幼馴染と親友と
翌朝の月曜日、ついにこの日がやって来てしまった。
「クロ、お前を置いてなんていけない……」
「……にゃぁ」
あれ? 呆れられた??
バカな事言ってないでさっさと行けって? ごめんなさい。
「じゃあ、行ってくるけど、物壊すなよ」
「にゃぅにゃーぅ」
まあ、クロならそんな事しないだろうけど。てか今すごく不機嫌な鳴き声を聞いた気がするが、気のせいだろう。
さて、いざ行かん学校へ!!
「……帰りたい」
「よう司。いつもやる気ないが、今日は一段とだれてるな」
「おう鏡夜か、おはよう」
登校そうそう机に突っ伏していた俺に声を掛けてきたのは、数少ない友人の一人、柊鏡夜である。
柊鏡夜、スポーツ万能、成績優秀、眉目秀麗の三拍子そろった、絵にかいたようなリア充である。鏡夜とは中学の時からの友人で、なんの因果かずっと同じクラスでやってきた。所謂腐れ縁というやつである。
そして、もう一人。
「おはよう司。元気無いね、フラれたの?」
「俺が誰にフラれるんだよ。すぐ恋愛にもってくのやめろ脳内お花畑」
「ひど~い。鏡ちゃん、司がいじめる~」
「棒読みやめろや、うざったい」
「はいはい喧嘩しない。茜も司で遊ぶのは控えような」
「はぁーい」
鹿島茜、髪をサイドにまとめた元気系美少女。ちなみに俺の幼馴染で鏡夜の彼女である。人懐っこくて常に元気。猫宮とは正反対の性格だ。あとバカである。
「むっ、司今何か失礼な事考えなかった?」
「いやなにも」
「ほんとかな~」
なんて感のいいやつだ。
「で、司どうしたんだ」
「そういや言ってなかったな、ネコ飼い始めたんだよ。賢い子だから問題ないと思うけど心配でな。あと単純に遊びたい」
「ネコっ! 私も見たい、触りたい、遊びたい!!」
「うるせぇ、耳元で叫ぶな」
「今日行くから」
「聞けよ……」
「司、俺も行くぜ!」
「鏡夜もかよ、まあいいけど」
「サンキュー」
なぜか二人が来ることになったが問題ないだろう。多分。それよりも今日、猫宮は来るのだろうか? まあ、あいつのことだから二人が来ても気にしないだろうが。
そんな事を考えていると猫宮が登校してきた。さすが人気者だけあってすぐ女子に囲まれて餌付けされている。あれはもう完全に餌付けだろう。本人も喜んでいるし、お菓子をあげている方も幸せそうだから問題はない。
猫宮が俺の名前を憶えていないことから分かるように、学校で俺と猫宮の接点は無い。
「あ、猫ちゃんだ。じゃあ司、放課後家行くからね。猫ちゃーんっ!」
鹿島は猫宮に突撃して行った。鹿島の言っていた「猫ちゃん」呼びは本人公認のため、多くの人がつかっている。
「お前は行かなくていいのか?」
「前に変な噂されてから、茜と一緒でも近づかないようにしてるよ」
「ああ、二股疑惑か」
「そ、だから猫宮さんに非はないけど、苦手意識がね」
高校入学後すぐ、いつもの調子で鹿島が猫宮と友達になった。それにつられて、鏡夜も猫宮と話す事がよくあった。同じ中学の連中は、いつもの事と何も思わなかったが、他校出身者は違った。イケメンが美少女二人といれば注目の的にもなるのだ。最初はどちらを狙っているとか、その程度だったが、茜と付き合っていることが知られると、一部の嫉妬した馬鹿どもが「柊は二股してる」というデマを流した。鏡夜達を知る者からすれば「何を馬鹿な」と信じなかったが、他の連中はそのデマを信じ、鏡夜に文句を言ったり、茜と猫宮に別れるように言ったりと、なかなかの騒ぎになったのだ。
結局その騒ぎは、鏡夜が猫宮に近づかなくなり、猫宮が不機嫌そうに「そもそも付き合ってない」と言ったことで終息した。
「そっか、どうしたものか……」
「? 何かあったか」
「猫の話なんだが、おそらく猫宮も家に来るんだよ」
「まじか、何がどうしてそうなった」
驚く鏡夜にクロを飼う事になった経緯を説明する。
「なるほどな、まあ司の家だし、茜もいるから大丈夫だろ。なにより、そんな面白そうな状況で見に行かない訳にもいかないしな」
「おい、本音がダダ漏れてるぞ。それに俺と猫宮はお前が思ってるような関係じゃ無いからな」
「いやいや、例え違っても面白い状況には変わりないからね。モテるのに女の影一つない司が、ついに女を家に連れ込んでるなんて!」
「鏡夜は今日家に来ないんだな、分かった」
「絶対行く、是が非でも行く」
無駄に固い決意の鏡夜に文句でも言おうとしたが、予鈴が鳴りそれも出来なかった。
また後で、と言い席に戻る鏡夜を見送り、絶対いつか泣かすと誓う司であった。
投稿遅れて申し訳ありません。
仕事の都合上、年末年始は修羅場で執筆できるメンタルではありませんでした。
それでも、少しづつ書いて何とか……
落ち着くまでは今回のように少しづつ書いていきます。