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夢物語  作者: ぐんてねこ
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雪解け

ダメだ、やめろ。

あいつが囁いている。かなり焦っているようだ。面白い、あなたの思い通りに何もかもが進むはずはないと見せつけてやろう。



「分かりました。私、ここに残ります。」

そう答えた。執事の表情が少し和らいだ。



「必要なものはこちらで取り寄せます。雪様のお部屋はこの廊下の突き当りの右側です。部屋にあるものはご自由にお使いください。食事の準備ができ次第部屋にお持ちします。」



ふと疑問に思った。私の部屋が準備されていることが不思議なのはもちろんだが

「食事は一緒にとらないのですか?」



「愛されていれば良いといいましたが、旦那様が愛したいときに愛されていれば良いのです。」

にこりともせずに執事が答えた。



意味が分からないという顔をしていたのだろう、執事がさっさと部屋に行くように急かしてきた。

これ以上の質問はアウトなのだろう、そう思った。他人に干渉はしない性格なのが私だ、と思い直して黙って部屋に入った。



部屋はきれいだった。西洋風でふかふかのソファーや大きな化粧台まであった。大きなベッド、トイレとお風呂まで。この部屋でから出ずに一日過ごせるような.... そう、閉じ込められた部屋。



△△△△△



読書に没頭しているとノックされる音が聞こえた。いろいろと違和感のある部屋だったがこんなに伸び伸びとできて誰からも何も言われないのは久しぶりだった。だから、大の字になって広いベッドに寝転んだり、部屋にたくさんある本棚から読んだことのない本を出してきて読んだりしていた。



ドアを開けるとメイドが食事を乗せたカートを引いて待っていた。さっきの執事と違って終始笑顔のメイドだった。礼を言って食べ始めた。久しぶりに誰かの作った料理を食べた。体も心も温かくなった。一日目で会ったばかりだから気を使って会いに来ないのだと思った。



△△△△△



そんな部屋から出ずに読書ばかりする日が3日間続いた。そろそろあのイケメンのことが再び気になり始めた。私を愛してくれるのではないのか、あれから一度も会っていないぞ。会いに行ってみようか、そう思うとドアを開けて廊下に出ていた。



あいかわらず隅々まで掃除されている廊下だった。

そういえば、イケメンさんはどこにいるのだろうか。



「何をしておられるのですか?」

急に声がして驚いた。そこには、また目が冷たい執事が立っていた。この人は本当に急に現れてくるのだな、とある意味感心しながら答えた。



「旦那様?を探しているのです。助けてもらったお礼をまだ言えていないので」



一瞬複雑そうな顔をしたがまた元の表情に戻って

「今日は、旦那様が一緒に食事をとるそうです。」

と答えた。



△△△△△



約束の時間に指示された場所に行った。もうすでに食事が用意されていて....

イケメンさんがいた。こちらに気が付くと微笑んで座るように言ってきた。

この前は、気が動転していてしっかりと顔を見ていなかったため落ち着いてみるとよりいっそうイケメンだった。



「あにょ、この前はありがとうございました。」

噛んだ。ものすごくかっこ悪いところで噛んだ。



こっそり顔をうかがうと、楽しそうに微笑んでいた。本当に私のことを愛おしそうに見ている。今まで誰カン愛されたことがないため、はたしてそれが本当に愛おしそうな顔なのかはわからないけれど....



緊張と、さっきの失敗を紛らわすために勢いよく食べ始めた。相変わらず暖かくて美味しい食事だ。

この家には、あの執事とニコニコメイド、それにコック、もう一人のメイドが働いているらしい。



「いつも通り、美味しそうに食べるんだね。」

急にイケメンが話しかけてきた。驚いたが、きっと毎日出された食事をきれいにすべて食べていることや、毎回美味しかった、とメイドに言っていることがこのイケメンに伝わっているのだろう。



「とても愛がこもっているように感じます。とても温かい。」

そう言うとまた、微笑んだ。



そのあとはお互いに話すこともなく、かといって楽しくないわけではない食事が続いた。

その日から、3日に一回共に食事をとる習慣ができた。そして不思議とイケメンさんと一緒にいるときはあいつが私の中に出てこないのだ。ただ、会話はいつも違和感があった。



△△△△△



何度も一緒に食事をとるうちに何かお礼がしたくなった。しかしすぐに自分は全くお金を持っていないことに気が付いた。ニコニコメイドに聞いてみることにした。



それなら、旦那様のお仕事のお手伝いをしてはどうでしょうか、とニコニコメイドは言った。ニコニコメイドは年齢が自分と近いように感じ、話しやすかった。それなら、と執事にも頼むとすんなりOKがもらえた。



そうして私のイケメンさんに感謝祭が始まったのだ。






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