ご褒美
あの日から、レオンと一緒に食事をとる機会が増えた。以前よりも私もレオンも明るくなったように思う。そしてレオンがよく分からないことを言ってくることも減った。
ある日、いつものようにレオンと朝食をとっていると、レオンが急に
「今日、仕事が終わったら一緒に出掛けない?」
と言ってきた。とても驚いたが、デートするのは人生で初めてだったのでとても嬉しかった。喜びを隠せずに顔がにやけてしまう。
「行きたい!」
初めて敬語を使わずに話してみた。あの話をしても関係を変えずにいてくれるのが嬉しかった。でも、私はレオンが好きだと確信した。このままの関係は嫌だった。デートに誘ってくれたということは、まだ私を気にかけてくれているのだろう。
レオンは、驚いていたがとてもうれしそうだった。二人で照れ合いながら食事をして、仕事に行く準備をしに自分の部屋へ戻った。
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部屋を出ると、執事とニコニコメイドが立っていた。二人がそろっていることは珍しいため思わずたじろいだ。言われた通り二人を中に入れると、執事が話し始めた。
「本当にあなたにはお礼を言わねばなりません。あなたのおかげで旦那様は明るさを取り戻してきています。私たちは旦那様があんなに楽しそうにしているのを久しぶりに見ました。」
隣でニコニコメイドも目をウルウルさせてこちらを見ている。そうか、もともとはあまり笑う人ではなかったのか、意外だった。私を見るときはいつも微笑んでいるから。
「あの日、無理やりここに残るように言ってしまってあなたを傷つけてしまいました。本当に申し訳ございません。でも、あの日からあなたは旦那様と私たちにとって希望なのです。これから何があっても旦那様を愛してほしいのです。どうか、どうかずっとここにいてください。」
こんなにこの執事が私に頭を下げてきたのは初めてだ。よっぽどレオンのことを大切に思っているのだな、と思った。それにしても、希望といわれると照れくさい。でも、私はレオンのことが好きでここにこれからもいたいと思っている。だから、そちらから私を受け入れてくれるのはありがたい。
「分かりました。」
そう答えると、ワッとニコニコメイドは泣き出した。大げさな、と思ったがいつもニコニコしているメイドが泣くぐらい安心することなのだろうか、疑問だったがこれ以上長居すると仕事に遅れそうだったため、そっと離れた。レオンの待つところまで行き車に乗り込むとお見送りに彼らがやってきた。まだ真っ赤な目をしているメイドと執事が手を振ってきた。
デートをご褒美に一生懸命仕事をした。時々、レオンの方を見ると相変わらずテキパキと指示を出したり、顕微鏡をのぞいたりしていた。




