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襲来

 ピンポーン


 不意に鳴ったインターホンで、司は目が覚めた。


「ん、猫宮か? 今何時だ」


 ベッドの横に置いてあるスマホで時間を確認する。液晶には、朝の五時を示す数字が表示されている。


「いくらなんでも早すぎじゃね」


 苦情を言うにもとりあえずは玄関に向かうしかない。昨晩俺から離れようとせず、結局一緒の布団で寝ているクロを起こさないように起き上がる。

 ちなみに、司が住んでいるのは二階建ての一軒家。父の転勤に母と妹がついていったため、現在は一人暮らしをしている。

 二階の自分の部屋から玄関に行く。


「はいはーい。今あけますよー。ふぁぁ」


 ガチャ


 司が鍵を開けるよりも早く扉が開いた。


「あ、お兄ちゃんおはよう。久しぶりだね」

「お、おう。久しぶり凛。……なんで?」

「お母さんから、お兄ちゃんがネコ飼い始めたって聞いて、会いに来た」

「なるほど理解した。しかし妹よ、なぜこんな朝早く来たうえに、無駄にインターホンを鳴らしたのだ」

「お兄ちゃん起きるかなーって」

「うん。起きたよ。だから、なぜ起こした」

「……早く会いたかったから」

「凛」

「ネコちゃんに」

「うん。知ってた」


 柳凛(やなぎりん)。司の妹で中学一年生。父の転勤に母とともについていった。身長は現時点で猫宮と同じくらい。小六の時にCカップになったと俺に自慢してきた。なぜ俺に言ってくるのか。

 凛は昔からこうだった。外では猫を被っているが、家の中、主に司に対しては思うがままに接していた。猫宮といい凛といい、なぜ俺の周囲には自由奔放の奴が集まるのか。


「父さんと母さんは」

「用事だって、二人ともしばらくは来れないらしいよ」

「そうか、ならしょうがないな」

「うん。それよりネコちゃん」

「さっきまで一緒に寝てたから、まだ寝てるんじゃないかな」

「ぶー、残念」

「まあ、起きてるかもしれないし少しだけ覗いてみるか」

「わーい!」


 まだ寝ていたら悪いのでそっと扉を開く。しかし、ベッドの上にはすでにクロの姿はなかった。扉は閉めていたので、まだこの部屋にいると思ったが、部屋を見回してもクロが見つからなかった。


「あれ? クロどこいったんだ?」

「クロって名前なの? クロちゃーん、どこー?」

「にゃんっ」


 すぐ近くで鳴き声がした。確認すると、開いた扉の影に居た。


「お前どんなところにいるんだよ」

「にゃう」

「真っ黒クロちゃんっ! よろしくー!」

「みゃん!!」

「きゃーっ! かわいいーっ!」

「気持ちは分かるが、近所迷惑だぞ」

「あ、ごめん。でも、クロちゃんが可愛すぎてっ」

「分かる。分かるぞー」

「なにその反応、うざっ」

「お兄ちゃんのハートはガラス製なんだから、優しくしてくれないと壊れるぞ」

「はいはい、ごめんね。ひび割れお兄ちゃん」

「あれ? 壊れる寸前なの?」


 微妙に傷つく司を無視して、凛はクロと遊んでいる。まあ、凛のテンションが高すぎて、むしろクロが遊んであげている感が否めないのがなんとも言い難い。


「てか、クロは誰にでもすぐ懐くな。まあ、だれにも懐かないより断然いいんだけど」

「かわいいは正義。問題なし」

「お前は昔からそれ言ってるよな。否定はしないけど」

「かわいいは正義。ネコはかわいい。ネコは正義」

「なるほど理解した」

「そこで理解してくるお兄ちゃんは、やっぱり私のお兄ちゃんだね」

「そりゃどうも。それより腹減った。凛は朝飯食ったのか?」

「食べてなーい。ちょうだーい。クロちゃんのご飯は私があげるー」

「はいはい」




「ごちそうさまでした」

「おそまつさん」

「相変わらずお兄ちゃんのご飯はおいしいね。私あんまり得意じゃないのに」

「変な事しなければ誰でも作れるものしか作ってないからな。凛は凝ったものを作ろうとしすぎるんだろ」

「だって、せっかく作るなら何か凝ったもの作りたくなるじゃん」

「分からなくもないが、それがだめなんだって」

「ぶーぶー。クロちゃんと遊んで癒される」

「あまり構いすぎるなよ。クロは今のところ大丈夫みたいだけど、普通のネコは構いすぎると嫌われるらしいから」

「はーい」


 朝食の後片付けも終わり、手持無沙汰になったのでしかたなくソファで凛と遊ぶクロを見ながら携帯をいじる。


「俺もクロと遊びたいのだが」

「だめ」

「みゃぅん」

「クロにまで否定されたな。しかたないあきらめるか」

「そもそもお兄ちゃんは、いつでも遊べるんだから今日くらいは、かわいい妹に譲るくらいしないとだめだと思うんだ」

「みゃんみゃん」

「なるほど。クロがそういうならしょうがない」

「私の意見は!?」


 ピンポーン


「凛来客だぞ」

「なんで私に言うの? 今は私もお客様だよね?」

「自分の家でなにを言っているのか」

「お兄ちゃんこそ何言ってるの。またせたら悪いから早く行きなよ」

「ちっ」


 まったく誰だよ。まだ七時前なのに本日二度目の来客って。ネットで買い物なんてしてないし、そもそもこんな時間だと配達もしてないだろうに。


「はいはーい。どちらさまでー?」

「おはよう。遊びに来た」

「あっ」

「?」


 猫宮が来る事忘れてた!!

週2で投稿するといったな

あれは嘘だ


すみません。自分の執筆速度を過信していました。

今後は週1+αで投稿したいと思います。すみません。

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