解放
「話してくれてありがとう。ずっと一人で戦ってきたんだね。つらいときに傍にいてあげられなくてごめん。本当にごめん。」
何度もレオンは謝ってきた。私は子供の様に泣きじゃくってレオンの背中に回した手で何度もたたいた。むろん、泣きじゃくっていて力は弱弱しかったけれど。そうしているうちに泣き疲れてレオンの腕の中で眠ってしまった。
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窓から差し込む日光で目覚めるとレオンはしっかりと私を抱きしめてまだ眠っていた。こんなに近くで顔を見るのは助けてもらった日以来だ。なぜ彼は私をここまで大切に置いてくれているのだろう。
疑問は次から次へと浮かび上がってきたが何とも言えない感情が沸き上がってきてそっとレオンの頬にキスをした。レオンのことが好きなんだと気づいた。
しばらくしてレオンが起きるとそのまま二人で食事をとった。このまま、一緒に仕事に行くのかと思っていたが、今日はやらねばならない仕事があるそうで、執事と二人で私は仕事場に向かった。
いつも通り丁寧に仕事をしていると、田村さんが声をかけてきた。
「いったいどんな手を使ったんだい?弱っているレオンにつけ込んだのか?」
失礼な発言に、私はこの人が苦手だと改めて思った。今までの私なら関わりたくないから黙って無視をしていただろう。でも、私の悲しみ、苦しみを分かってくれるレオンがいる。
「お互いに運命の人だからです。運命に使う手なんてありませんよね。」
自分でも驚くほどはっきりとした言葉だった。田村さんは私が抗うとは思ってなかったのだろう。ふいを突かれたように黙ってしまった。
そうしているうちにレオンがやってきた。少し疲れたような顔をしていたが、それでもどこか嬉しそうだった。
「今朝、君のお兄さんの殺人について警察と話してきたんだ。他にもいくつかの報告がすでにあったみたいでもう直ぐに捕まるだろう。」
レオンは淡々と話しているが、決して楽な作業ではなかったはずだ。こうして夕方まで帰ってこなかったことからもことの大変さがよく分かる。
「これでお兄さんは好き勝手に君のところへ来ることは出来なくなった。大丈夫、絶対に僕が守る。」
礼を言わないといけないのに、息が荒くなっていてうまく話せない。ハッハッと肩が上下に揺れる。
「それと、許さなくていい。でも君は君自身を許して欲しい。君が許せないのなら、僕が許す。何度でも何度でも、君は悪くないと言い続けるよ。」
解放されたんだ‥私は。許していいんだ、自分を。やっと、やっと終わったんだ、絶望が。涙が頬をつたった。
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あの日、兄から送られてきた手紙にはこう書いてあった。
君を迎えに行きます。僕と君は互いがいないといけない。あんなことをしてしまったのは許して欲しい。でも、父がいなくなることを君も望んでいただろう?そのお礼だと僕は思っている。お互いに必要なんだ。君は僕が必要だ。
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数日後、レオンが提出したこの手紙が証拠となって兄は捕まったと聞いた。
兄はあっさり認めたらしい。




