第15話
秋の白い空が川の水面に反射して、それをじっと眺めていると、不意に落ちてきた紅葉が流れゆく様に哀愁を感じた。
つまりは感傷的になっている心がいつもなら見向きもしない光景に心を通わせて、寂しさを助長させる。
侘しさとも言い変えれるが、その言葉の意味を深く知るには経験も知識も何もない俺には酷く縁遠い言葉に思えた。
歌人にでもなった気か貴様?と声が聞こえてくるようなこの状況は何か?
俺は駅前にて、彼女を待っていた。
俺こと四条 達也は竹中 美智ちゃんを待っていた。
秋に入り肌寒い季節に突入したことで、俺はいつもならお気に入りの濃紺のジャンパーを着ていくところだが、達也は白いシャツに群青色のジャケットを羽織り、長い足が際立つ黒のジーンズというデートコーデであった。
確かにジャンパーを着てエヘラエヘラと笑う放課後の中学生みたいな恰好の人間よりは、こういった大人コーデを着こなす出来る男の方がいいのかもしれない。
俺は破壊衝動に駆られジャケットを破りすて、シャツも破いてやろうかと思ったが、今後のことを考え、寒いのは勘弁だと思いとどまった。
そんな葛藤の最中、彼女が来た。
俺の想い人である美智ちゃんである。
彼女はいつもの制服姿とは違い、シャツにスケスケブラウスにブラウン系の色身のニットスカートを履いており、まるで初めて会ったかと勘違いするほど可愛いく、愛おしい。
というかエロい。とにかくエロい。
しかし、こういうファッションの大学生がよく駅前の某カフェに溜まっているなぁと思ったのは言うまい。
量産的ファッションだなと思いつつも、服が蜂の巣みたいに穴だらけの全身黒づくめの女性が前を通ったことで思い直した。
今日も可愛いねとつぶやけば、彼女がニカッとこちらにお日様みたいに笑いかけた。
「た、たた、竹中、、、いや美智は今日の服も可愛いね」
俺は少し吃りながらも、美智ちゃんを褒める。それに対し、美智ちゃんは一瞬、訝しむような表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。
「達也も恰好良いね。そのジャケット似合ってるよ」
「そう?ありがとう」
さて、ここから始めていこうか。
最悪で、最後のデートを。