最低
期待通り彼女は研究について質問のメールを送ってきた。
雪とそっくりなところ、それに加えて勉強熱心な彼女にすぐに恋に落ちた。
やはり、直接会ってまた話を聞きたい、と彼女が言ってきたときは本当に嬉しかった。
やがて、研究の話以外も良くするようになり、すぐに特別な関係になった。
夢は、可愛くて優しくて、賢くて、僕にはもったいない素敵な子だった。
でも、どんなに彼女と愛し合っても、彼女が笑っても、ずっと僕の中には雪がいた。
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「僕は、ずっと忘れられない人がいて、この先も彼女を忘れることができない。だから、ごめん。本当にごめん。別れてほしい。」
別れを切り出したのに、彼女は微笑んでいた。
「その人と私は似てるんでしょう?だから私と一緒にいたんでしょ?知ってる。」
あー、急に呼ばれたからお腹すいちゃった、と言ってメニューを見始めた。
「ずっと、君を騙していたんだ。いっぱい傷つけてたんだ。本当に最低だ。こんな自分が大っ嫌いだ。」
「私は好き。レオンが誰が好きでも、私は好き。これからも傍にいたい。」
ダメだ、と言おうとしたけれど彼女の目は本気だった。
「傷つけていいよ。受け入れるから。」
その一言に甘えてしまった。
一緒に暮らせば、より彼女のことを好きになって、時がたてば雪よりも夢への気持ちが勝つかもしれない。
そう思った。
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夢との生活をかみしめながら、それでも夢薬の研究を辞めることはなかった。
そんな僕に愛想をつかして田村は夢薬の研究を辞めた。
夢が結婚することを望んでいる、と気が付いていたが雪のことを諦められなかった。
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やっと薬が完成した日、完成に心の底から喜んでいる自分に、やっと決心がついた。
このままじゃだめだ。
ずっと傷つけ続けることなんてできない。
もう嫌というほど傷つけてしまった。
でも、夢とは別れる。
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急に携帯が鳴って、田村からだった。
「地図と詳しいことをメールで送った。夢が事故にあった。早く来い。夢が大切なら。」
いつもは調子のよい田村の声が震えていた。
メールで病院の場所を見ると急いで向かった。
向かっている最中、夢がこれまでいったいどれほど辛かったか、泣きたかったか。
それを考えると涙が止まらなかった。
どうして、あの時夢と付き合ったのか。
どうして、本当のことをもっと早く言わなかったのか。
何で、別れなかったのか。
次から次へと後悔が湧いてきた。




