表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/4

スライム娘④

「ありがとね、勇者様。それにスライムさんも」


道具屋での買い物。

それを終え、店を後にしようとするアレンとスライム娘。

その二人にお別れの言葉をかけ、ミザリーはいつものように笑う。


そのミザリーに、アレンもまた笑う。


「いつもありがとな」


「いえいえ。勇者様のお役に立てるのでしたら、このミザリー。一肌でも二肌でも脱ぎますよ。それに、スライムさんも。どうぞ、勇者様をよろしくお願いしますね」


アレンに寄り添う、スライム娘。

そのスライム娘にも、ミザリーは和やかに手を振った。


それにスライム娘も応えようとーー


っと、そこに。


「失礼するぜ」


「相変わらず。客の少ねぇ店だな」


そんな柄の悪い声が響く。


「あっ、借金取りのみなさん」


「あっ、借金取りのみなさん。じゃねぇ!! ミザリーッ、今日こそ溜まりに溜まった借金一括返済してもらおうか!!」


「世界が平和になるまで待ってくれ。そんなてめぇの願いを聞いてやったんだ!! さっさと払いやがれ!!」


アレンとスライム娘。

その二人など眼中にない。といった様子の、二人組の男。


「うぅ。か、身体でお支払いします」


「身体で払うぅ?」


「男だろてめぇ!!」


「肉体労働でもなんでします。こうみえても、ぼく。力に自信あるんで」


腕まくり。

それをし、小さな力こぶを見せるミザリー。

それに、男たちはいきりたつ。


「煽ってんのかッ、てめぇ!! はやく払ってくれよ!!」


「たったの数万で身体で払うもクソもねぇだろ!! 頼むからさっさと払ってくれ!! 俺たちも毎日ッ、こんなとこに顔出すほど暇じゃねぇんだよ!!」


いつの間にか懇願に変わる、二人組の男。

それに、アレンは助け舟を出す。


「あ、あの。その借金、俺が払いましょうか?」


自身の懐。

そこから金貨を取り出し、アレンは男たちに声をかける。


その声。

それに男たちは、アレンを見る。

そして、声を響かせた。


「ん? も、もしかしてあんた」


「ゆ、勇者様じゃねぇですか?」


「元ですよ、元。もうおっさんですけどね……ミザリー。借りた金は返せ。社会のルールだ」


「でもぉ。返しちゃったら、もうその人たちとは会えなくなっちゃうんですよ。ただでさえお客が少ないのに。借金とりでも来て頂かないと、退屈で退屈で」


「なら、俺が会いにきてやるよ。まっ、こんなおっさんでもよけりゃな」


アレンの言葉。

それにミザリーの頬がぽっと赤らむ。


そして、男たちは立ち去っていく。

アレンにぺこぺこと頭をさげながら。


「じゃあな、ミザリー」


「う、うん。またきてね」


恍惚とする、ミザリー。

その姿を笑い、アレンはスライム娘と共に店を後にした。


「あ、あの。勇者様」


「ん?」


「て、てっきりわたし。喧嘩でもするのかな? って思っちゃってました。でも、勇者様は」


「力で解決するのは世界を平和にするまで。って決めてたからな。それに俺は、おっさん。力が全て……なんて考え。若い時だけで充分だと思わないか?」


響くアレンの言葉。

それにスライム娘は、ぷるぷると身を震わせながら、頬を赤らめ、ぎゅっと少し強くアレンに寄り添ったのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ