スライム娘②
「ところで勇者様」
「どうした?」
「その。かのじょ。とはなにをすれば良いのですか? わたし、その。今まで魔物として生きてきたので」
ぷるぷる。
とその身体を震わせ、スライム娘は恥ずかしそうに小首を傾げる。
その仕草は、初々しくとても愛らしい。
「そうだな」
かくいう勇者自身も、女経験はゼロ。
いくら魔物娘であっても、緊張はする。
「じ、自己紹介からはじめよう」
「ぷるぷる。はい」
勇者の言葉。
それに同じく恋愛経験ゼロのスライム娘も、頬を赤らめながら頷く。
青色の髪。青色の身体。
スライムの擬態は質が高いとは、勇者も理解している。
だがここまでの美少女に擬態されては、戦いしか知らないおっさんにとっては緊張せずにはいられない。
「まずは俺から」
「どどど。どうぞ」
「おおお。俺はアレン。元勇者。い、一応、世界を救いました。特技は、色々。です」
ぺこり。と、アレンは一礼。
「わー……す、すごい。世界を救った勇者様なんですね」
ぱちぱち。と、慣れない手つきで拍手をするスライム娘。
そして、自らも自己紹介。
「わわわ。わたしは、スライム。な、名前はその。種族名しかありません」
ぺこり。と、スライム娘は一礼。
そして顔をあげ、ぎこちなく微笑むスライム娘。
見れば見るほど、美少女。
「と、特技は」
ぼいんっ。
「こうして。色々な大きさにカタチを変えることができることです」
おっぱいを大きくし、にこにこと両腕で寄せるスライム娘。
「こんな特技しかないのですが。大丈夫でしょうか?」
「じゅ。充分です」
赤面する、アレン。
こうして二人は無事、自己紹介を終えたのであった。