汗涙
レオンを待っている間、私の中はレオンを誘ったことへの後悔と、でもよくやったという自分への感謝が混ざっていた。
レオンに触れるな、汚すな、と急に聞こえた。
あいつがとても怒っている。それと同時に悔しがっている。泣いている。
あなたはいったい誰なの?どうして私を苦しめるの?
今日はもう負けない、私は前までの弱い私じゃない。
レオンがいるから。絶対守ってくれるから。
彼が愛しているのはお前じゃない。
捨て台詞をはいてあいつは消えていった。
勝ったんだ、初めて勝ったんだと実感した。
「入るよ。」
レオンの優しい声が聞こえて急いで何事もなかったようにベッドに座った。
レオンは私の隣に座ると優しく抱きしめてくれた。
それが本当に居心地が良くて自分がどんどんレオンの沼にはまっていることが分かった。
「よく頑張ったね、大丈夫、大丈夫。」
優しく私の背中を撫でてくれる。
人に抱きしめられるのがこんなにも安心できて幸せなんだと感じた。
レオンにベッドに押し倒されると一気に緊張が戻ってきた。
あの日、あの時のつらい思い出が蘇ってきて体がこわばっていく。
「大丈夫、大丈夫。」
はっとするとレオンも横になっていて優しく私の頭を撫でていた。
「今日はこのまま一緒に寝よう。これからも一緒に寝よう。君が良ければだけど。」
レオンは優しい、温かい。
でも....、私は大丈夫だ。
「ううん。私はレオンと前に進みたい。」
こうして今の様に悪夢がフラッシュバックするかもしれない。
でも、レオンがそのたびに優しく撫でてくれるのなら大丈夫だ。
「分かった。ありがとう。」
レオンは微笑んでくれた。
△△△△△
初めてじゃないから怖くはなかった。
でもやっぱり時々フラッシュバックしてくる。
レオンは大丈夫かどうか聞きながらゆっくり、大切にしてくれる。
「愛してる。」
レオンの汗と私の涙が混ざって落ちた。
幸せだった。本当に。
△△△△△
目が覚めるとレオンにバックハグされた状態で寝ていたことに気が付いた。
レオンの体温が伝わってきて緊張してきた。
レオンの手は大きいな、きれいだな、と見た時に二人の左手の薬指にキラキラと輝くものが付いていた。
きれいな指輪だ。いつの間に用意していたんだろう、ぴったりなサイズ。
両手でレオンの手を握りしめた。
ありがとう。これからもずっと一緒にいてください、という思いを込めた。
ニコニコメイドが来る前に私はお風呂に行った。
△△△△△
部屋に戻るとレオンは着替えて私を待っていた。
ニコニコメイドが朝食を運んでくると相変わらず全てを理解した、と言わんばかりにニコニコしていた。
二人の関係が進んだことがバレたことが照れ臭かった。
ニコニコメイドが去った後にレオンと顔を見合わせて笑った。
幸せだ、と感じた。
レオンが体調を心配して仕事を休むように言ってきたので一日部屋でゆっくりすることにした。
昨日のことを思い出したり、本を読んだりして一日過ごした。
その日からレオンは夜私と一緒に寝るようになった。
二人の結婚式の話を進めたり、一日の過ごし方を話した。
私は結婚式の準備で忙しく、仕事にはあれ以来行けていなかった。
私には結婚式に招待したい人はいなかったから話は進みやすかった。
レオンも仕事と結婚式の両立をしてくれた。
私に合わせて結婚式は二人で挙げることにした。
そもそもそれでいいんだ。二人がお互いに幸せなら。




