想い
仕事が終わり、着替えをしていると急にあいつが話し始めた。レオンといることが楽しくて、いっきに現実に引き戻されたようだった。
「お前は誰からも愛されない。今までも、これからも絶対に!都合のいいやつだ、勘違いをしている。お前は幸せになれない。」
どうしてこのことを一瞬でも忘れてしまっていたのだろう。呼吸が苦しくなる。なぜ、こんなにもあいつは私のことを恨んでいるのか、分からない。思い出したくもない、例のあの日に傷ついた私の心にあいつはするり、と入ってきた。それから毎日、私を追い詰めて追い詰めて....
大丈夫だ、しばらくすればあいつはおとなしくなる。そう思ったが、今日はなかなかおとなしくならない。あいつの怒りを感じた。まるで私が幸せになる資格はない、と神様があいつに言わせているようだ。真っ暗な暗闇に落とされた。苦しい、心が苦しい。
「準備はできた?入っても良い?」
レオンの声が聞こえたけれど、声が上手く出せない。返事をして早くレオンとデートに行きたい。ここから抜け出したい。レオン、助けてほしい。苦しいよ。
「どうした?どこか痛むのか?病院に行こう。背負っても良い?」
レオンが駆け寄ってきてくれてそう尋ねる。驚いたように、一瞬であいつが私の中から消えた。ホッとしてレオンに大丈夫だと答えた。
「大丈夫じゃないだろう。いいんだ、デートはまたにしても。これからいつだって行けるんだから。こうして二人でゆっくりしているだけで僕は十分だよ。」
この人が好きだ。この人と生きていきたい。強く、強く思った。運命の人なんだ、運命は本当にあるんだ。
「本当に大丈夫。レオンとデートに行きたい。」
レオンはまだ心配そうにしていたが、あまりにも私がデートに行きたそうにしていたのだろう。ふうっ、と軽くため息をつくと私の手を取って車まで連れて行ってくれた。
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遅い時間になってしまったためレオンが予約していたレストランに行ってゆっくり話と食事を楽しんだ。終始、愛おしそうにこちらを見てきて私の話を微笑んで聞いてくれた。私はまだ19だからお酒は飲めなかったけれど、レオンは車を運転するからお酒が飲めないため丁度よかった。
無理をしないように、と何度も言われたがわくわくせずにはいられなかった。人生初のデートだったけれど、そんな私でもレオンとのデートは他の人と行くデートよりもずっと愛されているものだと思った。それと同時に、レオンがデートに慣れていることも私でも分かった。
その後、展望台へ行き夜景を見た。レオンと出会った時も同じ夜景を見ていたけれど、同じ夜景でも心によってこんなにも美しさが違うのだと初めて知った。そのくらい美しかった。
「君に言いたいことがあるんだ。」
レオンの声が少し震えていた。数回深呼吸をすると
「僕は、君を愛している。心優しくて、でもどこか悲しそうで、一生懸命な君が大切です。これからも一緒に生きていきたい。僕と結婚してほしい。」




