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アンチテーゼ

この度はページを訪れていただきありがとうございます。伊都すくな(いとすくな)と申します。

異世界ものは初めて書きますが、お手柔らかにお願いいたします。

全3話で完結にしようと考えております。

「おめでとうございます。貴方は1万人目の勇者様です。」




 そんな声と共に目に飛び込んできたのは、よくラノベに出てくる王座のある大広間だった。




「貴方様は1万人目の勇者様です。どうか、この国を再びお救いください。」




 力強い声で王らしき人物が声を発する。

まさかとは思うが本当に異世界転生してしまったらしい。


少し過去を回想しよう。

特に秀でた才能があったわけでもなくかと言って友達がいなかったわけでもない俺は、高校卒業の日にずっと気になってた女の子に告白した。

彼女には、もう彼氏がいてあっさりと振られた。

どうせと割り切ったつもりだったが案外落ち込んでいた俺はがむしゃらに帰路を走った。そこで走ってきた車に気づかず盛大に轢かれ、空中を舞い、10mくらい先に落ちた。

目を開けると天使としか形容できないくらい完璧な天使が目の前にいた。


「お前は死んだが、異世界に空きができたから転生できる。転生するなら多少の願いは聞くがどうする。」


随分と大柄な態度だが、これは人生をやり直せるチャンスだ。


「転生をお願いします。」


「なんか願い事はあるか。」


「特に何も"無い"です。自分で人生をやり直したいんです。」


「"無い"かいいだろう。それじゃあな。」


そして冒頭に戻る。


「あぁ、1万人目の勇者様よ、私の国をお救いください。」


1万人目、どういうことだ。今までに1万人も勇者がいたっていうのか。


「ほかの勇者は国を救ってないのですか。」


「いえいえ、ほかの勇者様方にも救っていただきましたが、また、国が危機に陥っているのです。そして、助けていただくために勇者様を召喚した次第です。」


「なら、ほかの勇者たちはどうしたのですか。」


「ほかの勇者様たちは自分の世界へと帰られました。」


おかしい。あの天使は転生する前の注意事項で元の世界へは帰れないと言っていた。

この王は嘘をついている。そんな予感がした。


「ところで、勇者様。貴方様も前の勇者様と同様に神からの絶大な能力を授かっておられるのでしょう。一体どんな能力なのですか。」


「俺は何も力は持っていない。断ってきたんだ。」


王の目の色が一瞬にして変わり、大きなため息をついた。


そして俺に聞こえるように舌打ちをすると、


「そいつは明日にでも処刑する。地下牢にでも入れておけ。」


そんな言葉を放った。


「おい、いったいどういうことだ。」


近衛兵に引きずられながら叫ぶ。そんな叫びも虚しく、カビや腐敗臭の立ち込めた地下牢へ入れられた。

なにがなんだか訳もわからず、檻を叩いていると、連れてこられた階段の方から足音が聞こえた。牢の目の前まで来ると顔がはっきりとわかった。王座の間にいた貴族らしき男たちの中の1人だった。


「おい!これはどういうことだ。説明してくれ!」


「お静かに。まずはここを出ましょう。」


そういうと、その男は牢の鍵を開けた。


「ついてきてください。すぐに追っ手が来ます。」


死ぬよりはマシだと思い、一心不乱に男の後を走る。スパイ映画に出てくるような隠し扉や通路を走り、外へ出た。外には馬車が待っており、そこに乗り込む。


「勇者様、私、バイオレ=S=フェリエ公爵と申します。」


そう男は名乗ると、この状況について話し始めた。


「この国は、勇者様方の能力を奪い、他国への侵略を続けております。」


フェリエ公爵の口から告げられた事実に愕然とした。

1人目の勇者が召喚された時、この世界を崩壊に導く魔王を倒したが、相討ちとなり勇者は死んでしまった。国を挙げて葬儀が行われたが、その夜に死体は消えた。

死体は、勇者の肉体を自分に取り込めば力を得られると考えていたカルト教団に盗まれ、綺麗さっぱりと食べられていた。その後、皮肉なことに教団の教主が勇者の能力を得ることに成功してしまった。そのことに目をつけた王が勇者を召喚しては殺して、王に近しい者に食わせ、最強の軍隊を作っているということだ。

フェリエ公爵の話を聞いていると急に馬車が止まった。


「すみません、勇者様、追っ手に見つかったようです。これは王直下の兵団でも見破れない秘匿魔法のかかったマントと使い切りの転移魔道具です。これを被り、遠くへお逃げください。」


「公爵はどうするんですか。」


「私は魔道具が起動するまでの時間、逃げる隙を作ります。どうかご無事で。」


「そんなこと言っても、一緒にマントに入ればいいじゃないか。俺も生き残れるとは限らないし、2人なら。」


「それは1人用なのです。そして私はこの国の横暴を見ながら誓ったのです。私が助けられる命は助けると。さあ、行ってください。」


公爵はそう言って馬車を勢いよく飛び出ると、素早く転移魔法を起動させ俺の手に握らせ、腰から剣を引き抜いた。転移魔法が強い光を放ち視界が白で塗りつぶされる直前に見えたのは素手で左胸を貫かれ心臓を握り潰される公爵の姿だった。

いかがでしたでしょうか。

私は餃子が好きなので、異世界でも餃子が食べられたらいいなと思いました。

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