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その8

 私はたっくんの持っている本を全て漁り出した。たっくんには禁じられていたのだが、それは大したことではなかった。たっくんが卒業した大学のアルバム……もしかして……私はチャンスを手に入れた。


 これが、たっくんに何がしかの影響を及ぼしているのではないか……私の予感の精度は占いよりも低いはずだ。でも、当たる時は確実に当たると言っておこう。


「長崎出雲……この女かしら???ああ、随分と死んでいるわねえ……。私と、そして、たっくんと同じ目をしているわ……」


 私と同じ目……彼女は絵空事に出てくるお嬢様のように華やかだった。学生生活を送っていると、あらかたこういう女の立ち位置は決まっている。その数少ない女を暗に中心として、大半の陽キャラな未熟児たちは、one of them に成り下がっているのだ。行先を失った社会と言う小さな宇宙船から振り落とされないように、必死にしがみ付いているのだ。


 そのお嬢様が、どうしてこれほど死んでいるのか。その背景に何があるのか。考えても分からない。だけれども、たっくんの気を惹くのには十分な魅力だと思った。よもや、たっくんが騙されることなんてない……そう信じたいのだが、万が一の場合には消滅させることもいとわない。それが、私のやり方なのだ。


 長崎出雲はどこに勤めているのか???意外と身近な場所にいたりして……。それこそ、たっくんのすぐ近くにいたりして……。疑い出すと、私は直感する。間違っていたら、全てを消すだけ。とりあえず、信じてみる。たっくんが時々生き返るのは、ひょっとすると、長崎出雲が自らの身体をたっくんに曝け出しているからなのか???だとしたら……早く手を打たなくてはならない。


 私は急いで準備をした。だとすると、たっくんは既に腐りかけている。長崎出雲という寄生虫に心を奪われて、何もかも分からなくなっている。そして、


「僕はもう愛花の面倒を見ない……」


 なんて言い出されたら、たまったものじゃないんだから!!!


 たっくんは私だけのもの。私だけを見ていれば、それでいいんだから……。他の女なんて見ちゃダメ。そんなことばっかりしていると、たっくんはもう完璧に死んでしまうから。私がちゃんと生かさないといけない。私の愛しいたっくんのために、動き出します。







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