絶望
「そろそろ出ましょう。レオンが帰ってきます。」
田村さんがそう言った。
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帰り道にも私の頭の中は夢薬のことでいっぱいだった。
レオンが薬物と同じものを作っていた驚き以上に、会いたい人がいることの方が大きかった。
そこで、ふとレオンと出会ったころを思い出した。
そういえば、最初はレオンはずっと部屋にこもったり食事も一緒にとらなかった。
もしもあれが自分の部屋で研究中の薬を使っていたのだったら。
もしも、、もしも、、、、、
私は絶望した。
ふらふらとしゃがみこんでしまった。
ああ、ずっと不思議だったことが繋がった。
レオンと食事を一緒にとるようになったころ、いったいいつ会話したのか思い出せない、私と話したことではない内容の話を良くしてきた。
あれはきっとその夢の中の人としていた会話なのだ。
私とその人を区別できていなかったのだ。
区別できないほど、
そうか、似ているんだ。
その夢の中の人と私は。
薬をおかしくなるほど飲む、それほど会いたい人、話したい人なのだ。
私じゃなかった、レオンの会いたかった人、好きな人は。
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人は本当に絶望したとき、涙が出ないんだ。
生きたい、幸せになりたい、と思った自分が馬鹿に思えた。
やっぱり、私は幸せになれないんだ。
一体私が何をしたというんだろう。
どうして、生きたいと思うことも許されないんだろう。
あの言葉も、その言葉も、全部全部レオンが言ったことは嘘だった。
いや、その本当に愛している人に向けた言葉だった。
あの行動も、あの優しさも。全部その人のためだった。
私はその人の代わりだったんだ。
ひどいよ、レオン。
私は弱いんだよ。
こんなことをされて、もう立ち直る力がないんだよ。
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お腹がズキッと痛くなった。
体もショックを受けたんだ、と。
ふと、お腹を見て思った。
だめだ、このこのためにも真実を知らないと。
お腹を押さえる左手を見て思った。
キラキラ輝く指輪。
そうだ、レオンに真実を聞かないと。
ダメだ、生きないと。
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何とか、自分を奮い立たせて家まで帰ってきた。
自分の部屋に戻ると一日の疲れで眠ってしまった。




