにゃ、むにゃ……」


と口を一生懸命動かす茉莉花の姿が見えた。


「ふむ。朝ごはんでも準備しておいてやるか。」


我は分身体をいくつか呼び寄せ、果物を集めてくるよう命じた。


白い小狐たちが忙しなく動き回る。


「今日も忙しくなりそうだな。」


そんなことを考えながら、我は小さく欠伸をした。

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