この度、白虎様の補佐係に任命されました。
結構前に書いてそのままにしていたのをUP。
『キィィィィン!!!!』
剣と剣の混じり合う音が響く。
双方、片方が崩れ落ちる。
「勝ったぁぁ!!!」
双方、私は大いに手を上げ喜んだ。
「くっそぉぉ・・・また負けた・・・」
潔く降参を認めた彼は悔しそうだ。
「フフフフフフフフ・・・」
君の悪い笑みと口調を浮かべる私に彼は少し不気味な目付きでみる。
「それ、止めろよな。めちゃ悔しい!」
「それを言ってはおしまい。騎士として誇りをもつのはとーぜん!」
悔しいと言わんばかりな顔が浮かんでいる。
「もう一度だ!!レティシア!!」
「何度やっても私には勝てまい!!!ワハハハハ!」
「お前、女だろ!!もっと女らしくしろぉぉ!!」
「いやぁよ!」
そして彼は、もう一度剣を構える。
「ちょっと待った。剣を下ろせ」
私も剣を構えれば、もう一人が邪魔をする。
「「何ですか!!?」」
私達はその人を見て固まった。
「「騎士団長!!!」」
「お前らなぁ・・・戦うことは良いことだか、もう少し静かにしろ。あと、レティシア。用がある」
「? は~い」
そう言われて私は剣をしまい、騎士団長に着いていく。
私の名前はレティシア。姓は無い。
この騎士団で一番強いとも言える女騎士だ。
まあ、そこら辺は私にとってどうでも良いのだが、一応紹介するけど騎士団長の名はレイン・シアトル。
そしてさっきの対せん相手の男はジェームズ。
「お前にお願いがある」
「はい、何でしょうか?」
何ですか?その無駄に真剣な顔は、と思った事は伏せておこう。オフレコよろしく☆
「・・・・・まあ、良いだろう。お前には明後日からあの四神の白虎様、白夜様の補佐係を担当し、それも兼ねて護衛もお願いしたい」
「・・・once again」
「何で英語なんだ。まあ、良い。お前には明後日から四神の白虎様、白夜様の補佐係を担当してほしい」
「onc・・・」
「もう良いだろう!!確かにな!!白虎様は確かに気難しい人で、怖そうに見えるがな!失礼だろう!」
あんたの方が失礼だろう。
じゃなくてですね?
「そう言うことじゃありません!!!!」
「じゃあ何なんだよ!!!!」
「いや・・・まあ・・・ちょっと、、だけ・・・ね」
何故こんなにも焦るのか?
それはそうだ。
白虎様、すなわち四神の一人であるかれと敵対する私は『邪神』の娘なのだから。
邪神、それは神と敵対する存在であり、私はその中の王の娘であり、邪神の血を引く者である。邪神としての力は当然、半減されているが、私が邪神の力を持っているのには代わり無い。
そんな私が自分から敵対している神の元に行くなど死にに行くのも同然である。
「とりかくこれは決定事項だ!明後日、準備しておけよ」
こっちの言い分も聞かない団長は本当に堅物である。
この我が儘団長!この堅物団長!
後ろを向いていた団長は振り替える。
「なにか言ったか???」
「イエナニモ」
「声が裏返ってるぞ」
一言、皮肉げに言った団長は前を向いて進む。
気が乗らぬ。
私は何故こうも死にに行けといわんばかりな命令を聞かなならんのだ。ボケ。
そう、ぐだぐだ言いつつも私は明後日の準備に取り掛かった。
★★★
この日がきた・・・!!!!
死にに行けといわんばかりな命令を受けた(不本意)私はその明後日になってしまった!!
さあ、どうする私!どうしよう私!
焦る焦る私!ああ、何と言う悲しき性であろうことか。
でも負けない!どうにかしてバレないようにしよう!
・・・やっぱり悲しすぎる性だわ。
私は大きなバッグをもって、別の場所に行く。
揺れる馬車に、私は延々と静かに過ごす。
やっぱり、暇だなぁ・・・・・
こうしてまた、延々と馬車に揺られながら、静かに過ごす。
凄い、大きな屋敷である。
どこか和風な洋館は凄く豪華だ。
「ようこそ、お出でくださいました。私はレンカ。一応、白虎様の側近でございますゆえ、よろしくお願い致します」
そう、一礼する少し歳のいった女性だ。
どこか儚げな感じが、この人の不思議な雰囲気を引き立てる。やはり、あの白虎の側近何だし、普通の人じゃないのよね…?
そして私も一礼する。
「レティシアといいます。今日から白虎様の補佐係と護衛をさせて頂きます。一応、騎士団種属の女騎士です」
少し、安堵した笑みを浮かべていた。
そして私は客室で待たされる。
そして『キィ』と音がなり、入ってくる。
「お前がまた入ってきた補佐係か」
「はい」
初対面でお前呼ばわりするなよな! あと護衛だって! ちょっと女だからって私、失礼しちゃう!プンプン。……すみません。撤回しますゆえ、見放さないで……?
「レティシアと言います」
「……知っての通り、俺は四神の一人、白虎。一応言っておくが、足手まといにだけはなるなよ?」
………………………うん……………あれだね………うん。
足手まといにだけはなるなよ?…………じゃ、ねぇよ!
私はそんなにたより無さそうに見えるかボケ!
自信家か!自意識過剰かよ!
あーたのよーな気難しい性格を知ってなお、来てやったのだ!不本意な気持ちで来てやったのだから少なからず感謝しろ! こちとら騎士団の中で一番強い女騎士なんだよオラ!
邪神の娘だから計算も出来るぞい!
舐めんなよごらぁ!
あーたは仮にも神だろうが!もう少し礼儀をわきまえたらどうだい!心の中で暴言吐いてから、私は部屋から出ていく白虎に着いていく。
「白虎様、私はどうすれば?」
「ちっ・・・人に聞くな。自分で行動しろ。まあ、そんなに仕事がほしければ、くれてやる。俺の部屋にあるから持っていけ」
その俺の部屋はどこなんだよ…………もう少し人に気配りしろ!
初めて何だから!!と言うか、その遠回しな口の聞き方をもう少しわきまえた方がいいと思う。聞かれる前に言うけど、彼は四神の一人だけど、神ではないです。半妖、半人間、そんな感じで、半分人で半分神です。四神、白虎の力を引いている為です。
血も引いています。想像する白虎は虎みたいなのだけど、人間の姿をしています。そしてひとつ。聞かれる前に言うけど、補佐係は期間限定です。一年です。一年の補佐係です。
いまやもう、一秒一分が一年に感じます。
白虎と相手していると。おっといけない。白虎様の相手をしていると。まあ、そこら辺は人に聞けば問題無し! な、はず。……よね?
★★★★★
「終わりました」
「は?」
「終わりました」
「この短時間で?」
「はい」
私が渡した書類を確認する。
「完璧だな・・・」
そりゃどうも!伊達に邪神の娘しておりませぬ!関係ないけどね!そして聞かれる前に言います。
邪神って、人間に害を及ぼすと勘違いしているそこの貴方(知らないけど)。
何も害をなすだけではありませぬ。
邪神(王)は毎日書類に負われております。
人間の相手など手の掛かる子猫ちゃんです(父談)。
他、邪神は憧れの的です。
ですけれども、他の種族からは汚物扱いですけど、強いのでちゃちゃっと成敗です。そして親バカな父を持っております。
母は私が3歳の頃、亡くなりました。
ついでをいうと人間界で騎士になりたいと言ったとき、父、ぶっ倒れました。
一ヶ月寝込みました。その間私、仕事に追われました。
辛かったです。
「ここまで出来るとはな……」
何かを呟いたのを私は見逃さなかった。
そうでしょう、そうでしょう?
ホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ
すみません、鬱陶しかったですね。
「あと、ついか書類もあるからこれもお願いな」
私の後ろを指差すので、私は後ろを向く。
「え」
後ろに合ったのは大量の書類。多分一万や二万は越えている。最早山だ、山。書類の山だ。
え………。
呆然とその大量の書類を見つめると、
「何だ?このくらいも出来ないのか? 補佐係と言うから、有能だと思っていたんだが」
皮肉っぽく言われると、私の心に火が着いた。どの口が言うか、どの口が! 最初っから宛にしとらんだろうがお前は! 伊達に邪神の娘やってんじゃねぇよ!(関係ない)
「イイエヤッテミセマショウ」
こんのくらいやってみせましょうとも!ハッハッハッハッハッWW
数時間の格闘の末、根を上げたのは他でもない、大量の書類だ。
根を上げた、とは意味が違うけどさ!はははははは、私はやれば出来る女なのさ!
「これで文句は無いでしょう?白虎様(悪意を持っ)?」
感心したように、白虎が凄いな………と呟いた。
そうだろうそうだろう。私は凄いのだよ(もしかして私の方が自信家?)。それにしてもしても。何故こうも疲れるのであるか。
私だって息抜きしたいもんなのにさ。白虎はね? ちょっと頭がね? 少しだけね? 敗北を知らないっつうかさ、無理と言う言葉が辞書に無いやつだからさ、世間的にはワーカホリックと言うんだよ。うん。だからと言って私まで巻き込まないでくれるかなぁ!?!!?? こちとら疲れてんだよ(主に白虎のせいで)!! てメェの自分勝手さをこっちにも押し付けるなっつってるんだよ、ボケが! 休ませろ。今はこの言葉しか浮かばない。無理難題押し付けやがって(すっごい暴言吐くね私)。
何て言うオーラを纏いながら、ジッと見ると、それを察したように溜め息をついた。一癖余計だコラ。
「認めてやろう。今日と明日は存分に休むと良い。良かったな?レティシア」
と氷点下並みの声が部屋に響く。
ああっ、こわっ。こいつに名前を呼ばれるとかマジで背筋が凍るゥゥゥゥ。素直に明日の分の書類も終わったから明日は休んで良いって言えば?
取り敢えずさっさと休みたいんで、失礼しま~すよ☆
「おい待て」
と一言。ああ、鬱陶し。
「はい」
「俺の事は白夜と呼ぶことを許してやろう。光栄に思え。様は付けろよ」
上から目線で言われても嬉しさの欠片も無いや。勿論、光栄さの欠片も存在しなっつ。ま、私を補佐係として認めてくれたんだし、一件落着、と言うことで。
「それでは、お休みなさい」
とだけ言い残し、パタンとドアを閉めた。
これもあれも、ぜーんぶ一年間の辛抱。
私、レティシアはあの自意識過剰の自信家の白夜の補佐係、努めて見せましょうとも。
最後まで見て頂いてありがとうございました。